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withE通信:ワクチンの話

梅雨に入り雨が続いていますね。
さて、新型コロナウイルスのワクチンの接種が進んできていますが、みなさん「ワクチン」についてどれくらい知っていますか?
意外と知らない人がいるのではないでしょうか?
今回は、そんなワクチンのお話です。


<ワクチンはどうやって作られるのか>

そもそもワクチンはどうやってつくられるのでしょうか?
ワクチンの種類は、2つあります。「生ワクチン」と「不活化ワクチン」で、つくり方はそれぞれ異なります。

まず、生ワクチンのつくり方を説明します。
① まず細胞を人工的に増やしていきます。このことを「培養」といいます。細胞はウイルスを増やす場所なので、細胞が多いほど一度に多くのウイルスを培養できます。
② 次に大量に培養した細胞にワクチンの「種」となる弱らせたウイルスを添加し数日間培養します。
③ ウイルスが十分増えたら培養液ごと回収しウイルスを保護する安定剤を入れます。
④ その後、フリーズドライ(凍結乾燥とも言います)をして、生きたウイルスをそのまま閉じ込めます。
⑤ 最後に、ワクチンが安全か、効果があるかなどの国に定められた検査をして合格したものだけが出荷されます。

次に、不活化ワクチンのつくり方を説明します。
① 生ワクチンと同様に細胞を大量に培養します。
② 培養した細胞にワクチンの「種」となるウイルスを添加し培養します。
③ ウイルスが十分に増えたら培養液ごと回収します。
④ 回収した培養液に、ウイルスを殺す(不活化させる)薬を添加したり、紫外線を照射したりして不活化させます。
⑤ ワクチンの効果を高めるアジュバントという薬と保存剤を加え、ワクチンの瓶に小分けしていきます。
⑥ 最後に、国で定められた検査をして、合格したものだけが出荷されます。


さて、2つのワクチンのつくり方を説明してきましたが、大きな違いとしてはワクチンの名前から分かるように、「種」となるウイルスを殺すか殺さないかというものです。

<新型コロナウイルスのワクチンは?>

では、冒頭に出てきた新型コロナウイルスのワクチンはどのようにつくられているのでしょうか。
実は、新型コロナウイルスのワクチンは生ワクチンでも不活化ワクチンでもなくmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと呼ばれるものです。
このワクチンは、スパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞に侵入するときに必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質で包んだ薬剤です。この薬剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAをもとに細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、それに対する抗体や細胞性免疫が誘導されることで予防につながると考えられています。


いかがだったでしょうか?
免疫のお話は以前もしたので、その記事も読んでみてくださいね。

                      作:でーぐ

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