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【withE通信:紫陽花の色々】

6月も半分を過ぎ、すっかり気温も高くなってきました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
さて、6月を象徴する花といえば紫陽花(あじさい)。梅雨の時期、雨で気分が晴れない日も、道端に咲いている紫陽花に目をやると癒されることもあるのではないでしょうか?今回はそんな紫陽花について取り上げます。

〈紫陽花はなぜ紫陽花と書く?〉


紫陽花の漢字って知っていないとなかなか書けないですよね。紫陽花は奈良時代に日本で発祥したと言われている花ですが、紫陽花の漢字は当初からあったわけではありません。紫陽花に漢字が当てられたのは平安時代と言われており、漢字の由来はある中国人の詠んだ漢詩と学者の勘違いにあるのです!
発端は中国の唐の詩人である白楽天の漢詩の一節です。その詩の中で、友人からある花の名を聞かれた白楽天は、その花が陽光に映える紫色であることから「紫陽花」とでもしておこうと詠みました。ところが、当時の中国には私たちの知る紫陽花はまだ、存在していません。つまり、白楽天は現在の紫陽花と異なる花を「紫陽花」と呼んだのです。その後、白楽天の漢詩を読んだ平安時代の学者、源順(みなもとのしたごう)は白楽天の漢詩の「紫陽花」を当時、日本で咲いていたアジサイ、つまり現在の紫陽花のことであると思い込みました。このように、紫陽花は源順の勘違いによって紫陽花という漢字が付いたのです。
ちなみに、紫陽花にはもう1つ漢字があることをご存知ですか?実は「八仙花」という漢字も「あじさい」と読むのです。これは紫陽花の別名、八仙花(はっせんか)に由来しています。


〈紫陽花の花言葉〉

名前や漢字に興味深い意味を持つ紫陽花ですが、花言葉にも歴史とともに移り変わりがあるのです。
紫陽花の代表的な花言葉は「移り気」「浮気」「無常」といったネガティブなイメージのものです。これは、紫陽花の色が時期によって変化すること、また、紫陽花には様々な種類の色があることから付けられました。そのため、以前は紫陽花はプレゼントや結婚式の演出には人気がありませんでした。
しかし、現在では「和気あいあい」「家族の結びつき」「団らん」といったポジティブなイメージの花言葉が徐々に伝わり、プレゼントや結婚式にも使用する人が増えています。この花言葉は小さな花が集まって咲いているように見えることから付けられました。
また、紫陽花は色によっても異なる花言葉を持っています。日本でよく見かける紫色の紫陽花は「冷淡」「無常」「辛抱強い愛情」という花言葉があります。雨に耐える様子を表しているようですね。ヨーロッパでよく見られるピンク色、赤紫色の紫陽花は「元気な女性」「強い愛情」、白色の紫陽花は「寛容」という花言葉を持っています。


〈紫陽花の色の変化〉

花言葉は紫陽花の色によって異なることを説明しましたが、この色の変化を決めるのは土壌のpH(酸度)にあります。これは、紫陽花に含まれるアントシアニンという色素が原因です。アントシアニンはブルーベリーに含まれていることで有名ですよね。また、布を染める時にも使われます。
紫陽花の色は、土の中で溶けているアルミニウムイオンが紫陽花に吸収され、紫陽花中のアントシアニンと結合するかどうかによって変わってきます。アルミニウムイオンが紫陽花に吸収された場合、紫陽花は青色になります。一方、吸収されなかった場合にはピンク色になります。
また、アルミニウムイオンは、酸性の土壌で溶けやすく、アルカリ性土壌では溶けにくいという性質を持っています。その結果、酸性土壌では、青色の紫陽花、アルカリ性土壌では、ピンク色の紫陽花が育つのです。日本で青色の紫陽花が多いのは、日本が火山大国であり、主に酸性土壌が広がっているためです。ちなみに、白色の紫陽花は元々アントシアニンを持っていないため、土壌の酸性度によって色が変化することはありません。

いかがでしたか?今回は古くから親しまれている紫陽花の漢字の成り立ち、花言葉、色について紹介しました。こうした知識を得ると、紫陽花の見方が今までとは変わってきそうですね😊

                    作:ゆい(英語担当)

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