君といつか緑の土地で
風が気持ちいい。
風に乗って甘い香りもやって来る。
目を開けると見渡す限りの花畑だ。その中心に立っている。
もう一度目を瞑る。
今度は優しい音が聞こえる。
そよそよそよ。草花たちが囁く。
さらさら。遠くから水の流れる音もする。
再び全身の感覚を研ぎ澄ます。
暖かな太陽が体を温めてくれる。太陽の優しい光に包まれている。
そして優しい風が体を撫でて通り過ぎていく。
ここはどこだろう。
わからない。
どうやってここに辿り着いたのか。
それも覚えていない。
ただひとつ、誰と来たのかだけは覚えている。
横を見ると彼女は同じく目を閉じて全身でこの温かな大地を楽しんでいるようだ。
「なあ、波ーーー。」
名前を呼ぶ。
「ぼくたちやっとこうしてーーーー」
続けようとした時、甘えるように体を擦り付けながら足元を歩く存在に気付く。
黒ネコのダン。
「何だお前もいたのか。」
目を細めて小さな相棒を抱き上げる。
再び波に視線をやると、遠くを指差して何か言っている。
聞こえない。
こんなにも静かなのに、どうして、、
🟰🟰🟰
「…ん。またこの夢か」
男はベッドから起き上がり横にあった眼鏡をかける。
時計はまだ6時半だ。
十分間に合う。
今日は見た目がかなりコミカルな男と会う約束をしている。冥土カフェで集合とはなかなか考えたものだ。
確かにそんな場所で仕事の話をするなんて誰も想像しないだろう。
有能な我が社のスーパー婆ザーの情報によればその男はおじいちゃんと、おじいちゃんお気に入りの秘書を狙っているそうだ。
また面倒な話だ。
どうしたものか。もう少し泳がせておくか、ここでケリを付けるか。
それを決めるのは男と会ってからでも遅くない。
「…行ってきます」
主のいないキャットウォークの方を一瞥し男は玄関を出た。
🟰🟰🟰🟰
ワールドブルーとは違う記事を書こうと思うのですが、皆さんの更新頻度が高く放っておくと展開についていけなくなりそう(書きたい話を挟む余地がなくなりそう)という一種の焦りを覚え急遽書きました。
なんのはなしかわからない人はこの辺りを眺めてワールドブルー物語について知っていただけると嬉しいです。
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そして今回は波さんの作品から繋げています。
最後に少し出てきたヒットマンはこちら。めちゃくちゃ楽しいお話です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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