【アジアウインターリーグ】12勝2敗で日台プロに2.5ゲーム差をつけレギュラーシーズン1位の社会人選抜
安定した投手力で開幕7連勝
若手選手が実戦経験を積むため毎年11月から12月にかけて台湾で行われているアジアウインターベースボールリーグ。
それぞれの企業カラーユニフォームで戦う日本の社会人JABA選抜の胸の社名は20社以上。過去には広島の栗林投手(トヨタ自動車)や阪神の中野選手(三菱自動車岡崎)もJABA選抜として参加しています。
入社1、2年目の選手が多い中、初戦は5年目で初選抜の山本 卓弥選手(HONDA熊本)が3安打1本塁打7打点と大活躍。JABA選抜はNPBレッド相手に15−5で圧勝しました。
JABA選抜はその後も日台のプロ選手相手に7連勝。NPBも同じく1、2年目の選手が中心ですが中南米やオーストラリアでもウインターリーグがあり、台湾に派遣されるのは高卒など今年2、3軍が主戦だった社会人よりさらに若い選手たち。
プロは1週間に1回の先発登板が一般的なのに対し、トーナメントで戦うことが多い社会人は勝ち進めば毎日のように試合があり、エース格が先発リリーフとフル回転することになります。他チームより少ない10人に満たない投手登録でしたが、抜群の安定感で長いイニングを投げ連勝中全ての試合で先発投手に勝ちが付きました。
社会人侍ジャパン候補の若手30人たち
途中、一部選手の入れ替えを行なったJABA選抜ですが、普段3週間というこれだけ長い期間毎日試合があることはなく、暖かい台湾での開催とはいえ選手に疲れ見えはじめました。しかし、JR東日本の高橋選手は「(疲れはあるが)こんなにすごい選手がいる中で全試合4番を打たせてもらっている」と感謝を口にしました。JR西日本の戸田選手は日本選手権で結果が出ずバッテングを変えウインターリーグ中盤まで打率5割をキープ。選手たちはこの時期に実戦でしか得ることのできない経験をし、今回メンバーに選ばれたことを「本当に良かった」と話していました。
準決勝で台湾プロ相手に8者連続三振
18試合中12勝し圧倒的な強さでリーグ戦トップになったJABA選抜は準決勝でリーグ4位の台湾シーズと戦います。先発はバイタルネットの松田投手。「オフシーズンのトレーニングで今年はストレートで空振りが取れるようになった」と話す通り7回14奪三振と圧巻のピッチングをみせ、攻撃でも日本生命の高田選手が3安打3打点を取るなど9-1で完勝。
決勝の相手は巨人、ヤクルト、オリックス、西武からなるNPBホワイト。JABAの先発はトヨタ自動車の1年目後藤選手。5回にエラーが絡みで1失点し、6回に変わった笠井投手(三菱自動車岡崎)も打たれ0−3と点差を付けられます。バッター陣もここまで3試合に先発しわずか2失点の先発巨人の育成鴨打投手にわずか1安打に抑えられ、9回に代わった巨人の田中選手から先頭の山本選手がヒットを打ち、2アウト二塁から日立製作所の吉川選手のタイムリーで1点返しますが、盗塁でアウトになり試合終了。JABA選抜は惜しくも準優勝に終わりました。
なぜウインターリーグで社会人は強いのか
2年連続リーグ戦トップになったJABA選抜。若手中心とはいえ社会人の侍ジャパン候補が全国から集められチームを編成しています。長いシーズンの中で調整しながら戦っていくプロとは違い、社会人は短期決戦に照準を合わせ戦います。
何ヶ月にも渡るペナントレースではもちろん負ける日も多くありますが、普段負けたら終わりのトーナメントを戦いその一勝の重みを知っているJABAの選手たちはどんな時も全力プレーを見せてくれます。今大会でも社会人の若手たちは日本の社会人野球のレベルの高さを証明しました。
会社の顔として、そして地元を背負って戦う都市対抗は一発勝負だからこそ緊張感のあるプレーを見ることができ、地域色豊かな応援やエール交換、ご当地キャラ企業マスコットの登場も試合の一部です。社会人野球はセンバツやプロ野球より早い3月8日にJABAスポニチ大会(神宮球場など)で開幕し、東京ドームで行われる都市対抗野球は2025年は8月に行われます。ウインターリーグで活躍した若手に注目です。
【レギュラーシーズン試合結果】
JABA 15−5 NBPレッド(11/24)
P:○谷脇 弘起(日本生命)5回ー笠井 建吾(三菱自動車岡崎)3回ー有本 雄大(ヤマハ)1回
HR:山本 卓弥(HONDA熊本)
MVP:山本 卓弥(HONDA熊本)5打数、7打点、3安打、1本塁打
台湾シーズ0-7 JABA(11/25)
P:○後藤 凌寿(トヨタ自動車)6回ー松田 賢大(バイタルネット)1回ー大宮 隆寛(大阪ガス)2回
HR:土井 克也(JFE西日本)
MVP:後藤 凌寿(トヨタ自動車)6回、2奪三振、0失点
JABA 11-1 台湾マウンテンズ(11/26)
P:○遠藤 慎也(日本新薬)7回ー村上 大芽(北海道ガス)1回ー有本 雄大(ヤマハ)1回
HR:熊田 任洋(トヨタ自動車)
MVP:遠藤 慎也(日本新薬)7回、8奪三振、0失点
JABA 3-1 NBPホワイト(11/27)
P:○松田 賢大(バイタルネット)6回ー谷脇 弘起(日本生命)3回
MVP:松田 賢大(バイタルネット)6回、8奪三振、1失点
JABA 5-1 台湾シーズ(11/28)
P:○笠井 建吾(三菱自動車岡崎)5 1/3回ー有本 雄大(ヤマハ)1 2/3回ー大宮 隆寛(大阪ガス)2回
MVP:髙橋 隆慶(JR東日本)3打数、2安打、1打点
NPBレッド 1-10 JABA(11/30)
P:○後藤 凌寿(トヨタ自動車)6回ー村上 大芽(北海道ガス)2回ー遠藤 慎也(日本新薬)1回
MVP:熊田 任洋(トヨタ自動車)5打数、4安打、2打点
台湾マウンテンズ 2-5 JABA(12/1)
P:○谷脇 弘起(日本生命)6回ー松田 賢大(バイタルネット)1回ー大宮 隆寛(大阪ガス)2回
MVP:谷脇 弘起(日本生命)6回、6奪三振、2失点
NPBホワイト 2-1 JABA(12/2)
P:●遠藤 慎也(日本新薬)7回ー有本 雄大(ヤマハ)1回ー笠井 建吾(三菱自動車岡崎)1回
台湾シーズ 2-9 JABA(12/4)
P:○松田 賢大(バイタルネット)6回ー大宮 隆寛(大阪ガス)3回
HR:武藤 健司(東海理化)
MVP:松田 賢大(バイタルネット)6回、6奪三振、1失点
NPBホワイト 1-1 JABA(12/5)
P:村上 大芽(北海道ガス)5回ー田中 大成(四国銀行)2回ー谷脇 弘起(日本生命)1回ー後藤 凌寿(トヨタ自動車)1回
JABA 3-1 NBPレッド(12/6)
P:有本 雄大(ヤマハ)5回ー○笠井 建吾(三菱自動車岡崎)4回
MVP:吉川 海斗(日立製作所)3打数、2安打、2打点
JABA 2-2 台湾マウンテンズ(12/7)
P:大宮 隆寛(大阪ガス)6回ー松田 賢大(バイタルネット)2回ー田中 大成(四国銀行)
NPBレッド 4-10 JABA(12/9)
P:○谷脇 弘起(日本生命)5回ー後藤 凌寿(トヨタ自動車)
MVP:武藤 健司(東海理化)3打数、2安打、3打点
JABA 7-5 台湾シーズ(12/10)
P:○笠井 建吾(三菱自動車岡崎)6回ー田中 大成(四国銀行)3回
MVP:田浦 由亮(ミキハウス)5打数、4安打、2打点
JABA 4-7 NPBホワイト(12/11)
P:●有本 雄大(ヤマハ)6回ー松田 賢大(バイタルネット)2回
HR:山本 卓弥(HONDA熊本)
JABA 2-5 台湾マウンテンズ(12/12)
P:大宮 隆寛(大阪ガス)3回ー村上 大芽(北海道ガス)4回ー●田中 大成(四国銀行)
HR:武藤 健司(東海理化)
【プレーオフ 準決勝】
台湾シーズ 1-9 JABA(12/14)
P:○松田 賢大(バイタルネット)7回ー有本 雄大(ヤマハ)2回
MVP:松田 賢大(バイタルネット)7回、14奪三振、1失点
【プレーオフ 決勝】
NPBホワイト 3-1 JABA(12/15)
P:●後藤 凌寿(トヨタ自動車)5回ー笠井 建吾(三菱自動車岡崎)3回ー谷脇 弘起(日本生命)1回
投手成績
打者成績
レギュラーシーズンチーム成績
YouTube(CPBL)
アジアウインターベースボールリーグ公式サイト
アジアウインターベースボールリーグ(NPB)
JABA日本野球連盟公式サイト