新年を迎える準備
普段手を入れないところまで、身を入れて大掃除をする。いったん手を入れ始めると、その周囲のこまごましたところも、気になりだす。棚の上にあるもの、中にあるもの、ひとつひとつの形をなぞって拭くと、慈しむ気持ちが湧いてくる。こぎれいに整った空間を眺めて覚える清々しさ。大掃除をすること自体が禊かもしれない。新しい年に向けて、気持ちの入れ替えになる。私の日常の生活空間を彩るものとの関係性を紡ぎ直しながら、毎日を丁寧に暮らしていこうという気持ちになった。
手書きで人にメッセージを送るのは、年賀状くらいしかない。その年賀状の枚数も、かなり少なくなった。それでも年に1度年賀状を交わすことで繋がっている古い知己もある。筆を執り、自分自身の1年を振り返り、相手の今に思いを馳せる。少し前までは、年賀の挨拶は、形式的で無味乾燥に思えていた。でも、今は年賀状をしたためる行為自体が相手に対して礼を尽くすことの一端かもしれないと感じる。自分の1年に節目をつけることは、前に踏み出す気持ちを新たにすることでもある。
モノにも、人にも、感謝を送る年の瀬。身体を動かすことで感情も動く。年末年始の様々な慣習には、ひとつひとつに意味があるのだと思った。