父のコーヒー
先日、かなり久しぶりに実家へ帰った。
帰ったというよりは立ち寄った、の方が正しいかもしれない。家族は連れずに私1人。滞在時間は3時間。短い時間だったが喉が枯れるくらい喋りまくった。
昼からは別の予定があったので、少しでも長く実家にいる為夜行バスで帰った。
新幹線で帰るより2時間ほど早く着けるはずだった。
ところが三連休初日ということもあり、高速道路の渋滞のおかげで、結局予定より1時間遅れての到着となった。
前に実家に帰ったのは叔母のお葬式の時だったか。もう10年近く前になる。
結婚してから色々とあり、少し足が遠のくうちに子供が出来て、仕事の忙しさを理由に帰っていなかった。
コロナが流行る直前に一度帰る計画を立てていたが、それも吹き飛んだ。後期高齢者の両親と、10歳年上の身体障害者の姉に万一感染させるようなリスクは避けたくて、それ以来実家には帰らなかった。
その間に次男が産まれた。あっという間にやんちゃに走り回る2歳になった。
今年の夏、長期の海外出張が決まり、ヘルプという名目で両親を呼び寄せた。
長男の成長と、次男の元気さにとても喜んで貰えたが、私は出張中だったので両親とは会っていない。
だから。
もうすぐ70代も後半にさしかかる両親と会うのは正直少し勇気が必要だった。
どれくらい老け込んでいるのか。
小さくなっているのか。
自分の髪の毛が真っ白になるくらい時間が経ったのだ。当然両親もすっかりおじいちゃんとおばあちゃんだろう。
ドキドキしたが、実家最寄りの駅に車で迎えに来てくれた母親は想像以上に元気だった。
車も前と変わらないスバルのインプレッサだった。
実家までの道中、変わらない風景と変わってしまった景色が混ざり合う故郷を車で走り抜けながら、母親から父の愚痴を聞かされる。
愚痴も今日は心地良い。元気な証拠だ。
ただ嬉しい。
実家では父と姉が私の帰りを待ってくれていた。
朝ごはんは母親が作ってくれた巻き寿司だった。
キュウリとソーセージと卵焼きと大根のお漬物。
これらをマヨネーズベースで和えて巻いてある。
これに紅しょうがを添えて頂く。
相変わらず独特な組み合わせだが、久しぶりの実家の味にとても落ち着いた。
お茶を啜っていると、父がいつもの準備を始める。
コーヒーだ。
普通は、巻き寿司にコーヒー?!となるのだが、父のコーヒーは別だ。
一体どんな仕掛けがあるのかわからないがこれがめちゃくちゃ美味しい。
一言で言うと濃いのだが、ガツンとくる苦味がコメダでもドトールでもスタバでも出てこない深い味なのだ。誤解を招く言い方をしたが、ここに挙げたお店は私も大好きだ。
ただ、父の淹れるコーヒーは別格なのだ。
「相変わらず美味いね。どこの豆使ってるの?」
と聞くと、嬉しそうに出てきたのはパックされたドリップコーヒーだった。しかも、ホテルのミニバーに常備されている類のやつだ。
実は親戚に劇団Sのお偉いさんがいるのだが、出張先のホテルで必ず持ち帰るというコーヒーらしい。
あまりに美味しかったので3つほど分けてもらったが、家で飲んでもさほど美味いと思わなかった。
やはりあれは父にしか出せない味なのかもしれない。でも今回もコーヒーの旨みの秘密は聞かなかった。
聞かないうちは父も元気にコーヒーを淹れてくれる気がする。
余談ですが、私がnoteをやっていることを長男が両親にバラしたようです。
当然、noteが何か分かっていない両親ですが、文章を書いていることを知って応援してくれたと同時に、「官能系はやめてや」と釘を刺されました。官能系はないけど(近いものは書いた気もする)変態系は書いてるで。とは言えませんでした。
今日の勝手に紹介はこちら。
ミトシさんです。
この衝撃的なタイトルは、𝕏でミトシさん、理生さん、ディエムさんといつものメンツで遊んでいた時にミトシさんが出したキラーワードでした。
こんな風にわちゃわちゃしたい人、𝕏でも遊びましょう✨️