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献身は何のために ヴァンフォーレ甲府雑感 J2リーグ第3節 vsカターレ富山

事前情報

全国的に日本海側は雪害が多く、富山県も例外ではないようで開幕戦に備えて400人規模のボランティアの皆さんがピッチの除雪をしてくださったそうだ。本当に頭が下がります。

カターレ富山には今シーズンから前線に甲府でプレー経験のある松田力が加入、エースとして期待されている。また、甲府ユース出身の末木君や昨年GKチームの助けになってくれたコ ボンジョ、小田切監督も甲府でプレー経験があったり(小田切という苗字も何というか山梨みがある)、左伴社長も実は山梨と縁のある方のようでつながりの深さを感じる。個人的には林道君が長くカターレのCBを務めていて、とんでもないFKを蹴っていたのが印象深い。

甲府側もマテウスレイリア、大島にプレー経験あり、また中山陸が期限付きで鍛えてもらったことも。下部組織でコーチをしている田中佑昌もそういえば晩年は富山でプレーしていたんだよなぁと。


スタメン

甲府のスタメンはこちら


前節から右WBを純真から田中雄大へ変更。アクシデントなのか純真はサブにも入っておらず、その枠は新人の佐藤君が務めることとなった。

つづいてカターレのスタメンはこちら

前節から4枚変更し、松田力が先発に復帰。まだ組み合わせには試行錯誤している様子ではある。昨年J3でブレイクした地元出身碓井聖生はベンチから。
4-4-2でソリッドに構えてくることが予想されるため、ある程度甲府はボールを持てるのではないか。

試合内容

カターレはそれほどは繋がず割り切って大きなボールで前進を図る。ただCBからDFライン裏に、というだけでなく、サイドから斜めのボールを入れることで角度をつけてポケットへダイレクトに向かうというプレーが光っていたように思う。
失点のシーンは前節と同じ右サイドから。
上手かったのは左SBの濱選手。田中雄大が(おそらく利き足の)右足を切るような形でプレッシャーをかけるが左足で走りこんだ伊藤選手へ。ここで後手を踏みニアゾーンまでドリブルで侵入を許してしまう。
合わせた武颯選手も巧かった。樹が一瞬気にする様子は見せたものの、その背後からスペースへ放たれたクロスへドンピシャのヘッド。前半の比較的早い時間で追う展開となってしまう。

対して甲府の攻撃は前からプレッシャーをかける、高い位置で回収して攻撃を続ける、これは出来ていた時間もあり特に右サイド、田中雄大と鳥海が深い位置を取れた時にはチャンスが作れていた。ただ作れていたのはチャンスのみ。CFや逆サイドのシャドーが守備をひきつけてくれるので、逆サイドのWBないしボランチがマイナスのクロスに絡んできてほしいところかと思う。前半最大のチャンスであった林田のミドルに詰めた田中のシュートは田川のスーパーセーブで仕留めきれず、前半終了。

後半はマテウスレイリアに替えて熊倉。マテウス自体はそれほど悪くはなかったものの左サイドでの攻撃の停滞を気にしたためであろうか。ただこの交代が功を奏したとは言い難かっただろう。
そして試合の転機は後半も半分が過ぎたころに訪れる。樹からのパスを小出がトラップできず、そのまま富山ボールに。富山の選手が独走となった場面で樹がペナルティーエリア外でファール。誰がどう見てもDOGSOです。本当にありがとうございました。小出のミスから始まっているが、守備ラインを統率し、気を見てボールを運び楔のパスを出し続ける、まさに守備ラインを八面六臂に支えるこいちゃんを一つのミスで攻めることはできないだろう。
直後にセットプレーの流れから左右に揺さぶられ失点。これ以降ゲームプランは破綻。ジ・エンドとなった。

雑感 献身は何のために

富山はやるべきことがはっきりしているチームであった。裏のスペースへ走らせる、ポケットを取る、マイナスのクロスに走りこむ。攻撃ではこれを愚直に繰り返していた。J3からのチームの積み上げが効いているのだろう。
対して甲府も監督は変わっていないものの、キャンプからの指導は初。さらにチームの構成も大きく入れ替わらざるを得ない状況で、積み上げなくてはいけないものが多いのは間違いないだろう。
そういう場合、勝ち点を稼ぐのは強烈な個でぶん殴るという手っ取り早い方法もある。だが、その先に待っていたのは昨年、一昨年ですでに経験した通り。
甲府のピッチに送り出されている11人は献身的だと思う。前線の選手はプレスバックをいとわず、体を張り、鳥海は10人になってもライン間でボールを受け続ける。守備陣も懸命に最後まで体を張り続け、ミスをミスにしないプレーをみせてくれている。
ただ、献身は手段であって目的ではない。ゴールを取る、ゴールを守る、そして試合に勝つ、その目的のための手段でしかない。私自身もサッカーに詳しいわけではないのだが、それ以上にサッカーに詳しくなく興味もない妻から見ても、『甲府にはシュートを打つ選手がいない』とのこと。体を張ることが献身ならゴールを取るために責任を持って足を振れる事も献身であろう。選手の特長、特徴はあるが、勝利のために『献身』が見られる試合を次節藤枝戦は期待したい。

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