出されたものを「黙って食べる」文化

自分の実家に帰省していた際、
母の煮物に「なんか今日のは(味が)キマってないねぇ」
と言ったら、一緒に来ていた旦那さんが驚愕していた。

これはそれぞれの実家での文化の違いの話。

旦那さんの実家では、
美味しかろうが嫌いなものだろうが黙って食べるのが当たり前だったそうだ。

わたしの実家の場合、
思い返せばわたしと父だけだったかもしれないが
味が濃いとか薄いとか、好きとか嫌いとかを食卓で話すのが普通だった。
母曰く、父は嫌なものは黙って残していたらしい。

美味しいものはまた作ってもらいたいし、
口に合わないものも次の時には美味しくなってほしい。
そのために必要なのはコミュニケーションだと思うのだけど。
でも旦那さんの実家方式も素敵で、
食べ物は粗末にしないし、作った人への敬意であふれている。

家庭料理において言えば
美味しいは正義だけど、まずいは悪じゃない。とわたしは思う。
失敗した料理を美味しくないねと家族で苦笑いしたことも
後になってみれば大切な思い出になるから。

わたしの母のまずいものと言えばダントツ酢の物で
ワカメやキュウリに酢を直にかけたものが「酢の物」として出てくる。
なんの希釈もない鋭い酢の酸が食道を通って心なしかキリキリ痛む感じ。
今思い出してもおぞましい。
ずっと酢の物が嫌いだと思ってたのに、
いつだったか三杯酢の存在を知った時はそのまろやかさに感動した。

あまりの衝撃に、母にそのことを伝えたら
「だって私、酢の物嫌いだもん」
と笑ったのだった。

黙って食べずに文句ばかりでごめんね。
わたしが母になったら、旦那さんの実家方式に育てます。

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