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Marlene Dietrich - Lili Marleen / リリー・マルレーン - 1939

マレーネ・デートリッヒ、好きですね~ マジかっこいい!

女性だけど、ハンサムな女性って言葉で讃えられるかな~
憧れの、大好きな女優さんの一人。

生き方も、プライベートな語録も洒落てて、とにかくイキで、一本筋を貫き通した人であり、人としてもステキで…

バイセクシャルであったせいなのか(隠さず公表していました。一時期、ロミー・シュナイダーとも恋人同士だったし)。

性別を感じさせない色気というのかな…
性別を超越した美学を感じさせる人で、
今はこういう気品ある人が少なくなりました。

うん、映画の中で彼女がタバコを吸うシーン。
とてもスマートで格好いいの! 
さりげない仕草がたまりません!!

指の先まで惚れ惚れさせてくれる、美しい所作なんですよ。

とくに「間諜X27」のラストシーンが、かっこいいというか何と言うか、印象的でした。映画を見てから半世紀たちましたが、未だ忘れられません。

「Dishonored / 間諜X27」1931

佇まいだけで人を感動させる存在感と、インパクトを与えられる女優さんや人が、今の世にどれだけいるでしょうね。

ちな、この映画の中では「ドナウ川のさざ波」が効果的に使われています。

【ルーマニア音楽】ドナウ川のさざなみ

して、ディートリッヒというと、ほとんどの人の頭にまず浮かぶのは、映画「嘆きの天使」と「モロッコ」でしょうね。

「Der blaue Engel / 嘆きの天使」1930

「Morocco / モロッコ」1930

この頃の映画って、後の映画とかにものすごく影響を与えていて…(ああ、このシーン、あの古い名作の、あのシーンのオマージュだなあ、あれのパクリだなあ…とかとかww)

鏡に口紅で伝言を書くというのも、歌の歌詞にも使われてたり<ルージュの伝言

てなわけで、ディートリッヒは女優さん。
ドイツ人です。ヴァイマル共和国時代のドイツ生まれ。

プロイセン王国の近衛警察士官の家系に生まれ、音楽学校に通いながらバイオリニストを目指すものの、手首を痛めたことで挫折。演劇学校の道に進みます。

1920年代からドイツで女優として活躍し、1930年以降はハリウッド映画に出るようになりました。

そしてナチスを嫌い、ドイツからアメリカに亡命して、
1939年アメリカ人としての市民権を獲得します。

そのせいで、ドイツでは彼女の映画や歌が禁止になりました。この辺りの経緯と戦後の色々なエピソードは書ききれないので、彼女の人生については、まあ…それくらいで。

故郷に対する彼女の思慕の情は、下記の歌に集約されているので参照まで。

「Ich hab noch einen Koffer in Berlin / ベルリンのスーツ・ケース」1960

旅行鞄一つはベルリンに残してある
パリは素敵 マドレーヌ通り
また五月のローマを歩く素晴らしさ
あるいは夏の晩 ウイーンでの静かなワインの夕べ
でも 皆んなに笑われても
私は未だベルリンにしがみつく

旅行鞄一つはベルリンに残してある
だから近いうちにまた出かける
過ぎ去った至福の時間は
未だみんな私の小さな旅行鞄に入ったままだ

旅行鞄一つはベルリンに残してある
それには意味がある
あの街が懐かしくなれば
手ぶらですぐに出発できるから

遊園地 波乗りプール
動物園には小熊がいて
ヴァンゼー遊泳場には水上自転車
明るく喜びに満ちた日々だった
木々が花をつけた森
サンスーシー宮殿の公園
皆んな聞いて 何て綺麗だったベルリン
私は決して忘れない

旅行鞄一つはベルリンに残してある
だから近いうちにまた出かける
過ぎ去った至福の時間は
未だみんな私の小さな旅行鞄に入ったままだ

旅行鞄一つはベルリンに残してある
それには意味がある
あの街が懐かしくなれば
手ぶらですぐに出発できるから

だから旅行鞄一つはベルリンに残してある

http://aroma-senior.cocolog-nifty.com/poemes/

さて歌の話。
第二次世界大戦中にヒットしたこの曲は、ドイツのポップスです。1915年にドイツの詩人ハンス・ライプが、ロシアへの出征を前にして、
詩集『Das Lied eines jungen Soldaten auf der Wacht』
(港の小さな手風琴)を書いたのですが、その詩集に書かれていた詩を原典として、1938年にノルベルト・シェルツェという作曲家が曲をつけ、翌年に歌手のララ・アンデルセンがレコード化したのですね。

ハンス・ライプ

その時には対して売れなかったそうですが…1941年にドイツ軍の慰問用レコードとして、軍のラジオ放送で流され、それが多くの兵士たちの心を捉え、故郷を思い出し懐かしむ歌として流行したそうです。

して、歌手のララなんですが、彼女の親しい友人にユダヤ人がいたことから、彼女の歌手活動は禁じられ、レコードは廃棄処分されることになってしまいました。

ララ・アンデルセンのオリジナル音源
LALE ANDERSEN「Lili Marleen」1938

日本ではディートリッヒの持ち歌と思われてますが、
彼女はこの歌を気にいって、持ち歌として歌っていただけだったり。

そして…故郷ドイツを捨てたことで、皮肉なことに連合軍の慰問先でこの歌を歌うことになったのです。

「Lili Marleen / リリー・マルレーン」1939

ただ、オリジナルは明るくて、マレーネの方が悲哀を感じるというか何と言うかで、私はマレーネの歌の方が好きだったりします。

この歌というと、ディートリッヒでせう!というわけで…

日本人にとっても愛されてる曲で、加藤登紀子さんとか

夏木マリさんとか

藤三郎さんとか梓みちよさんとか

こうした方々も歌われてます。

ちなみに映画にもなってます。

「Lili Marleen / リリー・マルレーン」1981

この映画は見てないから、説明のしようがないのですけど。

そして参照まで日本語訳を載せておきます

兵営の前、門の向かいに
街灯が立っていたね
今もあるのなら、そこで会おう
また街灯のそばで会おうよ
昔みたいに リリー・マルレーン

俺たち2人の影が、1つになってた
俺たち本当に愛しあっていた
ひと目見ればわかるほど
また会えたなら、あの頃みたいに
リリー・マルレーン

もう門限の時間がやってきた
「ラッパが鳴っているぞ、遅れたら営倉3日だ」
「わかりました、すぐ行きます」
だから俺たちお別れを言った
君と一緒にいるべきだったのか
リリー・マルレーン

もう長いあいだ見ていない
毎晩聞いていた、君の靴の音
やってくる君の姿
俺にツキがなく、もしものことがあったなら
あの街灯のそばに、誰が立つんだろう
誰が君と一緒にいるんだろう

たまの静かな時には 
君の口元を思い出すんだ
夜霧が渦を巻く晩には

あの街灯の下に立っているから
昔みたいに リリー・マルレーン

戦場の兵士たちの心を強く揺さぶったってのが、何か解りますよね。誰だって戦争で死にたくないし、故郷で恋人や家族と平和に暮らしたいと望むものだし…
今もこの同じ青空の下、遠いところにいる想い人を想い、涙している人たちがいるのでしょう。


F2blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。

「My Favorites〜音楽のある風景」
 2021/03/30 掲載記事より転載


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