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社会派ジャニーズ、丸ちゃん(ヘドウィグ2022の話)

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

2022/02/03〜2022/03/06

東京(六本木)・大阪・福岡・名古屋・札幌・東京(台場)

まずはこれだけの日程・移動を無事終えられたことに拍手!!

私は2/13(六本木)と3/6(台場)を観劇。どちらもその場所の楽日だったので、「何でもない回見たかった…」と贅沢なこと思っていたが、大千秋楽でどの回も同じ気持ちでやったと丸ちゃんが言っていてやっぱ大好きこの人!となるなど。

コロナで客入り厳しい舞台も多い中、もちろんキャパ狭めということもあるけど、連日大盛況だったのは本当に何より。流石丸ちゃん。

まずはシンプルに公演の感想から。

凱旋公演の「Origin of Love」がめっちゃ良い。表現力上がってる所の話ではない。この曲引っさげてヘドウィグ、ツアーできますわ。

ヘドウィグの幼少期に母親が聞かせた、旧約聖書の「愛の起源」の話。「切り離されたカタワレがいる」というカタワレ探しの部分がヘドウィグの心に深く刺さると。

大人からしたら割と恐怖。何の気なしに話した物語が息子の心にぶっ刺さり、それを探してさまようことをなるとは。話自体に感銘を受けたというか、ヘドウィグは自分に感じていた不完全さを埋めるものが「それだ!」とバチコーン来ちゃったんだろうけど。

丸ちゃんの歌い方は聞かせる母親と聴く子ども、子どもがその物語を脳内でどう再構築したか、で、それを今度はヘドウィグが聞かせる立場になっている事まで、全てよく表現されていた。

六本木ではそこまでではなかったと思う。歌詞を追えてるってぐらい。歌詞伝わって、こちらもお〜〜〜👏🏻ぐらい。

台場では私鳥肌来ちゃって、逆に、中の人のファンなんで「丸ちゃんすげぇ」と思っちまった。

元々が素敵な曲(だし、物語の根幹のテーマが歌われてる)だけど、日本人がナチュラルに理解するのは難しいんじゃないかと思う。古事記で例えて分かりやすく説明して欲しい(無理だよ)。ヘドウィグは幼少期からこのテーマを背負って生きて、ヘドウィグにとって表現する方法はロックなのであって。そこが表現できてて、もうこの時点で超満足!!!素敵すぎてその後うろ覚え!!!!!

ヘドウィグは「良き歌い手」である事が絶対条件。それは歌唱力が、とかじゃなくて、ロックシンガーとして。ヘドウィグがいい歌を歌えるという、生み出す側、与える側にいることがしっかり伝わる。

順番前後するけど、Tear Me Down!ここがしょぼくちゃ興ざめですからね!2月に六本木で聞いた時と、3月、今の情勢で聞くとやっぱプラスして響くものがあった。壁は見えなくなっただけで、ヘドウィグのように存在はしてるんだなということと、目を向けてこなかっただけなんだなっていうこと。

あとは泣けてしょうがないWig In a Box。疲れた日本のOLには泣けてしょうがない。舐められないように化粧して、昨日残してきた仕事を片付けるために出勤する私の応援歌や。

上演する文化圏によって盛り上がりポイントが違うらしい、ヘドウィグ。分断の歴史を持つところではそれはそれは盛り上がるらしい。きっと分断の「越境」「乗り越える」ことに熱狂するのかと想像してるんだけど、Wig In a Boxが響きすぎるこの国では、閉じ込められた中でいかにご機嫌にやってくかが堪らんのだ。

丸ちゃんはパンフで「ヘドウィグのセリフを言っていると泣きそうになることがある」と言っていたけど、大千秋楽のそれはトミーにアングリーインチがバレたシーンだった。

言葉に詰まるその姿をみて、初めてヘドウィグの悲しみに触れた気がしたよ…

ヘドウィグは権力によってペニスを奪われてる訳だけど、それ自体は悲しいことではなかったんだと思う。それによってトミーに拒否されたこと、失ったことの方が悲しかったんだ。

もっと上手くやれたよな、例えばお互い冷静な時に話すとかさ…と思うと悲しすぎて、今でも悲しすぎる。(見てから4週間経ちますよ)

その悲しみが曲パクられて向こうだけ有名になりやがってと怒りに変わり、ヘドウィグの原動力になっていると。

映画を見た時はカタワレの結論が分からなかった(自分自身?)んだけど、今回の舞台ではヘドウィグのカタワレはトミーだと思った。丸ちゃん演じるヘドウィグと丸ちゃん演じるトミー、ファンから見たらその2人が合わさったら完全体でしかないじゃん!というのは半分冗談で半分本気。

いくらカタワレでも、人間は社会的な生き物なもので、運命の人とだからと一緒に居られる訳じゃない。イツハクとヘドウィグのように、同族嫌悪的な感情向けられて支配されてても、どこかに許しがあれば一緒にいることも出来るってことなんだと。社会派ジャニーズ(私は丸ちゃんは人と人の関係をとても社会的に捉える人だと思っている。)の丸ちゃんらしさ満点だった。

個人的には六本木でみるヘドウィグが土地と相まった趣たっぷりで好きだった。いつか武道館でやってください!日本のロッカーの聖地です、とヘドウィグに教えてあげたい。トミー追いかけ回してる設定どうすんだ。

舞台期間の丸ちゃん、神経研ぎ澄まされてて、苦悩もあって、やっぱり大好きや。

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