見出し画像

【withE通信:「時空のゆがみ」はゲームの世界の話じゃない!】

9月に入り朝晩に少し涼しさを感じるようになってきましたね。1日の中で温度変化が大きい季節ですから体調管理には気を付けてくださいね。
 以前に『こんな時計知ってますか??』という昔の時計の話を書きました。今日はその続きのような話をしていこうかなと思います。最新の時計はどれだけ正確なのでしょう。正確な時計が持つ大きな役割やゲームの中の話が実は現実に起こっていることが分かるはず!

〈1秒の定義〉

 私たちの身の回りにはいろんな単位がありますがすべて定義があります。つまり何を1とするかという基準が決められているのです。1秒にも定義があります。それが『-273℃で、セシウム133原子が91億9263万1770回振動する時間』です。…ん?って感じですよね。もともとは1年を基準にして1秒を決めていたのですが、実は地球が太陽の周りを1回転する1年という長さは一定ではなく微妙に変化しているのです。変化するものが基準だと困りますよね🤦‍♂️今日の1秒と明日の1秒の長さが違ったらパニックになります。そこで1967年にセシウム原子を使ったあの難しい定義に決められたのです。

〈超正確な時計〉

 では超正確な時計をつくるにはどうすればいいでしょう。まず思いつくのは、-273℃でセシウム133原子を91億9263万1770回振動させればいいんだ、ということです。でもここで問題が発生します。地球上では-273℃という温度まで下げることができないのです。
 そこで原子時計というものが開発されました。その中でも今注目されているのがストロンチウム原子を使った光格子時計です。その正確さはなんと300億年に1秒ずれるかどうかです😲今、宇宙が誕生して約140億年ですから、その正確さがよくわかると思います。これほどの正確さを誇る光格子時計は新たな1秒の定義として採用されるのではないかと言われています。ちなみにこの発明者は東京大学の香取秀俊教授。日本人が考えたなんて誇らしいですね。

〈正確な時計の使い道〉

 でも、私たちが生きている間に誤差は出ないんだからそこまで正確な時計必要ないのでは、と思ってしまいます。なぜここまで正確な時計を開発する必要があるのでしょう。
 原子時計のような超正確な時計ならではの重要な役割があるのです。例えば、地球上のすべての物体には重力が働いています。この重力、実は時間と大きな関係があります。なんと、重力の小さなところでは時間が経つのが速く、逆に重力が大きなところでは時間が経つのがゆっくりになっているのです。これは「時空のゆがみ」と呼ばれています。もちろんこれによる時間の変化はごくわずかなため、体感することはできません。実際にずれていることを確かめるにはごくわずかな時間を測ることのできる時計が必要なのです。先ほど話した原子時計の出番ですね。重力による時間のずれを知れれば高さの違う2点の標高差も求められます。時計で山の高さが分かるなんて驚きですね。このように原子時計には時計以外の役割もあります。また、地震の予知や未だ解決されていない科学の疑問の解決にも役立てられると期待されています。

 いつかこんな正確な時計を日常でも使う日がくるのでしょうか。もし実用化されれば、1階と2階で時間の経過に差が!皆さんは1階と2階、どちらで授業を受けたいですか😊
作・サバちゃん(理科担当)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?