Simon & Garfunkel - Scarborough Fair / スカボロー・フェア - 1966
哲学的な詩人ポール・サイモンと天使の声と呼ばれたアート・ガーファンクル。小学校の同級生だったという二人の醸し出すハーモニーは、本当に素晴らしかったですね。
2009年の東京ドーム、もう来日するのは最後だと思って、はりきって行きましたよ。彼らの歌声を生で聞けたのは感動でした。青春が蘇るような、そんな感覚(観客の平均年齢は限りなく高し)。…って、彼らの全盛期には、私はまだ子供やんww
最初の彼らのグループ名は、
「トム&ジェリー」だったそうです。
ずっとそれだったら、なんか笑ってしまうっっっ
そして、
彼らと言えば、映画「卒業」のサントラも代表曲。
この映画のメインテーマが、
「The Sound of Silence / サウンド・オブ・サイレンス」1964
動画は、1981年の、
あのセントラル・パークでの再結成コンサート。
(仲違いとか色々していたから)
歌詞も哲学的で、青春の光と影を彷彿とさせる内容がメロディにマッチしてて、そして二人の美しく繊細なハーモニー。 60年代だなあ…って、そんな感じです。
でもって、映画「卒業」には、もうこれしかない!…って、くらいにピッタリでした。
映画トレイラー「卒業」1967
この映画は、最後の教会のシーン(花嫁強奪)が有名で、パロディとかにも使われたり、女性があの映画の、あのシーンのように私をさらって欲しいと夢みて憧れたりとか…
比喩とかそんな意味でも、色々と語られる名シーンではありますが…
でも現実的には、親の親友夫婦の奥さんとずっと不倫してて、幼なじみである、その娘とも二股同時進行(ゲスな言い方だと親子丼)をしてて、将来を期待されてたエリート息子が、輝かしい未来とか人間関係とか、すべてをめちゃくちゃにして手放してまで、ピュアな初恋を取り戻すものの、
「その先は果たして??」なクエッションがつく、終わり方なんですよね<バスの中で我に帰る二人
泣きながら教会のドアを叩いて、自分の名前を呼ばれたら、自分の母親とそんなことしていた相手でも、やはり好きだから…でほだされちゃう? 許せちゃう?
どうなんでしょう。
結婚相手のことをさほど好きでもなかった…というのはあるのかな。二人は勢いだけで突っ走っちゃった感じはありますよね。映画では描かれてないけど、それまで親の庇護を受けていたセレブな二人は、双方の親と縁切り上等で生きていくわけです(大学卒業しただけで就職もしてませんし)。
結婚式を台無しにしちゃって、結婚相手に恥をかかせてしまったこともあり、当然ながら身内は全員誰も頼れない、知人友人も難しいでしょう。
さて…どうする? まさに色んなものからの卒業です。
それまで属していた上流階級という社会、親の地位や名声があってこそ得られ、守られていた、恵まれていたすべてのものからの卒業。これから二人だけで、しでかしたことの後始末や責任など取らなくてはいけません。
全然ハッピーエンドではない映画です。
「Mrs. Robinson / ミセス・ロビンソン」1967
ロビンソン夫人の歌です。タイトルまんまっっ
「April Come She Will / 4月になれば彼女は」1966
この歌の彼女って言うのはエレインのこと。4月になれば帰ってくるってことでっっ
そして
「Scarborough Fair (Canticle)/ スカボロー・フェア(詠唱)」1966
これはもともとスコットランド(アイルランド人でアイリッシュの曲だと言いはる人もいる)に伝わる民謡(伝承歌)で伝統的なバラッド。
スカボローと日本語でなってますけど、発音的にはスカーブラの方が近いらしく、スコットランドはエジンバラの町スカーブラに立つ市場のことなんですね。
「スカーブラの市場」ってとこ。
日本だと築地市場とか豊洲市場みたいな感じ?
この歌を最初にレコーディングしたのは、アイルランドのシンガーだったはず。昔アイルランドに旅行に行った、バンドマンのにーさんにお土産でもらったんですが、いつの間にか無くなってもーた。ごめんなさいっっ
色んなバージョンがあって、メロディも歌詞もそれぞれ異なっていたりします。グリーンスリーブスも、そのような昔から伝わる叙事詩で、伝承歌に位置しますですね。あの歌もスコットランドが発祥だったと思ったけど。
Olivia Newton John「Green Sleeves」
S&Gのバージョンは、こういった過去のものをミックスして歌われたようです。
して… ♪パセリ、セージ、ローズマリーとタイム♪
これは、市場に立つハーブ売りのお客さんへの呼びかけの声で、日本だと「焼きいもー♪」「さおだけー♪」みたいなものらしいです。
が、同時に魔女の魔除の呪文でもあるとのこと。
…で、どうやら、この繰り返されるこのフレーズは、
この歌の中では呼び込みの方では無く、
魔除けの呪文として使われているようです。
日本語だと、「なんまいだー」とか「なんみょうほーれんげーきょう」「はんにゃーはらーみー」「悪霊退散」とか、
そんな感じの意味合い。
この歌詞は、
イングランドとの戦争で亡くなった男性が、故郷スコットランドに残した恋人への未練から、スコットランドはエジンバラ、懐かしい故郷のスカーブロの市場へと、行こうとしている旅人の前に幽霊となって現れ、
「あなたが、もしもスカーバラの市場にいくことがあるならば、そこに住む彼女にぜひ伝えて欲しいことがある」
…と言うものの、肝心の旅人は、幽霊を追い払うために魔除のハーブの名前、(ハーブ売りが呼び込みで使っている言葉)をひたすら唱えている。
イングランドとスコットランドの戦争というと
ブレイブハート思い出してしまふ
そして、謎かけ的な…実現不可能な、これ作って、あれ作ってみたいなのは、彼女に伝えて欲しいことでもあり、幽霊となった自分が、人間として再び彼女の前に復活できる方法(蘇りの魔法、反魂の術みたいな?)なんですね。
グリム童話の「6羽の白鳥」に出てくる呪いを解くための、無理難題な方法みたいな、あんな感じのことですね。
(さすが魔法大好きイギリス人)
そういう歌なのです。
でも、旅人にお祓い言葉唱えられて、伝言は拒絶されちゃってるから、幽霊の最後の望みは叶えられない。故郷の恋人には彼の想い、言葉は届けられることなく…な悲しい歌になっちゃうのだなあ…仕方無い気もしますが。
して、この物悲しくも素敵なバラッド。
映画の中ではベンがエレインに付き纏う時に多用されているので、ストーカーソングになっちゃってて、ちょい複雑。
さて、S&Gと言うと たくさんの名曲ヒット曲があります。
「El Condor Pasa / コンドルは飛んでいく」1970
ペルーはアンデス地方に伝わるフォルクローレですが、彼らのおかげで世界的に有名になった一曲ですね。
どこか懐かしい響きの郷愁を誘う曲、この曲が好きって人は多いですよね。
「Wednesday morning, 3a.m. / 水曜の朝 午前3時」1964
彼らのデビュー曲。
「Bridge over Troubled Water / 明日に架ける橋」1970
とてもいい歌で、歌詞がいいですよね。永遠のエバーグリーン、後世にも語り継がれる名曲です。
でも、無償の愛・友情をテーマとした歌なのに、この曲のレコーディング中に二人の仲が悪化。活動休止に至ったというのが、なんとも皮肉ですっっ
「The Boxer / ボクサー」1969
これも大好きな曲です❤️
「Homeward Bound / 早く家に帰りたい」1966
「America / アメリカ」1968
どの曲もぜんぶ好きなので、とりあえず有名どころ少しっっ
っていうかー 活動期間は実質6年と短いので、思ったよりは曲数がないんですよね。
「A hazy shade of winter / 冬の散歩道」1966
それでもどれもいい曲だし、ポール・サイモンの書く詞がまさに詩という感じで深いのでグッと来るし、アートの澄み切った声と、二人の醸し出すハーモニーがほんと良いのです。
F2blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。
「My Favorites〜音楽のある風景」
2020/11/21 掲載記事より転載