1人追いかけ再生工場⑩ 『店員に厳しい日本人』
エロイムエッサイムエロイッ
くそ!またエロイで噛んだ。この呪文難しすぎるぜ!
もう一度だ。
エロイムエッサイムエロイムエッサイム!!
やった!言えた!
そして目の前に現れたのはザ・悪魔。誰もがイメージする悪魔そのものだ。
悪魔との契約でおれは『世界で1番おもしろい文章を書きたい』と願った。
「前にもその願いを言った奴がいたなぁ。奴はもともと筋が良かったが……」
頭の角の付け根をポリポリしながら面倒くさそうに悪魔は契約書を差し出してきた。
契約の対価についての説明もそこそこに、おれは契約書に判を押し、次に書こうとしていた1つのお題を悪魔に差し出した。
「『店員に厳しい日本人』というお題で最高のやつおなしゃーっす!!」
「あほか!自分で考えるんだよ。おれはそこに悪魔のスパイスをふりかけるだけだ。お前が恥を捨てて変態になればなるほど面白くなる。さあ早く書くのだ」
ほんとかよ。おれは慌てて書き始めた。
『店員に厳しい日本人』
たまたま目に付いた『店員に厳しい日本人』という本を読んでみた。
どうせ、お客様は神様です、っていう日本特有の文化を題材にしてるんだろ、と思って読んだら全く違っていた。
何だこの本は?そう思って次のページをめくると、お風呂屋さんでやっちゃいけないルールが記載されている。
さらにその後ろには全国のお風呂屋さん情報がぎっしり。
何だこの本は?
めっちゃ役立つじゃないか。
おれはそのリストの中から1番好みのミキちゃんを見つけ出した。いやもっと前からミキちゃんのことだけは知っていた気がする。
後日チョンの本を読んで湧き上がった好奇心を抑えきれず、オススメの道具を持参してミキちゃんに会いに行った。最初は良かったが道具を取り出した時点でミキちゃんからは「ドラえもんかよ」とNGを出され、店からも出禁になった。
最後までイかなかったが払った3万円は返ってこなかった。
ふう、なんとか書き上げた。
どうでしょう、悪魔さん?
「くっそ意味わかんないけど、まあ書いてたらいいんじゃない?しらんけど」鼻毛を抜きながら興味無さそうに悪魔が応える。
おれは何と何の契約をしたのだろう?
悪魔のスパイスってなんやねん。
あとがき
こちらは下書き再生工場跡地に誕生した変態再生工場です。1人で60作書き続け、かつ変態ネタ縛り、という荒行を進めていますが、ようやく10作目まで来ました。
お題のネタ元はアルロンさん。最近ますます素敵なエッセイを書かれています。
そして本家の下書き再生工場では福島太郎さんにより素晴らしい作品が再生されております。
さらに、現在休止中の第二工場にて、生み出された作品がこちら。風刺の効いたユニークな作品でこれも良きです。
それではまた次作でお会いしましょう。