Pet Shop Boys - It's a Sin / 哀しみの天使 - 1987
彼らもまた、80年代後期を代表するポップ・デュオになるのかな。ダンス・ポップ(ロック)と言うよりはハウス・ミュージックで、テクノ・ポップなイメージだけど。
そうですね、彼らの曲はライトに耳に重くなく聞き流せる、イージーリスニングな都会的でおしゃれな曲たち。メロディはそうだけど、歌詞はまた違うんですけどねっっ
イギリスのデュオで結成は1981年。ミュージシャンで雑誌記者だったニール・テナント(作詞担当)とまだ学生だったクリス・ロウ(作曲担当)の二人が、たまたま楽器店に来店して、同じキーボードに触れたことが出会いのきっかけで、そこに運命を感じてのユニット結成。
オリジナル「West End Girls」1984
こちらがデビューシングルなんですが、まったく売れなかったそう。でもって、この頃のユニット名がウエストエンド。
共通の知人がペットショップで働いていたことから、ユニット名がペット・ショップ・ボーイズになったそうです(よくわからん)。
1985年に、新たにポップアレンジバージョンにしたものが大ヒットしました。
「West End Girls」1985
こちらは大ヒットして、全世界で150万枚売れることに。日本ではスズキ・カルタスGT-iのCMソングに使用されました。
で、翌年にはファーストアルバムを出し、こちらも大ヒット。続いての二枚目のアルバム「哀しみの天使」からも、たくさんのヒット曲が生れました。
「One More Chance」1987
「What Have I Done To Deserve This / とどかぬ想い」1987
彼らの憧れの人であった、ダスティ・スプリングフィールドをゲスト・ボーカルに迎えての楽曲。
Dusty Springfield「If You Go Away」1967
上記の共演をきっかけにして、彼らは彼女の作品をプロデュースすることに。
「Heart」1987
MVは1922年のドイツ表現主義映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」からインスパイアされていて、花嫁を奪い去る吸血鬼役としてイアン・マッケラン※が出演しています。※イギリスの俳優でシェイクスピア演劇からSFに到るまで、舞台・テレビ・映画と多岐に渡って活躍している。
映画予告「Nosferatu / 吸血鬼ノスフェラトゥ」1922
「Always On My Mind」1987
ブレンダ・リーのカバー。クリスマスソングでペットショップボーイズ唯一のクリスマスナンバー。
オリジナルはこんな感じ。まったく違う曲に聞こえますw
Brenda Lee, Elvis Presley & Willie Nelson 1972
「Go West」1993
ヴィレッジ・ピープルのカバーです。MVは1991年のソビエト連邦崩壊にインスパイアを受けての社会主義リアリズム的をカリカチュアライズしたものですが…※直前に終結した東西冷戦とソビエト連邦の全体主義とアメリカの西部開拓(マニフェスト・ディスティニー)を皮肉ったもの
第37回グラミー賞で、最優秀短編ミュージックビデオ賞にノミネートされました。
オリジナルはこちら Village People 1979
もともとのこの歌の意味と言うか、主旨は…
周知のことですが、ヴィレッジ・ピープルはゲイ・カルチャーの先駆者。
ニールもゲイなのですけど、だからと言って、この選曲は別にそれってこともないと思ったりするんですが…ちなみにカミングアウトしたのは1994年のことだし。
「Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You)」1991
こちらU2の曲と「君の瞳に恋してる」(ボーイズ・タウン・ギャングのカバーの方)とメドレーアレンジにして、カバーしたもので、当初U2側は激怒していました。
いちおう後に和解したとのこと。
U2「Where The Streets Have No Name」1987
Boys Town Gang「Can't take my eyes off you」1982
「New York City Boy」1999
「Flamboyant」2004
こちらのMVには「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」の映像が使用されていて、日本をテーマとしているそうです。
そして彼らの曲で一番印象に残っていると言うか、インパクト強く頭に残っている曲はこれですかねー
「It's A Sin / 哀しみの天使」1987
原題の「It's a Sin」を直訳すると「罪です」になる。歌詞や翻訳をダイレクトにここに掲載することはしないけど、この曲はニール自身の体験が元になっていて、キリスト教徒の罪の告白(懺悔)が歌詞となっていたり。過去の罪との後悔とそれを恥ずかしむ羞恥心。
もしかしたら、彼がゲイというマイノリティだという事で、ずっと罪(と思い込まされて)を背負って生きてきた、そのことを歌ったものなのかも知れないなあとも思うけど…でも性癖や性の趣向は、誰か他者を傷つけたりするものでない限り、罪ではないよと言ってあげたい。
「Home And Dry」2002
日本はゲイやバイやレズビアンなどに優しく寛容な国と言うけれど、実際はそうではないことは日本人なら理解できるはず(おかまとかおなべとかいう言葉で揶揄して、結局笑いの種にして、面白がって見世物にして笑いながら差別しているからね、昔から)。
それでも、キリスト教の国よりはまだマシってことなんだろう。イスラムの国では殺されて、罰せられてもしまうし…
「Love Etc.」2009
まあ、この歌の歌詞の内容は、必ずしもそのことを言っているわけでなく、人として道を外れてしまったことへの、その罪。小さな罪を、たくさん積み重ねてきてしまった自分の愚かさ、若さゆえの過ちの様々な上手くやれなかったことへの後悔とか、その罪に対する贖罪の気持ち‥ですが。
哀しいバラードでも、ブルースでも、ゴスペルでもロックでもなく、ハウステクノなジャンルでこのような歌詞の歌が生れることに時代も感じたなあ…ラップはまあまあ、あるけれど。
して、ペットショップボーイズのお二人は、ボーイズでは無くなってしまった今でも解散することなく、それぞれが別のプロジェクトに参加しつつも、黄金期を過ぎてしまったその後も、ずっとマイペースにアルバムを出していたり、活動してくれているのです。
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「My Favorites〜音楽のある風景」
2021/11/18 掲載記事より転載