オメガ3(n-3系)脂肪酸とは?働きと摂取する目安量について
「オメガ3」と聞いて、何となくからだに良さそう、積極的にとらなければならないというイメージを持つ方が多いと思います。実際、オメガ3脂肪酸がどのような働きをしているかご存知ですか?
今回は、オメガ3脂肪酸が一体どのようなものなのか、またどのくらい摂取するのが良いかについて解説します。
オメガ3脂肪酸とは
脂質は、効率の良いエネルギー源ですが、摂取するには「量」と「質」に注意が必要です。その「質」は、脂肪酸によって決められています。
脂肪酸には
・飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸
・多価不飽和脂肪酸
があり、今回ご紹介するのは、多価不飽和脂肪酸のひとつ、オメガ3(n-3系)脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸には
・α-リノレン酸
・EPA(イコサペンタエン酸)
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
などがあります。α-リノレン酸は体内でEPA、さらにDHAに変化します。体内で合成することができない必須脂肪酸であるため、食事からとる必要があります。α-リノレン酸は、しそ油や亜麻仁油、えごま油に多く含まれており、EPA、DHAは青背魚に豊富です。
オメガ3脂肪酸の働き
オメガ3脂肪酸は、種類によってさまざまな働きがあることが分かっています。
α-リノレン酸は皮膚の健康維持に働いています。EPAは、血中中性脂肪の低下や血栓が作られるのを防ぐ働き、DHAではEPAと同様、血中中性脂肪の低下が報告されているほか、抗アレルギー作用があるともいわれています。
また、EPA・DHAは認知機能の低下や認知症の予防効果が期待されており、現在研究が進められています。
どのくらい摂取すれば良いの?
オメガ3脂肪酸はどのくらい摂取するのが良いのでしょうか?
日本食事摂取基準(2020年版)では、n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)の目安量が設定されています。例えば、男性の場合、1日あたりの目安量は30~49歳で2.0g、50~64歳で2.2gとなっています。ただし、この数値はあくまで目安量であり、通常の生活をしている健康な大人は不足しているとは考えにくいでしょう。
オメガ3脂肪酸が多いといわれている魚では、まさばに100gあたり2.12g、ぶりに100gあたり3.35g、サンマは皮つき100gで5.59gのオメガ3脂肪酸が含まれています。
オメガ3脂肪酸を摂取するためには、肉ばかり食べるのではなく、適度に魚をとることが望ましいと考えられます。
オメガ3脂肪酸、足りていますか?
オメガ3脂肪酸には、血中脂質の改善の働きや認知機能の改善などの働きが期待されています。通常の生活をしている健康な方であれば、不足していることは考えにくいですが、仕事が忙しく食生活が偏りがちの方や、青背魚をあまり摂取しない方も中にはいらっしゃるでしょう。この機会に生活習慣を見直し、主菜・主食・副菜のそろった食事を心がけた上で、場合によってはサプリメントの活用も検討してみてください。
※オメガ3脂肪酸は、食事摂取基準などでは「n-3系脂肪酸」と記載されているため、2パターンの表現を使用しています。
【執筆者プロフィール】
宮﨑 奈津季
管理栄養士、離乳食アドバイザー、薬膳コーディネーター。
女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業後、医療系食品メーカーに就職。病院や老人保健施設、薬局、有料老人ホームなどへの営業、勉強会講師などを担当。その後、独立し、レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算、会社の立ち上げを経験。
現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。