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誰にでも原点ってあるよね〜tick,tick,Boom

@シアタークリエ(東京・日比谷)
2024.10.06〜10.31

薮くんの舞台行ってきました〜〜

「RENT」の生みの親、ジョナサン・ラーソンの自伝的作品。30歳を目前にヒット作を生み出せていないことに焦りを感じる主人公のお話。

キャストは主人公のジョン、恋人のスーザン、友人のマイケルの3人のみ。

前半何も起きねぇな〜〜と思って観てたら、
終盤から一気に動き出して、どうしようもなく泣けた。で、頑張ろうと思えた。

前半はね、何も起こってないと思う私の感性が間違ってんのかと思ったけど、3回観て、やっぱり何も起こってないなと思う。

ジョンは30目前にして焦ってる、ただそれだけ。
焦りって自分自身にはとても負荷がかかるからさ、めちゃくちゃ脳も体も疲れるし、何かした気になっちゃうけど、実際なにかしてるかと言うとまじで全くしていない。最近の仕事中の私かよ。

終盤、マイケルにHIV陽性を告白される場面から
一気に動き出す。

ジョンの独白。マイケルとの出会いから今まで。今自分がいる街の描写。

たどり着いたセントラルパークの野外劇場。
そこのピアノを使い歌う「Why」

幼い頃マイケルと一緒にステージで歌ったこと。上手くできるまで何度も練習したこと。終わったあとの爽快感。
一生こうして生きていくと思ったって。

ああ、ジョンの原点はそこだったんだ。
誰にでも原点ってあるよね、と強く強く思ったし、
誰かの生きる歓びの原点に触れることって、こんなにも心震えるのかとびっくりした。

ジョンはもう創作を辞めようと思っていた、認められるまであと何度やればいいんだと。
でも上手くいくまで当たり前のように繰り返すこと、与えられた持ち場が決して華々しいものでなくとも懸命にこなすこと。
あの頃は当たり前だったことをどうして忘れてしまったんだろう。どうして思い出せたんだろう。

成功を求めたマイケルと、
平穏を求めたスーザンと、
そして、夢を求めたジョン。

3人ともステージに関わる人間だった訳だけど、
それぞれ選択しなければならない。自分の限界を知りながら。
ずっとこうして生きていたい、と
ずっとこうして生きていく、の違いかな。
でも人生の原点がそこになっちゃってんならもう仕方ないんだよね。

どうだろうなーーー
ジョンは劇中で面白いクリエイティブにたどり着けないことをジェネレーションを理由にしていたけど、
最後の曲で、俺たちのジェネレーションが世界を変えるんだと言っていて、いやでもホントそうなんだよ。
で、それ言うならやっぱり演者の世代は揃ってる方がうぉぉってなるかなあ。だって3人だし。
それはきっと私がそこドンピシャ世代で、ジョンが29と30で大きく変わると思っていたように、数年の違いも大きく感じてしまうからだと思う。

でも、
ジョナサン・ラーソンが亡くなった35歳
ジョンがタイムリミットに考えていた30歳
を目前に控えた演者なのも面白いよね。

東京千秋楽のカテコでリチャ丸って呼んでニコニコしてる薮くんと、寂しいの〜?じゃあみんなで下手にはけよ!って言う梅リカちゃんと、はんなり関西弁のリチャ。謎の座組だけどよかった。

何歳までに○○してやる!!みたいなものは私はないんだけど、この先歳をとるという感覚から解放された気分になって、本当にみてよかった。
それはグループ最年長でもアンチエイジングへの気負いも見せずにヒョロヒョロした体ですげーニコニコしてる薮くんが演じたからだと思ってる。
めっちゃ目が、フェルトマスコットのビーズみたいだった。

公園に向かうジョンの独白でマクベスのトゥモロースピーチを思い出したんだけど、
ネトフリで映画版を確認してもそんな描写はなかったしセントラルパークのシェイクスピア像への言及もなかったから、私が何でそれを思ったかは迷宮入りである。

シアタークリエ、いい劇場だよね。
この劇場来る度にシー・ラヴズ・ミーで観た時、いつかきっと竹内將人君には主演としてのハマり役が来るはずと思ったあの日を思い出す。
と思って調べたら、彼こそ今年30歳か。

何度でも言う、
計算とかじゃない、誰かの脳みそ、心、すなわち生き様を舞台上に観た時、どうしても胸が震える。

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