人間関係を円滑にする手みやげ選び
そもそも手みやげを選ぶ人はどのくらいいるのだろう。
もしかしたら「誰にも手みやげを送ったことなんてない」という人もいるのかもしれない。
昔から誰かに贈り物をするのが好きな私には信じられないが、相手から見たら私の方が信じられないのかもしれない。
プロフィールに「手みやげ10000個の実績」と書いたのは 決して嘘ではなく、もしかしたらもっと多いかもしれない。私が長く働いていた広告業界はとにかく手みやげが好きな業界だった。
今ではめっきり減ってしまったお中元やお歳暮はもちろん、クライアントや出版社の方のご昇格祝い、オフィス引っ越し、結婚、お餞別〜などとあげればキリがないが、中でも断トツに多かったのはお詫びに伺った時の手みやげや会食の際の手みやげだ。
広告代理店にトラブルはつきもので、毎日トラブルを解決するために会社に行っているのかもしれない、と思うほど毎日何かを揉めていた。メディアとクライアントの間に入っている立場としては事態を収拾するために奔走していた。そして必ず手みやげ持参でお詫びに伺うことになる。
そして会食が多かった。クライアントや出版社の方々と夜ごと会食を繰り広げていた。今は経費削減にこのコロナ禍、会食もずいぶん減ってしまっただろうと思うけれど私がいた30年間は全盛だった。
「今度ごはんに行きましょうね」が合言葉のように、その言葉に追い立てられるように会食をセッティングしていたものだ。そして会食をセッティングする立場でも、セッティングされた立場でも手みやげを用意することになる。
そんなの必要ないのでは?と思われるかもしれない。今のような軽い人間関係を良しとしている世の中では、「手みやげなんてナンセンス!」と思われるかもしれない。とは言え、手みやげはあるのとないのでは大違い(だと私は思う)。会食をして普段の仕事場ではなかなか出来ないフランクな会話を楽しんで、いざお開き、となった時に、何か気の利いたものを手渡されるとその会食がさらに気分が良くなるのは間違いない。
家族のいる人は家に帰った時に、手みやげがあると、なんとなく大義名分が出来て帰りやすいし、家族がいなくても帰ってからまた楽しめる。会食の印象がぐんと良くなるのだ。
と言ってもそんな高価なものを差し上げるわけではない。せいぜい2000円から3000円。人数が多い時は1000円のこともある。
でも、だからこそ、手みやげ選びは重要だ。せっかくの手みやげも「何を選んだか」で意味がなくなるし、時には迷惑になって、悪い印象を与えてしまうことすらある。
広告業界を離れた今も、誕生日、お見舞い、結婚祝い、就職祝い、クリスマス、ホームパーティ、と何かと手みやげを選ぶ機会が多い。そんな中、時々いただいて残念だなと思うことがある。
この物自体はとても良い物だけれど 相手を間違っている、と思うのだ。
前職を辞めてから、手みやげの経験から「手みやげコンシェルジュ」という商標登録を取得した。手みやげの経験を生かして様々なサイトにコラムを書いて いろいろなものを提案してきたが、肝心な、1番言いたいことが伝えられていなかったかもしれない。
何を選ぶか、という「モノ」だけにフォーカスするのではなく、誰にどういう場面で選ぶのか?ということが1番大事だということ。
それを間違ってしまったらせっかくのモノが生きない。もちろん良いモノに越したことがないのだけれど、相手を間違ってしまったらそれは単なる無駄なモノになってしまうのだ。
たかが手みやげ、されど手みやげ。
相手に適格なモノを差し上げられたら、それだけで人間関係はぐんと良くなる。
それには相手へのちょっとした気遣いが必要だということ。
そういうことをこれから書いていきたいと思います。
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