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困難な時にこそ、文化やアートでつながる社会を【東日本大震災から10年】
あの瞬間、何をしていたか
あの時、わたしは北海道に住んでいて、高校2年生でした。
吹奏楽部の部活動の練習中でした。
吹奏楽コンクールの演奏曲の合奏をみんなでしていて、
決して大きな揺れではありませんでしたが、
揺れが長く、気味の悪い揺れだったことを
今でも覚えています。
「揺れてるのに、よくみんな合奏止めなかったなあ」
なんて言いながら、その時は笑っていました。
うちの近くで起きた、ちょっとした地震だとしか思っていなかったから。
部活が終わってスマホを開いてみたとき、
はじめて、何が起こっているのかを目の当たりにしました。
いや、何が起こっているのか、理解ができませんでした。
震災が起きてから、わたしたちの吹奏楽部では
チャリティーイベントを実施したり
地元の福祉施設やお祭りなど
地元の人たちと音楽を通した交流を
増やすようになりました。
2~3ヶ月に1回程度だったものが
2週間に1回ほどの回数になりました。
音楽を通してなら、人と人をつなぐことができる。
チャリティーなら、いくばくかのお金も集めて、寄付をすることもできる。
なによりも、音楽で、相手に笑顔になってもらうことができる。
この時のこういった体験から、
困難な時にこそ、文化やアートは必要だ。
わたしはそう確信しました。
このことが、いまのわたしの仕事の原点になっています。
あれから10年
わたしは、今は東京に住んでいます。
公共ホール・劇場に関する仕事をしています。
文化やアートと社会をよりつなげていきたい
そう思っているからです。
未曽有の危機の時に、
不要不急と言われがちな文化やアート。
もちろん、タイミングは考えなければいけないけれど
決して不要不急なわけじゃない。
文化やアートの力で、できることはある。
わたしはそう信じています。
あの日から、そしてこれからもずっと。
わたしはそのために、できることを全うしていくのだと思います。