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〔台本〕三毒三巴 作:吉谷しな

※イラストの利用や権利について

主題歌


あらすじ

横浜で情報屋を営む鷹司の元に現れたのは一人の少女。セーラー服を纏い、高慢な態度でキンキンとがなりたてる彼女の通学鞄の中には縄とゴム手袋、その他諸々。そう、彼女は裏社会で有名な殺し屋JKー!?三人の殺し屋の三つ巴の戦い、三毒三巴。いさ、上演。

登場人物

(女)蛇:ワガママでお子ちゃまなJK殺し屋。
(男)豚:寡黙で多弁な殺し屋。伊藤。
(女)鶏:貪欲でがめつい殺し屋。
(男)鷹司:嫌味で胡散臭い情報屋。警察兼ね役
(女)給仕:鷹司の元で家事をこなす馬鹿。警察兼ね役

上演時間

30分ほど(声劇で)

作者の遊び心あふれるなんちゃってレビュー

★★★⭐︎⭐︎
声劇でもバトルがしたい!でも声劇らしいキザな言葉遊びもしたい!そんな方におすすめの台本です。内容も理解しやすく、登場人物のキャラも立つので動きを声に乗せることができるなら比較的簡単に演じることができます。

本編

ホテルのスイートルーム、男性の死体がひとつ、そして伊藤が舞台中央に立っている。
照明-暗いまま

音響-以下セリフ、リバーブをかけると良い


伊藤:あぁ、頭が重い。
   足先に迫った血を避けた。
   虚な瞳がこちらを、いや、後ろの壁、そのさらに奥を見つめている。


豚 :「見つめている」


照明-明転


伊藤:いや、彼女ならこんな言い方はしないだろう。
ただ瞳孔がこちら側に向いているだけ、かもしれない。


0:ベッドに腰掛ける


伊藤:「罪人は死ぬべきだ」
「恨まれるに値する人間は、死ぬべきだ」


どうして、殺されなければならなかった?


不細工なツラをしたやつだった。

下らない動機だった。

あの豚みたいな顔が尚更憎たらしかった。
人と呼ぶことすら烏滸がましいような…


0:風が窓を揺らす

音響-風の音


伊藤:「ホテルの一室には鼻を削がれた肢体がゴロリと転がっている。喰い荒らされたソレは微動だにせず   
    じっと聳え立つ。


照明-暗転「ヒュルリ」に合わせて
豚 :『ヒュルリ。』
   
   不気味な風音が耳を掠めた。」


0:場転
0:オフィスの一室。机を挟んで鷹司と蛇。

照明-徐々に明るく

蛇 :だーかーらー!そんなことはどーでもいーの!

豚の正体を教えろっつってんの!情報屋でしょ?

鷹司:駄目だ

蛇 :どーして!!

鷹司:さっきも言ったけれど、彼は僕の顧客でもあるんだ。親を殺されて憎いのは分かるけど、殺してもらっちゃ困るんだよ。

蛇 :鷹司、あんたの客なのは知ってんのよ、だから聞いてんの!

鷹司:彼は情報の仕入先でもあるんだ。しかも彼は殺し屋だよ。君と同じね

蛇 :だったら何

鷹司:もし君が失敗して、情報を渡したのが僕だなんてバレたら

蛇 :私が失敗するわけないじゃん!

鷹司:…君の腕の良さは知ってるよ。もうあちこちで『蛇の仕業だ』『蛇にやられた』って聞くし

蛇 :ならよくない?!あたし、失敗しないから

鷹司:あのね。失敗しなかったら成功じゃないんだ。君が失敗しなくても、豚が上手くやるかもしれないだろ、嫌だよ。情報屋はリスクを負わない。

蛇 :あんた詐欺師でしょ?リスク負いまくりじゃない頑張りなさいよー!

鷹司:詐欺師だけどギャンブラーじゃない。リスクは微塵も負いたくない。

蛇 :ふん、警察に追われるようなことしてる奴がよく言うわ。

鷹司:追われる?この僕が?

蛇 :はぁ?

鷹司:だって僕、警察に情報プレゼントしてるから

蛇 :……私の情報流したりしてないでしょうね?

鷹司:はははははは!(態とらしく)まさかぁ〜


0:鷹司の首根っこを掴む蛇


蛇 :そのキショい喋り方止めなさいよ

鷹司:ぐっ…暴力はよくないと思うなぁ、苦しい。

首、離してくれないかな

蛇 :私が人殺す人間だってこと忘れてない?

鷹司:僕を殺したら、いよいよ蛇さんは警察に捕まってお終いだ。

蛇 :あんたやっぱり…


音響- ↑セリフ途中で扉を開ける音

0:音響に合わせて給仕入り


給仕:キャーーーーーーーーーー!!!

蛇 :っ?!

鷹司:痛っ…急に離すの止めてくれな…

給仕:鷹司さん!

鷹司:なんだい

給仕:一体何したんですか!

鷹司:へ?

給仕:こ、高校生?中学生?に首絞められるなんてやばいじゃないですか!

蛇 :は?

給仕:よっぽどなにか怒らせるようなことしたんでしょう?未成年はダメだってあれほど…ごめんなさい、鷹司さん悪い人じゃないの…

蛇 :…………


(猫なで声)ごめんなさい。私もムキになってしまって。

鷹司さんも、ごめんなさい…

鷹司:(鼻で笑う)

給仕:なにか失礼なことされてません?大丈夫?

蛇 :えぇ、大丈夫です、お気遣いなく。

給仕:ならよかったぁ。

(小声で)鷹司さん、この子は?

鷹司:客だ

給仕:あらお客さま?!こんな小さなお客さまは珍しいですね

鷹司:はは…そうだね。お茶をお願いしていいかな。

給仕:はいはーい!ただいま〜


0:給仕退室


蛇 :……あの女、私の事小さいって言った?

鷹司:言ってない言ってない

蛇 :言ったよね?

鷹司:…ま、格好からして仕方がないんじゃないか、制服だし小さくも見えるだろ。若く見えるってことだ、喜びなよ。

蛇 :実際若いから喜ぶもクソも無いんだけど。

しかもオッサン、未成年はダメってあんた何してんの?
鷹司:いやまぁ、僕ってハンサムなほうだし。そりゃホットな話題の一つや二つ…

蛇 :きしょ

鷹司:最近の子って上下関係とか習わないのー?僕、年上なんだけど
蛇 :歳とってんのにきしょいことしてたら尚更きしょいだけでしょ

鷹司:(無視して席を立ちソファーに移動する鷹司)

蛇 :それで、豚の情報は何がなんでも渡さないわけね。

鷹司:そうだね、どうしても渡せない。親の仇なのは分かるけれど、ダメだ。すまないね。

蛇 :すまない…ね、頭と口が別のところにあんのね。

鷹司:ごめんごめん。代わりにサツに流す君の情報、少なくしとくから。

蛇 :絞め殺すわよ

鷹司:殺し屋が言うと洒落にならないね

蛇 :ふん、お代は無しね

鷹司:ここ時間制なんだけど?

蛇 :情報よこさなかったくせに何生意気いってんの?

鷹司:はぁ、君と揉めるのは嫌だな。今回だけタダでいいよ。学生割引ってことで…

蛇 :当たり前よ。じゃね。

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