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【withE通信:10%引きと10%還元どっちがお得?】

10月になり、今年度も後半戦に入りました。緊急事態宣言も明け、外食をしたり、遠出したりしやすくなりましたね。最近は、いろいろなお店が公式LINEやアプリなどでクーポンを配っていて、よりお得に買い物をすることができます。その中でもよく目にするのが「◯%引き」「◯%ポイント還元」の2つではないでしょうか。

例えば1万円の買い物の場合、「10%引き」なら支払う金額が10%分を引いた9000円になり、「10%還元」なら支払う金額は1万円のままですが、その10%に相当する1000円分のポイントが還ってくることになります。

これらの表示があると、よりこの店で買おうかなという気持ちになるわけですが、この「10%引き」と「10%還元」ではどちらがお得か考えたことはありますか?
「同じ1000円分得してるんだから、一緒じゃないの?」と思うかもしれませんが、実際には2つの間には差があります。得した割合に注目してみましょう。


<どっちがお得か>

まず、「10%引き」からです。本来の値段1万円に対して、割引額は1000円なので、1000÷1万×100=10%分得したことになります。これは簡単ですね。

対して「10%還元」はどうかというと、まず1万円を支払い、その10%の1000円分のポイントが手に入ります。そして、そのポイントを使って1000円分の買い物をします。1万1000円の買い物に対して1000円得しているので、1000÷11,000×100≒9.1%分得したことになります。

割合だと難しいという人は次のように考えてみてください。10%引きは、単純に買った金額から10%分割り引かれるので、1万円の買い物で1000円得します。ですが、10%還元の方は、還元された1000円分のポイントを使って初めて得することができるので、全体では1万1000円の買い物をすることになります。
同じ1000円分得するのに、10%引きでは1万円の買い物が、10%還元では1万1000円の買い物が必要ということです。

つまり、どちらの考え方にせよ10%引きの方が10%還元よりわずかに得していることがわかります。1万円の買い物ではほとんど差はありませんが、金額がもっと大きくなったり、◯%の数字が大きくなったりすれば、その影響も大きくなっていきます。


<数字以上のメリット>

さて、買う側にとって10%引きの方がお得ということは、店側にとっては10%ポイント還元の方が利益が大きくなるわけですが、ポイント還元の最大のメリットは別のところにあります。それは、消費者との次のつながりを作れるということです。

10%引きがその場で適用されるのに対して、10%還元の場合は、その還元されたポイントを使うためにもう一度お店に来る必要があります。また、心理的にもポイントがつくと得した気分になります。その結果、そこまで必要でないものもついつい買ってしまい、そのポイントでまた別のものを買ってしまうという事態に陥るのです。

以前、「数字は嘘をつかないけど……」という記事で行動経済学の話をしましたが、お店のポイントもこの考え方を利用しています。実際は、買わないことが一番得なのですが、ポイントの存在によって「使わないともったいない」という気持ちになってしまうのです。

ポイントがあるとついついあれもこれもと買ってしまいますが、ポイントのことを意識せずに、会計の時になって初めてポイントの存在に気づくぐらいが丁度いいのかもしれませんね。
                      作:高妻(英語担当)

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