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耳かきングダムに思いを馳せる

昔から耳かきが好きだ。

あー膝の上が好きなんでしょ?って思ったそこのあなた。それは一言一句その通りなのだが、今日はその話ではない。耳かきの話だ。

耳かき棒と言えば竹でできていて、おしりの部分にたんぽぽの綿毛みたいなのが付いたものを使っていた。あのたんぽぽの綿毛みたいなのは梵天というらしい。なんて大層な名前だ。ならば耳かきの先は「釈迦の手」なんてどうだろうか。そしたら先が何本かに別れてて気持ち悪いものになるだろうか。

#どうでもいいか

ただあの竹の棒は刺激が強すぎる。だって竹だもの。めちゃ硬いもの。結果的にやり過ぎて流血することがままあった。

これはいかんというとこで綿棒に切り替えたが、毎日やるもんだから綿棒の消費が早すぎる。
当然コスパ最強の百均綿棒を愛用していたのだがある日事件が起きた。

いつものように綿棒をくるくるスクリューさせながら耳の中に突っ込んでいたら、急に耳が詰まる感覚になった。

え?と思って綿棒を見ると先がない。

綿棒の綿が取れて棒になっている。綿どこいった?
焦った私はなんとか指で耳に詰まった綿を取り出そうとするが出てくるわけもない。むしろぐいっとより奥に詰め込んだ気がする。
まあ寝てるうちに出てくるだろ、なんて安易に考えて寝て起きたが、やはり綿は微動だにしていなかった。

どうしよう。病院に行くしかない。
でも、こんなに耳かきが好きなのが見知らぬ人に知られるのってなんだか恥ずかしい。
お前毎日耳かきしてんのか?ええんか?それがええんか?とか関西弁で腕毛の濃いオッサンになじられたらどうしよう。いや、いつも行ってる耳鼻科の先生はそんなキャラじゃないんだけれども。

よくおしりに異物を入れて出てこなくて病院に行く話を聞くがそれよりはマシか。だって耳に綿棒突っ込むのは普通の使い方だもんね。でも綿が取れるくらいハードに突っ込んだと思われるのもなんだかやっぱり恥ずかしい。

そんな葛藤をしながらも意を決して耳鼻科に行くと、想像の3倍怒られた。
なんなら軽い耳かき禁止令も出た。

それでふと父親のことを思い出した。
父親も耳かき大好き過ぎてある日鼓膜を傷付けたとかで、片耳の聴力をほぼ失っている。

あの時は空いた口がふさがらないとはこの事か、と我が親ながら残念に思ったが、蛙の子は蛙。耳かき好きの子は耳かき好きだ。
このままでは自分も聞こえなくなるまで耳をほじり続けるだろう。今なら引き返せるはずだ。



やっぱり気持ちいいところはデリケートな部分でもあるのだ。色々と敏感だから、気持ちいいけれど行き過ぎると血が出たり痛い思いをする。

自分にとって気持ちいいと思っていることが、無意識に誰かを傷付けていないか。


年末はそんなことも考えながら今日も恐る恐る耳かきをする。

だって、今綿を耳の中に置いてけぼりにしたら病院休みだもの。耳聞こえなくなるのは嫌だもの。


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