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子供たちが笑っているだけで優しくなれる、子供たちのためにできること
7/9に開催予定だった「Sea & Rainbow - we are shimoda kids - 下田の子供たちの習い事、青空の下の大発表会」。コロナの影響で失われてしまった子供たちの習い事の発表の機会をつくるというイベントです。(延期が決定。)
その企画運営を任されたのが、株式会社 VILLAGE INC.で営業企画チームマネージャーを務める梅田直樹さんです。下田生まれ下田育ちの梅田さんですが、40代で転職したVILLAGE INC.(※1) では全国を飛び回り、各地にたくさんの拠点や人の繋がりをつくりました。そんな梅田さんの考える、「次世代の下田の子供たちのためにできること」とは。
(※1)VILLAGE INC. は「何もないけど、何でもある」をコンセプトに無価値とされている場所に価値があるとして様々な事業を展開する会社です。プライベートキャンプ場の運営及びプロデュースと中心に、野外体験学習を活用した企業・団体向け研修プログラムの提供や自然をフィールドとした各種教室、イベントの開催を行なっています。
――今回のイベント「Sea & Rainbow」について教えてください。
下田にはたくさんの素敵な習い事があり、たくさんの子供たちが日々頑張っています。2020年から長期にわたるの新型コロナ感染拡大の影響で、多くのイベントが中止となり、発表の機会が失われてきました。そして今尚その影響を受けています。Sea & Rainbowはコロナで発表の機会をなくした子供たちのためのイベントとして企画しました。また、発表の場を通じて人と人の繋がりをつくるコミュニティイベントの側面や、習い事の存在を知ってもらうという目的も持っています。是非みなさんに参加してもらい、親子揃って楽しんでいただきたいです。
しかし、そんなイベントにも関わらず県内、市内で新型コロナの感染者が増えてきてしまったため、7/9の開催は延期を余儀なくされました。現時点では秋頃の開催を予定しています。(※詳細は追って発表予定。)
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――このイベントを開催しようと思ったきっかけは??
昨年(2021年)、「まどが浜海遊公園をもっと活用したい」という話が立ち上がり、下田市教育委員会生涯学習課から私に相談がありました。当初はマルシェのようなイベント開催の方向性があり、文化的な要素を含めたいという要望もありました。
吉佐美で開催されていた「ビッグシャワー」というイベントが今年も中止となり、実行委員をしていた友人から「子供の習い事の発表の場がない」という話を聞きました。さらに子育て世代の親の意見として「どんな習い事があるかを知らない」と言った声もあり、文化的な側面からも「習い事の発表の場」が良いのではないかと思い企画を進めたのがきっかけです。
企画から運営までをVILLAGE INC.として受け、まどが浜文化イベント実行委員会が立ち上がりました。初回としては子供が中心のイベントということで、参加者、協力者についてはコンセプトに共感してくれる人のみで始めました。
――今回は延期となってしまいましたが、子供たちが楽しめるイベントが成功することを祈っています!
――梅田さん自身は今までにどのようなことをされてきたのですか?
もともと下田生まれ、下田育ちで、小さいころから近くに保育園があったので、子供と接する環境が身近にありました。今でも子供が大好きで、子供が笑っているだけで優しくなれると思っています。
仕事は家業を継ぎ19歳から42歳まで自動車の板金屋をやっていました。40歳頃に現在のVILLAGE INC. 代表の橋村さんと出会い、板金屋の傍ら一緒にお店を経営するなど他の事業展開もしていました。その後、42歳で転職しVILLAGE INCに入社。最初は旧南豆製氷所の跡地を活用した複合施設「ナンズビレッジ」に関わりました。(VILLAGE INC.の本社がナンズビレッジにあります。)
VILLAGE INC.では株式会社LIFULLが展開するLivingAnywhereCommons (※2)(以下、LAC)という事業の全拠点コミニティマネージャーアドバイザー業務を請け負い、LAC伊豆下田の立ち上げに関わりました。その後LIFULLに出向し、LACの全国展開の中で20拠点ほどの立ち上げに携わりました。
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(※2) LivingAnywhereCommons:場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約にしばられることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方(LivingAnywhere)をともに実践することを目的としたコミュニティ。
――20年以上も下田で仕事をされてたのですね。そこからの他の地域での仕事はいかがでしたか??
下田からほとんど出たことがなかったので、他の土地でチャレンジすることがとても楽しく、「(下田にいた頃とは)違う自分」を見つけることもできました。もともと人と人をつなぐことや巻き込むことが好きだったので、それも良い方向に活かせました。
会津磐梯拠点では4ヶ月ほどの滞在でしたが、風土も人の気質も違う中、拠点の管理人さんからの紹介を基にいろいろな人をつなげていきました。しがらみなどもなく、誰とでもフラットに接することができたことも良かったと思います。
LACの拠点立ち上げにしても、イベントにしても、ゼロからイチを作ることが好きで楽しいと感じています。その反面、イチから増やしていくことについては自分は得意ではないと思っています。
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――全国にたくさんの人との繋がりもでき、これからどのようなことをしていきたいと思っていますか?
「どのようなことをしていきたい」という具体的なビジョンはまだありません。ただ、「誰とやるか」にはとてもこだわっています。今までに出会った人々や経験から「何をやるか」より「誰とやるか」だと思っています。
今すぐに「何をやる?」と言われるとわかりませんが、「次の世代」に興味があります。自分より若い世代の人たちで面白いことをしてる人がたくさんいます。そういう人たちをとにかく応援したいと思っています。そしてその先に子供たちの世代があります。
全国でたくさんの人と繋がり、たくさんの人に良くしてもらいました。その中で出会った人たちは、何かする時に「梅ちゃんだったら行くよ!」と言ってくれます。その応援する気持ちや繋がりを子供たちの代につなげていけたら良いなと考えています。
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――これからの下田はどうなっていくと思いますか?
下田はいろんな人たちが混ざり合う「汽水域 (※3)」のような地域だと思っています。川と海が混ざり合う汽水域のように、土の人(その土地の人)と風の人(外の地域の人)が混ざり合うことで新しいものが生まれ、新しい風土が作られていくのではないでしょうか?
(※3)汽水域:川が海に注ぎ込むところには、淡水と海水が混合したところができるが、これを汽水域(または河口域)という。
「どこにも属さないことに不安を感じないような、芯の強さと軽さを持てたらいいな」という好きな言葉があるんですが、所属欲や所有欲がないんです。(確か20年くらい前のリラックスという雑誌の表紙にあったキャッチコピーです。)自分の知識や経験値などを人に教えたり伝えたりすることに抵抗がないので、他の地域で経験したことを「支援や応援」に変えて活かしていきたいと思っています。それが次の世代や地域に対する支援となり、今後を担う子供たちのために今できることなのかなと思っています。
今年で50歳になるので次はどうしていこうかと考えています。
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コロナで影響を受けた子供たちのためのイベントが、またしてもコロナで延期となってしまいました。「発表の機会をつくる」というコンセプトはとても共感でき、コロナの影響は関係なく子供たちが生き生きと活動できる機会や場所をつくることはとても大切だと感じています。是非、次回の開催で成功してほしいですね。
「子供の笑顔で優しくなれる」と語る梅田さん。確かに子供たちが笑っている姿は、自然に穏やかな気持ちにさせてくれる不思議なものだと思います。人生の経験値を次の世代につないでいくことが、子供たちの笑顔につながっていくのではないでしょうか?
WITH SHIMODA ライター:温泉民宿 勝五郎 土屋尊司
写真提供:梅田直樹
VILLAGE INC.:https://villageinc.jp
Facebook: https://www.facebook.com/villageinc/
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