路地裏があったら入りたい
9月19日。昼休みだ。いつものように自分のデスクで弁当を食べる。今日は炊き込みご飯と焼き鮭。昨晩の残り物を自分でタッパに詰めただけの簡素なものだ。数分で食べ終わり、おもむろにスマホを取り出す。右親指で画面をフリックするとnoteとXの通知がズラリと画面上に並んでいた。何も変わらないいつもと同じ昼休み、のはずだった。
ふと目についたのはフォローしているnoterさんの投稿したつぶやきだった。中を見なくてもわかった。創作大賞中間選考に落ちたという内容だ。そろそろと思っていたが今日だったのか。再び通知リストに戻ってGmailの通知の塊を見る。呆気ないがドキドキは5秒程で終わった。期待したものはそこに無かった。
駄菓子菓子今回の大会は1人の戦いではないのだ。気を取り直して改めて公式さんの結果発表会場を訪れた。
なるほど。通過した作品のリストがずらりと並ぶ。上から知っている名前がないか見ていく。全部で305件。
結果は残酷だった。
大好きなあの人もこの人も名前は無かった。ほんのひと握り応援している方を見つけて少し安堵する。
そっかー。
そうなんだ。
自分が落ちたこと以上に気になる人が沢山いた。午後の仕事は何となくソワソワして手につかない。
「悔しい?」
「うん、悔しい。」
「それから?」
「それだけ。」
「じゃあなんでそんな悲しそうなの?」
「悲しいんじゃなくて寂しい。お祭りが終わったんだなって。あれだけ沢山打ち上がった花火が一気に夜の闇に消えてとても静かなんだ。」
「なんだそれ、感傷なんて似合わないよ。」
頭の中で誰かと誰かが会話している。どちらも知らない人達だ。初めまして、知らない人達。どうして私の頭の中にいらっしゃるのかしら?お茶でもいかが?
どうにも落ち着かないので図書館に篭って論文を読むことにした。15時頃から降り出した雨は一瞬で豪雨に変わっていた。激しい稲光と雷鳴が轟く。こりゃしばらく帰れないな。集中できない私は窓を打ち付ける雨音を聞きながらぼんやりと過ごす。17時。雨がいくぶんマシになったのを確認し、いつもより早めにPCを閉じて帰ることにした。
カバンから折りたたみ傘を取り出す。もともと日傘として購入したもので買ってから10年ほど経つ。そもそも晴雨兼用ではないのかもしれない。傘をさしているのだが何故か雨が顔に当たるのだ。どこかに穴が空いているのだろうか。いつもなら大して気にならないのだが今日は些細なことも心をチクチク攻撃する。
うまくいかないなあ。
傘の役目を果たさないものと一緒に駅まで歩く。
いつもは小腹が空いても家までは我慢することにしているが、今日は心の隙間を何かで埋めたくて仕方なかった。ファミマに寄って香ばしチキンを1つ買った。
普通のファミチキよりもぽってりと分厚い衣はしっかりと香ばしい醤油の味が染みている。齧り付くとザクッと噛みごたえのある食感のあとにじゅわ~が口いっぱい広がる。ポップは嘘じゃなかった。
何やねん、ちゃんと美味しいって感じるやん。
雨に濡れながら10歩もしないうちに食べ終わった。決して心が満たされたわけではないけど、222kcalを摂取して少し前向きになれた気がする。
大好きなnoterさん達が結果を受けてのつぶやきや記事を次々あげていた。幸い今のところ誰も折れた人はいないようだ。
皆それぞれ結果を受け止めて明日へ向かって歩き始めている。
どうせ濡れてるからもういいや。
思い切って傘を閉じたらいつの間にかすっかり雨はあがっていた。
そうだ、沢山の仲間がいる路地裏に帰ろう。
みんな、ただいま。
路地裏を万人が認知する文化に仕立てあげて来年こそはこの中から創作大賞出しましょうよ。
ねぇ、課長。
今日の勝手に記事紹介は、路地裏に最近迷い込んだティコ族末弟の鳩尾くんです。
路地裏は環八らしいです。ちょっと何言ってるか分かりません。
こんな自由な表現の場が私も大好きです。
もう1件は大塚ぐみさん。
noteを始めた当初からファンになって追いかけてます。ある意味高嶺の花子さんかもしれない。