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北原ミレイ - ざんげの値打ちもない - 1970
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北原ミレイさんと言えば、やっぱ「石狩挽歌」でしょって、そう思うんですが…
「石狩挽歌」1975
とは言うものの、出身は愛知県です。北国ではなく…
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ちなみにこの歌は、作詞家である、なかにし礼さんの原体験であり、「兄貴、死んでくれ」とまで言わせたお兄さんへの愛憎とか、当時の総ての想いを込めた歌なのだそう。
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必然的に重い唄になりますわいね。
…で、「ざんげの値打ちもない」なんですが…
「ざんげの値打ちもない」1970
吉田秋生さんの作品に「河よりも長くゆるやかに」というのがありまして、短編ではないけど、長編でもない(2巻しか出てないので)。
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この漫画の中で主人公のトシちゃんが、この歌を歌っているシーンがありまして…
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はい。それだけのシーンなんですが、ちょっとそれで覚えていたのですね。ツーか、持っているし、この本。かなりボロくなってしまいましたが。「吉祥天女」の前だったか後だったか忘れてしまったけれど、大友克洋氏の影響を受けた画風になった頃の作品でしたかね~
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内容はって言うと、男子校の話で、男子高に通う男子高生たちのあるある話です。なので、頭の中がソノコトでいっぱいな性春話って感じ?
コメディっぽくもあるけど、その裏にシリアスな事情も見え隠れして、その後の作品にも見られる、一見なんでもないように見える、普通の人の事情とか、心の闇なんかを描いているわけです。「海街diary」とか「ラバースキス」とか…あんな感じ。
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能天気そうな主人公ですが、父親が浮気して離婚して、病弱だった母が亡くなって…そのせいで成績優秀だった姉が大学進学をあきらめて(父親へのあてつけ)、ホステスになり水商売の仕事をし、米軍基地のある街に住んでいたことから、まあ色々と…憂いを秘めたままに、ワケありな青春をおバカな仲間たちと過ごしていく…みたいなね。
まあ、そんな感じ。
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上記のシーンは、バイト先のツテで米兵から手に入れた、ドラッグをうちうちで売ってたんだけど、それが地回りのヤクザにバレて絞められたところを、見ず知らずの米兵に助けられて介抱されているシーン。そこで口ずさんでたわけです。
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そして、北原ミレイさん。
高校生の時はテニスの特待生だったそうです。それが何故か歌手へと進むわけですね。高校二年生の頃から作曲家の人に師事して、卒業後はナイトクラブで歌いながら、様々な作曲家のところでジャズやカンツォーネを習います。
ナイトクラブでの歌う姿を水原弘さんが注目して、
水原弘「黒い花びら」1959
作詞家の阿久悠さんに見出され、
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「ざんげの値打ちもない」でデビュー。
そっか…デビュー曲だったのかっっ
「棄てるものがあるうちはいい」1971
「白い花」1976
山崎ハコさんの作詞です。
「雨の思い出」2007
「風の午後」2015
「愛は一期一会」2018
「人生の贈りもの」2021
デビュー51周年って、ものすごいベテランですよね。今も現役、たぶん生涯現役なのでしょう。
そんな感じでよく知らないし、あまり聞かないジャンルなんだけど…漫画に出てきたことで、すごーく印象に残って、いつか聞きたいなって思った歌なのでした。
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F2blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。
「My Favorites〜音楽のある風景」
2021/10/02 掲載記事より転載
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