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DXって何?どこを目指せばいいの?

最近、「DX」という言葉があまりにもビッグワード化しすぎており、ITコンサルやSaaSを提供する各社が自社サービスの謳い文句に使ってしまっているため、改めて自分の認識を整理しておきます。


前提条件

ユーザー企業の製造現場サイドの話を念頭に記載します。
が、基本的には事務系の業務も含め同じ考え方になると考えています。

そもそもDXとは

経済産業省の資料では、以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

DXで目指すべきこととは

上記引用部分で大事になってくることは「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」の部分であり、企業としての競争力を上げることがDXのゴールとなります。

そのためにやること

その1:今の会社全体の姿を把握する

その2:あるべき姿の定義(会社全体)

その3:あるべき姿の定義(自部署)

その4:現状業務の洗い出し

その5:業務の選別(付加価値を生んでいる作業は何か)

その6:あるべき姿に向けた業務の見直し

その7:(必要なら)システムの導入(価値業務以外はパッケージに合わせる)

→別途記事作成予定(具体的な内容になるため有料)
 ※気が向いたら書く

で、誰がやるの?

結論:その3~6は「現場業務がわかる」人間がやる

原則、業務の流れを理解している人がやるべきです。
→つまり、自分たち(現場サイドの人間)が主体でやる必要があります。
ただ、その7はパッケージソフトやクラウドサービス(SaaS)を採用することを考えてもよいかと思います。

え?ただでさえ日々の業務が忙しいのに、余計な仕事が増えてめんどくさいって?
そうです、めんどくさいのです。

ただ、現場って「よくわからないけど前任者がこうやってたから」で残っているルールが意外とありますよね?
例:紙帳票に記録しないとだめとか、ライン長が承認しないとだめとか
→それって本当に必要なんでしたっけ?
 →どういう経緯でそのルールってできたんでしたっけ?
  →ルールを作った人は退職してる?なら実はもう必要ないのでは?
   →じゃあ、一度なくしてみて、ダメそうなら復活させてみよう。
こういった整理は、実は現場の人間(それも中堅のエース格)でないとなかなかできないのです。

もし、外部のITコンサルやシステム開発会社(いわゆるSIer)が代わりに全部やる(=丸投げ)だとどうなる?

外部の人間から見た場合、現場の人間が「お客様」となるため、早い話が「評論家」となってしまいます。
すると、コンサルから出てきた提案に対して、「あれはないとだめだ」「これはないとだめだ」となり、挙句の果てに「君は我々の現場を知らなさすぎる」と言い始めて何も進まなくなります。

そのため、外部の人間が現場業務を理解することも大事ですが、業務がわかる人間が主体となって進めないといけないのです。
ただ、それを逆手にとるケースもあるとかないとか・・・。

システム導入のあれこれ

プロジェクトマネジメントに関する部分ですが、書くと長くなるため割愛します。
ポイントでいうと「きちんと使えるシステムに仕上げる」「要件定義の時点で業務の流れを確立させておく」「要件定義終了後の要件後出しは重罪」といったところでしょうか。

業務が見直しできて、システムも入って現場の作業効率もあがって、これでDXができた・・・?

いえ、ここまでできて、やっと本当のDXに向けたスタートラインです。

ここまでがDX1.0です。
本来目指すべきDXはDX2.0以降です。
とはいえ、土台(DX1.0)をしっかりしないとその先に行けないのも事実です。焦らずやっていきましょう。

本当のDX(DX2.0、DX3.0、DX4.0)とは

一旦DX4.0は割愛します。
DX2.0、DX3.0については、NRI(野村総合研究所)のページを参考文献として記載しますが、一般的な定義は以下のようになります。

DX2.0:自社ビジネスモデルの変革

新たなビジネスモデルの構築(新規事業)もしくは、既存のビジネスモデルの変革がこれにあたります。
ブリヂストンとJALのように、データ活用を起点にしたビジネスモデル構築が事例として取り上げられることが多いですが、ミルボンのような事例は必ずしもデータ活用から入る必要はないともいえ、興味深いです。
参考事例1:JALとブリヂストン、タイヤ摩耗予測技術を大型機へ拡大
https://press.jal.co.jp/ja/release/202407/008184.html
参考事例2:ミルボンのBtoBtoC型のECプラットフォーム「milbon:iD」開設
https://www.wwdjapan.com/articles/1205768

DX3.0:産業、社会の変革

現時点ではほとんど事例がないものの、インターネットやAppleによるiPhoneの登場など、社会生活のあり方を変えてしまう事例がDX3.0にあたるのではないでしょうか。

・参考文献
NRIの強み:NRIのデジタルビジネス戦略
https://ir.nri.com/jp/ir/individual/strength/strength05.html

逆に「なんちゃってDX」とは

国土交通省での例

⾝近な例で⾔うと・・・
Q: なぜ紙の書類がいつまでも無くならないのか?
A: 書類をそのままデジタル化しようとするからである。
⇨そんなことをすると「ファックスは廃⽌したので、プリントアウトして押印した⽂書をスキャンして pdfにしてメールで送ってください」という話になり、⼀体全体何を解決しているのかさっぱりわからなくなる。
そして結局書類は無くならない。

出典:国土交通省「DXの思考法と国土計画」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001461273.pdf

早い話が、「今の業務を見直しもせず、そのままデジタルに置き換えよう!」ということです。例を挙げるときりがないですが、よく見るのは以下のような事例かと思います。
※一部はIT化ではありますが、それ自体がDXというわけではなく・・・

なんちゃってDXの典型例

  • 経費精算をクラウドサービスでDX!(単なるIT化)

  • 紙帳票のデジタル化でDX!(入力されたデータをcsvに落として別のExcelに転記してたら何も変わらない)

  • RPAでDX!(RPAは手段。業務見直しが先。転記作業自体がなくなればRPAも不要)

  • 生成AIでDX!(生成AIでなにを解決したいのか不明)

  • ローコードでDX!(ローコードは手段。業務見直しが先。)

Q:現場向けの話ばかり出ますが、経営層って何をやるんですか?

A:個人的な見解ですが、主に以下の4つではないでしょうか。

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