〈Brush-UP〉助産師に求められるバイアスマネジメントとは?
みなさん、こんにちは。
みなさんは、License says〈HAVE〉を受講した方が受けられるブラッシュアップセミナーについて、ご存じでしょうか?
2023年5月22日のブラッシュアップセミナーでは、XTalent株式会社の筒井八恵先生を講師にお迎えしました。
テーマは「助産師に求められるバイアスマネジメントとは?ー育休のデータからみる当事者の価値観の変容を捉える」です。
では、どのようなことを学べたのかをお話ししていきたいと思います。
筒井先生が講義に使われた調査レポートはこちらから取得いただけます↓
【調査レポート】「育休を取得した男性社員1,000人に聞いた、より働きやすくなるために必要なこと」
1.男性を取り巻く現状
近年、男性育休の積極的な取得について、国が企業に働きかけ、法整備を行っています。
みなさんのなかにも、男性育休を取ろうとしているパートナーさんの悩みに対して、どのように支援するのがよいのか、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その問いに対して、「助産師が企業に対してできることは多々あります」と筒井先生。
そもそも男性育休を取り巻く職場環境では、一体なにが起こっているのでしょうか?
男性が育休を取りにくい職場で起こること
実は、男性が育休を取りにくい職場では、男性の長時間労働という事象が存在していることがあります。
実際、子どもを持つ男性に対して「大黒柱バイアス」と呼ばれるバイアスが抱かれることは多いそうです。
《大黒柱バイアス》とは、
男性は働くのであり、一家の働き手・大黒柱である
女性は家事・育児を行う
という認知の偏りのことですが、男性の長時間労働によって、女性の家庭内労働の割合が増えると、物理的に仕事にあてられる時間が少なくなってしまいます。これにより、働く時間やキャリアの機会を奪うことになります。
また、育児を行う当事者ではない人達は「制度を使っても、評価や昇進に影響はない」「肩身の狭い思いをすることはない」と感じている事が多い一方、育児を行う当事者たちはその逆のことを感じているケースが多くあります。
そのため、当事者とそれ以外の人達の間で認知にギャップが生まれ
てしまい、育休をはじめとする制度があったとしても利用されづらい環境ができあがってしまうのです。
物理的な時間的制約から、もともと育休取得する前は昇進意欲があった人でさえ、昇進意欲が減退してしまうという実態があるにも関わらず、リーダーやチームメンバーからは「あの人は昇進する気がない」などと言われてしまったり、配慮という名のキャリアアップ機会の梯子外しがなされたりするのです。これらの事象は、男性と女性の賃金格差を生む1つの背景でもあります。
助産師はこのような構造的な背景を知り、当事者と関わっていく必要があります。
「権利だから活用してください」というアドバイスだけでは足りないかもしれません。
当事者がどのようにパートナーとキャリア形成を行っていきたいかも併せて確認するようにしましょう。
2.性別や世代で異なる当事者意識
性別や世代によっても、子育てや育休に対する意識には異なる傾向が出てきます。
価値観の変容
共働き世帯がスタンダードになっている近年、「育休も取得したいし、キャリアも形成したい」という人達は増えてきています。
妊娠・出産する年齢が上がってきていることから、20代だと、周りで妊娠・出産をする人が少なくなってきているという実態もあります。それが背景にあるからか、20代の当事者は妊娠・出産をしている同年代のネットワークを求める傾向にあります。
ネットワークの中で、仕事と育児をどのように両立していくかを考え、キャリアをも成長させていきたいと考えている人は多いです。
そして、子の看護休暇は30代で最も求められています。
一方、時短勤務を求める人は減少傾向にあります。その理由としては、フルリモートワーク、ハイブリッドワークの浸透など、働き方がよりフレキシブルになってきているからです。
育休後の男性が必要としているもの
育休後の男性は「コミュニケーション」を必要としています。
考えてみれば、育休後の男性同士が話す場所は多くありません。育児に関連した会社内のコミュニティやネットワークも、女性に閉じたものになりがちです。
しかし、育休を取った後、どのようにキャリアが変化していったのか、経験者と繋がりたいと思っている男性は多くいるのです。社内で男性育休取得率が高くても、社会では未だにマイノリティであるため、実情が表出されにくいというのは課題であると言えます。
育休復帰後の女性の気持ち
また、時短勤務や育休などの制度利用は、未だに女性からの要望が強く出る傾向がありますが、その要望は「女性本人の希望」かどうかはわかりません。
本当はフルタイムで働きたいけれど、周りの環境がそれを許してくれないから、という方もいます。
そのような方は自分の心の声に自覚のないまま、それをあたかも自分の気持ちであるかのように話す人もいます。育休復帰前の面談では、そのような観点で当事者自身も気づけていない本音を引き出すことが大切です。
3.助産師が対象者にできること
みなさんは、子育て中に制度を活用したりコミュニケーションを求めたりする人は昇進やスキルアップを求めていないと思うでしょうか?
残念ながら、制度やコミュニケーションを求める人は昇進意欲が低いのではないか、スキルアップを求めていないのではないかという偏見を持つ人もいます。しかし、これは無意識の偏見であり、実態となります。
昇進意欲が高い人は制度を活用したり、コミュニケーションをより求めたりする傾向にあるのです。その背景にはキャリアアップと育児を両立したいという気持ちが背景にあることが多くあります。
組織の生産性や創造性、個人の能力発揮の機会を増やすことは、非常に重要なことです。企業もこの実態を知り、環境を用意する必要があります。
では、企業側の認識を改めるために助産師はなにができるのでしょうか?
企業に働きかけるためにも、助産師は相手のキャリア観を押さえておくとよいでしょう。
当事者のキャリア観
パートナーのキャリア観
そして、
自分はパートナーにどうしてほしいのか?
パートナーは自分にどうしてほしいのか?
職場はどういう風土?前例があるか、制度利用による見えない足かせはないかなど
本人とパートナー双方の「will」が重なる部分を探す
もしも職場が育児に対して理解を示さない場合、そのタイミングで転職を検討することも選択肢のひとつ、と筒井先生。
なぜなら、その職場は育休取得の前後だけではなく、復帰以降も仕事と育児の両立が厳しいことが多いからです。
また、育児や育休について男性が不安に思っていても、誰にどんな話をしたらいいのかわからないというケースもあり、育休を取得したことのある男性に話を聞くことの背中を押すアプローチもよいとのことでした。
4.助産師のバイアスマネジメント
無意識のバイアスは子育て中の男性・女性だけではなく、助産師自身も持っています。
例えばどのようなバイアスがあるのでしょうか?
ご紹介します。
対象者が持つバイアス
①「女性は育児と家事、男性は仕事をするものだ」と思いこんでいる
「思っていません」と発言していても、実際の行動にギャップがあることも多々あります。
本人にそのことを自覚してもらえるように、助産師はサポートすることができます。
②自分の能力を過小評価するような言動
ステレオタイプ脅威やインポスター症候群など、ベクトルが自分に向くような認知バイアスにはどのようなものがあるかを把握しておくとよいでしょう。
助産師が持ちやすいバイアス
では、助産師が持ちやすいバイアスには何があるのでしょうか?
①性別役割意識を助長するような言葉
出産後は育児だけに専念した方がいい
子どもの成長過程を逐一見れないのは残念なことだ
お母さんの替えはきかない
育児はお母さんの仕事
お父さんには育児もだけど、仕事をしっかり頑張ってもらわなくちゃ
みなさん、育児をしている当事者やそのパートナーをみたときに、無意識に思ってしまっていませんか?
対象者の本当の気持ちを大切にして、自己実現を支援していきたいですね!
5.無意識の認知バイアスを知りたい
みなさんが認知バイアスの知識についてもっと知りたいと思った時はどんなアクションをしたらよいか、筒井先生が教えてくださいました。
①「IAT」
最も著名なテストです。
言葉と画像、言葉と言葉の自動的選好度をみて様々なテーマのバイアスの度合いをチェックします。
年齢・人種・性別などに対して、自分は自動的な選考が強いのか弱いのかを見ることができるそうです。
②「cognitive bais」と検索
cognitive baisとは認知バイアスのことです。
検索してみると、論文などがたくさん出てきます。ぜひチェックしてみてくださいね。
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いかがでしたか?
今回のブラッシュアップセミナーのテーマは、バイアスマネジメントでしたが、助産師が持つバイアスには「図星かも…」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ブラッシュアップセミナーは、助産師として持っていたい知識を得られるセミナーです。
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興味を持った方は、是非License says〈HAVE〉を受講してみてくださいね!
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(2023/11/10追記)
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