大人って意外と一生懸命〜トンカツロック〜
トンカツロック、新橋演舞場公演観劇してきました☝️
あの〜〜〜、意外と良かったです!!
「意外と」とつけたのは、人情モノってどうしたってどこかサブいところがあって、でもトンカツロックはなんかそのサブさに自覚的だよねって思ったんだよね。なんせ主人公のあだ名がサブちゃんだし。(え??)結局、他に表現したいものがきちんとあって、面白かった。
誰しも生きていく環境、場所って選べる部分もあるし、選べない部分もあるし、その塩梅が良かった!
設定はガラケー時代。平成だけど、スマホがない時代。どこまでその設定を活かしきれているかがいささか謎ではあるが、早稲田卒が公立中学の教師になる、その点にいい時代だったなと思ってしまった。
新橋演舞場初日から何度か観劇していて、
初日は「酔っ払い大昇可愛すぎる!!」
2回目は「ともちん、まじつまんねー女だな!!」
という感想だったんだけど、見る度に新たな発見があるというか、その日の自分のコンディションによってはともちんは夢を追いかけたいんだもんね、と思える日もあって、面白い。
何個かこういうコミュニティの悪いところが詰まってるわ〜〜ってシーンがあって、
あのー、先生が森村をトンカツ屋に連れてった場面。あそこが最悪でしたね!(笑)まじ男&大人の悪いところが詰まってた。
仲間だとか言って助三郎が警察連れてきたりして、ほんと余計なことしかしない。うわーー!!!助三郎にとってそのお巡りはダチかもしんねーけど森村からみたら嫌な存在に決まってんだろ!!!!
で、この感じを最悪!!なものとして描ける所がこの舞台のいい所だな〜と思って、そんな中でもトンカツ屋の奥さんのきみちゃんがちゃんと分かってる所がいいな〜と思った。
きみちゃんにハッパかけられてオドオドしながら森村追いかける先生も良かった。
さらっと平が八戸で原付事故って無免許&飲酒運転で捕まってんのも、助三郎たちが中学生に酒飲ませて商店会長にしこたま怒られてるのも面白かった。
ハチャメチャな金指一世にも、リングの上ではひとりじゃなかったって、人間の心があったのも良かった。
永ちゃん風な感じでセリ上がってくる那須雄登も良かった。
Body&Soulを踊る不動産屋のまきちゃんも良かった。
で、先生の留守電のシーンからの組み立てが最高だった!!芝居も最高だった!!初見で本当に心掴まれた。
もしまだ観ていない人がいたら、ぜひネタバレなしで見て欲しい。
私はこの下ですぐネタバレします。
「お話があります」と、携帯にともちんからの留守電が入っていた先生。言われた通りに公園で待っていたところ、森村が現れる。
不良集団と待ち合わせをしているが本当は行きたくない、先生も一緒に来てよという森村に、とにかく今日は帰れと言い、ともみを待ち続ける先生。
そんな先生に留守番電話の正体を明かす森村、なんと留守電の正体はともちんのフリした森村だった!
森村には帰れの一点張りだった一方で彼女は待ち続けていた先生を、生徒より彼女のほうが大切なんだと焚き付け、今晩ずっと一緒にいてよ、ホテル行こと誘う森村。嘘つき!いつでも相談してこいって言ったくせに!という森村。
森村の「このクソ教師が!」という言葉でキレちゃって、森村をビンタする先生。私なんか死ねばいいんだ……と呟く森村。それに対して先生が絞り出した言葉は「何なんだよ、お前……。」走り去る森村。そしてその場に立ち尽くす先生。
この時点だとね、中学生相手にキレちゃうなんて、何やこの教師。って思ったんだけどね、
その後トンカツ屋に泥酔して現れて、
これからともみに会うんだって嬉しそうな顔と、携帯なくした、ともみに会わなきゃ行けないから電話するんだって言い張る姿と。
急に泣き出して、ともみからの連絡を1週間待っていたのにバカな生徒のイタズラだったんだよ!と喚く姿と、
それぶん殴ってやったって言われて一同お前やっちゃってんな?思うんだけれども。
「ともみに正式にプロポーズしたんだよ、この前の土曜日に!」という一言から、これ大人だから分かる一大事感。
少し時間が欲しいと言われてから何もいわれず、その返事をこの1週間ずっと待っていたんだと。
酔っ払った先生は繰り返し言う、俺だって暇じゃないって。どいつもこいつもオレをバカにしやがって。どうせお前らもオレのことバカだと思ってんだろ?と。
その後店に現れたともみは大事な原稿書きの途中なのに、って言うけど、先生だって仕事終わりだし、入ってた留守伝盲信して公園で待つくらいには真剣で精一杯なんだよね。
ともみがそれくらい甘えられるように余裕に見せていたのは、先生の優しさなんだと思うよ。
いつでも人に優しくしたいから余裕にみせているだけ。なのにどいつもこいつもオレを舐めやがって、って、ああそんな気持ち私も分かるな、と思ってしまった。
で、その場でともみに先生はフラれる訳ですが、
フラれたてホヤホヤの所に警察のケンちゃん登場、交番に保護された森村が今晩だけは家に帰りたくないーーー!!と取り乱した状態になっていると。
それを聞いた先生は再び喚き出して、俺は森村に今晩ずっと一緒にいてくれって頼まれたんだって、森村は俺に助けて欲しかったんだって。
この情報の中でね、その要素を取り出せる先生は偉いよ。(わたしケンちゃんの話だけじゃ気づかなかったもん。)
ホテルとか強がって余計な要素つけちゃったけど、本当に今日はどうしても家に帰れなくて、先生に助けて欲しかった、それが1番だったんだ。
で、目を覚ます為にバケツで頭から水を被る。(一同:え???こいつマジかよ????)
連れてこられた森村に反応し、店を飛び出す先生。ずぶ濡れの大人にオレを殴ってくれーー!!ごめんな!ごめんな!!!とか言われたら怖すぎるけど、先生は土下座した後に、死ぬとか言うなよ…と、お前のその言葉が頭から離れなくて、お願いだからそんな悲しいこと言うなって懇願するんです。森村は引き続きうぜぇよ!と拒否しようとするんだけど、そんなまいちゃんに、きみちゃんがビンタする。先生マジモンで心ひん剥いてんのに、まいちゃんは意地と興奮が先走っちゃってそれに真剣に向き合おうとしない、1種の甘えですよね、きみちゃんはそれにビンタしたんだと思うんだよね。
子どもの頃って、大人って好き勝手振る舞えて、余裕そうでいいなって、わたしも何となく思ってた。でもさ、大人って意外と一生懸命生きてんだよね。これがロックか。
いやーーー、ここの一連はセリフの1つひとつが素晴らしかった。紡がれる言葉でハッと気付かされることが重なる感じが大好きだった。
常時は理性が上回る先生だけど、自分の私生活ボロボロなタイミングで即座に切り替えられるくらいには責任感があり、人が隠しながらも見せた想いに気づく事ができるくらいには社会性と優しさがある。(2幕で判明する乙女心へのデリカシーの無さはさておき)やっぱり、問題生徒の信頼出来る先生を見抜くセンサーはバカにならん。
私たちが森村の家庭環境をようやく把握できるのは2幕も最後の土手のシーン。(上記の留守電からの1連は全て一幕です。濃い。)
いやーーー子どもの世界って残酷。我々はどれだけ子どもたちを心から応援できているだろうか。あのシーンで先生が送った心からのエールが、森村がサバイブする心の支えに少しでもなればいいなと思って、泣けてしまった。
新橋演舞場、引いては全国公演から数えても折り返しをむかえ、ますますアドリブも増えていきそうな予感!
優先生に演歌だけ歌える設定がプラスされますように。
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