iPS細胞と免疫細胞

iPS細胞と制御性T細胞
iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、体のさまざまな細胞に変化できる細胞のことです。
山中伸弥教授がこの技術を開発し、ノーベル賞を受賞したことで有名です。制御性T細胞は、免疫反応を抑える役割を持つ特別な免疫細胞です。

通常、免疫細胞は体を守るために外部からの侵入者(ウイルスや細菌)を攻撃しますが、制御性T細胞は過剰な免疫反応を防ぎ、自分自身の細胞を攻撃しないように調整します。

自己免疫疾患では、この機能がうまく働かず、体が自分自身を攻撃してしまいます。

研究
京都大学の研究グループは、iPS細胞から制御性T細胞と同じ機能を持つ細胞を作ることに成功しました。
これが画期的なのは、次の理由からです。

世界初:人のiPS細胞から制御性T細胞と同等の機能を持つ細胞を作成することは世界初の試みです。

拒絶反応の抑制:移植医療において、移植された臓器や細胞が拒絶されるのを防ぐために役立つ可能性があります。

技術の仕組み研究グループは、iPS細胞を特定の方法で培養し、タンパク質など四つの物質を用いた試薬を与えることで、制御性T細胞と同じ機能を持つ細胞を作り出しました。この細胞に人工タンパク質を追加することで、骨髄移植後に起こる「移植片対宿主病(GVHD)」という合併症を抑える効果を確認しました。

実験結果
免疫不全状態のマウスにこの新しい細胞を投与したところ、GVHDの進行を抑えることができました。これは、今後の免疫細胞治療の発展に大きく貢献する可能性があります。

今後の展望
金子新教授は、この研究が自己免疫疾患やその他の免疫関連疾患に対する新しい治療法の第一歩になると述べています。例えば、関節リウマチや1型糖尿病のような病気に対する治療法が開発される可能性があります。

課題
まだ課題はありますが、これからの研究で克服されていくと期待されています。例えば、安全性や長期的な効果の確認、臨床応用に向けた試験などが必要です。

この研究は、免疫関連疾患の治療において新しい可能性を開くものであり、医療の未来に大きな影響を与えるかもしれません。

令和6年6月6日に米科学誌電子版に発表されました。
ゾロ目ですね。


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