毎週ショートショートnote 『書庫冷凍』

『忘れま書店』

最近ブームのその店は、どんなものでも忘れさせてくれるらしい。

雑居ビルに寄り掛かるように建つ小さな店先には、「その思い出忘れましょ」と昭和風の水着女子が微笑むレトロなポスターが貼られている。

店内に入ると、西陽が差し込むその奥に、小さなレジカウンターがあり、壁際には大きな書庫が立ち並ぶ。

ビシッと七三分けに立派な口髭が似合う、ダンディな店主が笑顔でメニューを指し示す。

【忘れま書店メニュー表】

■ 別れた恋人と揃えた食器・・・プ冷凍レート
■ 捨ててしまいたい写真・・・ポート冷凍レート
■ 別れた恋人の好きだった曲・・・Can you セレブ冷凍レート
■ ボクシンググローブ・・・右スト冷凍レート
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ふむふむ、色んなメニューがあるな。

私が選んだのは

チョコ冷凍レイト

こんなものがあるから、みんな不幸になるんだ。

キンキンに冷えた書庫の扉を開けて、私は持ってきたチョコレートを放り込んだ。

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(410字)

たらはかにさんの毎週ショートショートnoteへ参加します。

お題は『書庫冷凍』。
こんな書店があったら、持ち込みたいものはありますか？

裏のお題『チョコニート』はこちら。

表と裏でセットの物語となっています。
あわせて読んでくださると嬉しいです😊