オールグリーン
ワールド•ブルー最上階には役員のみが出入りできるエリアがある。
その中の小さな一室に男2人が向かい合って青いソファに座っている。
パリッとしたライトブルーのスーツに身を包み髪の毛もパリッと固めた神経質そうな男が口を開く。
「えと、蒼、、、モリくんだっけ? 何かな重要な案件って。僕もそれなりに忙しいからさ。わざわざ人の来ない場所を指定するってことは重い話かな?」
蒼モリと呼ばれた男は声をかけられオズオズと話し始める。
「マイトンさん、蒼林です。実は先日マイトンさんが会社の廊下で女性と話している声が聞こえたんです。
随分物騒な内容だったもので気になっていたら、会社近くの喫茶店で相手の女性を見かけたもので。あの喫茶店の店員とはどういう関係なんですか?あなた、この会社で何をやろうとしてるんですか?」
問われた男は微動だにしない。
口元は相変わらず笑っているが目は冷たい光を放っている。
1分。
長い沈黙のあと、マイトンと呼ばれた男は話し始める。
「ふぅん。見てたんだね。アハハ。さすがに堂々としすぎたか。また波に怒られるな。」
「波っていうんですね。あの女性。どうして喫茶店の店員とあんなに親しげに」
「しぃーーーー」
人差し指を口元に置いて楽しげにマイトンは蒼林を遮る。
「分かったよ。特別に蒼ハシくんに教えてあげよう。」
🟰🟰🟰
「僕が蒼広樹社長の孫ってのは知ってるよね?
でもオカシイと思わないかい?まあオカシイと思わないようにしてるんだけどね。どう見ても社長は40代後半。時代が合わない。
僕がいた時代はこの世界から40年くらい先の世界さ。
君は知らないだろうけどうちの会社は愛殺文って武器を作ってるんだ。それが世界に投下されると地球は半分以上死ぬ。
つまり死んだ後の世界の生き残りが僕たちさ。
僕は大学卒業後、環境調節省の森林保全局へ就職したんだ。仕事は分かりやすく言えば公園に花を植えたり森林を管理したり、ってところかな。
平和だろ?
それが愛殺文のせいで地球の3/4が砂漠化してしまった。
原因はワールド•ブルー社だけど、悪いのはおじいちゃんではない。おじいちゃん、つまり社長は単なるいいひと、挨拶おじさんさ。
でも人を集める魅力と力があって、多くの人が周りで色々協力してくれる。
人が集まればそれを利用する人間も現れる。
そいつらが愛殺文なんてものを作り、この世界を壊した。
僕は愛殺文が投下される前の時代に飛んできておじいちゃんを唆す悪いやつらをいなかったことにしているんだ。
それがおじいちゃんの為にもなるからね。
すべては緑多き未来のために。
あぁ、話が長くなったね。
波は頼れる相棒さ。
1人で飛び出そうとしたら心配だからって付いてきてくれた。
彼女がどうかは知らないけど僕にとってはかけがえない存在さ。
まあそんな気持ちなんて今は必要ない。
美味いコーヒーと仕事さえあればいい。」
蒼林の顔が次第に蒼くなる。
「おや、察しがいいじゃないか。
なぜこんな秘密をべらべらしゃべったのか。
分かったみたいだね。
覚悟の時間だよ。蒼林くん。
波、出ておいで。
さっさと片付けてコーヒーを早く飲みたい。
異常なしだ。」
🟰🟰🟰🟰
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ワールドブルーきな臭い担当のマイトンです。
波さんのこちらの話から発展しました。
それを受けて蒼さんにバトンがつながり、
そこから「喫茶 花」のマスター小花さんがほのぼのした話に戻そうとしますが、
でも結局私が書くとこんな話に。。
ということで、今回は波さんのまいたタネを回収する回でした。
皆さんが自由に創作を楽しむワールドブルー物語。
素晴らしいサイトマップはこちらです。
また、予告ですが明日の朝にウィークリー vol.2をリリース予定です。
vol.1はこちら↓
是非皆さんの参加をお待ちしております!
サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー