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1人追いかけ再生工場⑤ 『遠い日の不良に言えないはなしの前段』

「お前ら朝ごはんはちゃんと食ったか?先生は今日もモチ3個食ったぞ。やっぱりモチは醤油と海苔が最高だよなぁ!」

今日も朝から担任の塩田は元気いっぱいでうざい。なんでこいつは毎日餅の話をするんだ。
でっぷりとしたお腹周りを見ていると、自分だって餅は好きなのに食べたくないとさえ思う。

イライラしながら窓の外を見ようと視線を左にうつすと、京子がつまらなそうに欠伸をしながらやはり窓の外を見ている。

京子、なんて脳内では呼び捨てにしているのも彼女が保育園時代からの幼なじみで親同士が仲が良いからであって、決して本人を呼び捨てできるような間柄ではない。

小学校の間は京子ちゃん、正美くん、と呼び合うくらいの仲だったが、中学に上がる頃には全く接点がなくなっていた。

自分はいつの間にか存在感を消す術を身につけ、学年カーストでも底辺にいる。

一方京子は普段から高校生の柄の悪いやつらとつるんで授業も平気でサボるような、いわゆる不良になっていた。

あ、欠伸をしていると思っていたらもう寝ている。
まだ一限も始まってないというのに。
きっと二限が終わればいつものように屋上でのんびり過ごすのだろう。

そう、僕はずっと京子を見ていた。京子の大体の行動パターンは頭に入っている。

京子は授業中は大抵屋上にいるか寝ているかが多いのだけど、体育の時間だけは違っていた。

昔から運動神経が良かった京子は、長い手足を存分に活かしてどんな競技でもヒーローだった。
体操着の袖を捲りあげて露わになる二の腕は程よく筋肉がついていて、それでいて女性らしい柔らかさが感じられる美しさがあった。

京子は胸が大きい。こればかりはなるべく直視しないよう気をつけていたが、明らかにクラスの中でも大きい方だ。ぶるんぶるん揺れる胸を視界の端でしっかり捉えながら、運動するには邪魔だろうな、と想像するのだった。

また、ハーフパンツから伸びる足も健康的で、いつかあの足に蹴られたいという衝動を抑えきれずにいた。実際蹴られる夢を見たあげく、朝起きたら夢精していたという恥ずかしい過去すらある。

何故今の世にブルマーがないのか。昔は今のようにスマホも無かったから、無修正の動画を手軽に見ることは出来なかっただろう。しかし昭和にはブルマーがあった。学校に行けばブルマーがあったのだ。

どちらがいいか選んでいいよ、と言われたら僕は間違いなくブルマーを選ぶ。いや、違う。ブルマーを穿く京子を選ぶだろう。

だから、僕は体育の時間元気に走る京子を見ながら、脳内でブルマーを穿かせてやる。せっかくだから紺色ではなく、ピンクのブルマーだ。京子にブルマーはとても良く似合う。こんな風に想像力豊かに産んでくれたママには感謝だ。ママありがとう。



🟰🟰🟰


そしてその日の放課後。僕は教室にいた。
周りには誰もいない。


僕は今日学校であったことを忘れないように日記に書いている。これも大切な日課だ。
いや、正直に言うと今日の京子の活動を記録しているのだ。


今日も京子は体育のサッカーで大活躍だった。
京子がシュートしようとした時、これは絶好のチャンスとばかりにボールと京子の間に走り込んだ。
思惑通り思いっきり蹴られて、その後は一日保健室で過ごすことになった。

今でも蹴られた自分の尻を撫でながら今日はいい一日だったとニヤニヤが止まらない。

よし!今日という日を忘れないようにしっかり記録した。書き終えてふと目線をあげて京子の机を見る。


おや?


机の横には体操着の入った袋がぶら下がっている。

あれ、忘れちゃったのかな。洗濯しないといけないのに。



ドクッ


ドクン



なんだろうこの音は。

最初は分からなかったが、しばらくして自分の鼓動だと気が付いた。


今一度教室を見回す。

誰もいない。


ドクン


ドクン


教室のドアを静かに開けて廊下を見渡す。
右よし、左よし。

よし、誰かが近づいてくる様子もない。


ドクン


ゴクリ


喉元を唾が通り過ぎた。
自分の手なのに、自分のものでは無いかのようだ。

自分の手の形をした何かが勝手に動き、気付くと京子の体操着袋を開けていた。


中には紺色のブルマーがあった。


一瞬固まる。

どうして?

何故ブルマーがここに?


当然その答えが分かる訳もなく、気が付くとカバンにブルマーを突っ込み、誰にも見られないように急いで家に向かっていた。



🟰🟰🟰


次の日の朝、教室に着くと京子の声が聞こえてきた。


「まじありえないんだけど!誰か私の体操着パクったみたいなんだよね!まじキモイ!!

でもウケるのがさ、パクられたのブルマなんだよね!」


その声を聴いてドキンとする。

ヤバい。どうしよう。僕だと気付かれたら終わる。


「え?どうゆうこと?ブルマってなに?」

京子の取り巻きA子が聞く。


「いや、実はさ、うちのおっさんが部屋にメイド服とかナースの衣装とか隠しててさ。それ見つけてまじで絶望したんだけど、ブルマがあったからネタで穿いてみようかと思って持ってきてたんだよね。」


「なにそれー??まじキモイんだけど」


取り巻きB子が言う。

「だよね。ママに着せてるかもって思うとキモいし、どっか外で使ってるのもキモイなって思って結局穿かなかったんだけどね。誰だよ盗ったやつwww まじウケるわ」




僕はその会話を聞いて、昨晩ブルマーで5回も果てたことを京子に言える訳もなかった。




「お前ら朝ごはんはちゃんと食ったか?先生今日はきな粉でモチ5個も食っちゃったよ」


塩田の声が遠くで聞こえる。





もうこの活動を始めて果てしない時が過ぎた気がしていましたがまだ5話目なんですね。

あと55体の変態を生み出す必要があるとかまじでなんのはなしですか


同じ日に創作大賞の授与式があったというのに、おれは何を書いているのか。
いや、これこそ私の主戦場だ!!
己を奮い立たせて書きました。

生暖かい目で見てくれたら嬉しいです。

皆さんからの温かいコメント、これだけが続けていく生命線です。よろしくお願いします😆




今日の勝手に記事紹介はこちら。
黒夢(クロム)さんです。noteには色んな才能に溢れています。ステキ💓

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