ほぐほぐマムアンちゃん制作日記 vol.4 「担当編集さんから見るタムくんは王子様?」
スタッフです。
新刊「ほぐほぐマムアンちゃん」発売にあたり、担当編集さんに今回の絵本「ほぐほぐマムアンちゃん」についてお話をきいています。
スタッフH:聞き手、甘いものが好き。犬より猫派。
担当編集さん:海外の絵本を日本に仲介する仕事をしていたが、岩崎書店で編集を担当することになった。タムくんのファンでもある、タムくんのライブがきっかけで生命保険に入った。
「一番苦労した悩み、やり取り」
(担当編集)この本では、14の悲しいことや悩みにタムくんが答える形になっていますが、スタッフさんが、特に印象に残ったのはどれでしたか。
ー「親友とよべる友だちがいない」は思春期の自分が、その当時読んでいたら心強かっただろうに、と思いました。
(担当編集)本当ですね!思春期は特に、自分の属する世界がすべてという面がありますから、友だち関係の悩みは切実ですよね。
ーはい。
どうしても気の合う友人を見つけられなくて1人落ち込んでいました。
今考えれば、当時は自分の好きなことをひたすらやって、自分の時間を楽しんでいたのでタムくんが言っているように「自分と親しくなる」のが得意だったのに、それに気付いていなかったんですね。
のちのち気の合う友人と出会えましたし、今なら、「そのままでいいんだよ」と言ってあげられます。
(担当編集)今同じ悩みを持つ人たちにもこのメッセージが届いてほしいですね。
ー絵や文章はどうやってできていったのですか。
(担当編集)前もってタムくんに悩みをお渡ししていましたが、それを見て何か送られてくるということはなくて、対面で半分、オンラインで半分、時間を取ってその場で作ってくれました。
ー目の前で、集中して一気に進める形ですね。
(担当編集)はい。コロナ前はカフェで、その後はオンラインでした。まずタムくんが悩みを読み、これはどういうことなの?と背景を聞かれました。私がつたない説明をすると、ほんの少し間があったあと、さらさらと、まず絵を描かれていました。
ーこの本でいうと、見開きの左側のイラストですか?
(担当編集)はい、ひとことが添えられたイラストのラフにあたるものです。そして、どうしてそのラフを描いたかの説明をタムくんがして、私がそれをメモする。ひとしきりそういうやり取りがあり、最後にタムくんが「これでいい?」って聞く、の繰り返しです。
ーその場でひねり出すのは、集中力が要りそうですね。
(担当編集)はい。いくつかまとめてやって、今日はもう疲れたから終わり、という感じでした。後日細かなやり取りをして仕上げていってもらいました。
ーやり直しを頼むことはありましたか。
(担当編集)ほとんどなかったです。タムくんからもらうものを私がひたすら「いいですね!」と言っていた感じでした。
ーこれはよく分からない、答えられないとタムくんに言われた悩みはありましたか。
(担当編集)「空気を読まないといけないプレッシャーがある」は、最後にできあがったのですが、何度もやり取りしました。どうしても同調圧力についての悩みを入れたかったのですが、なかなか具体的な例をお伝えできず。自分の中で漠然としていることは、すぐタムくんには分かってしまいました。
ーそれで、どういう例を出したら、理解されたのですか。
(担当編集)公立小学校じゃない、私立や国立の小学校受験の面接ファッションってありますよね。なぜかお母さんが皆、紺の服で、専用のコーナーがデパートにあったりとかして。それが昔から不思議でした。見えないルール、公的には存在しないルールがあって、それを守らないといけないっていう。でも保護者も学校も、それがその機会のためだけのファッションだと承知している。
ー日本の暗黙の了解のひとつですよね。それで、このポイントの話になっていったんですね。
(担当編集)はい。タムくんの『「これが一番平気にいられる」と計算してるんでしょう』という言葉には、痛いところを突かれた気がしました。
ー最終的には、その受験ファッションの例は本に出ませんでしたね。
(担当編集)大人だけでなく子どもも読む本なので、その例はターゲットが狭いかなと思ったのと、その例がなくても十分伝わるメッセージだったので、許可を得て省くことになりました。
ータイにも同調圧力はあるのか、聞いてみたいですね。ほかに、タムくんとのやり取りで何か印象に残っていることはありますか。
(担当編集)実は、タムくん、その佇まいから、前から王子様だって思ってたんです。
ー・・・。
(担当編集)「私を迎えに来てくれる王子様」の文脈の王子じゃなくて、気高く貴い人という印象がありました。今回お仕事をさせていただいたときも、その印象は最後まで変わらなかったです。
ー普段からタムくんと接している身としてはあまりピンとこないのですが、もう少し説明してもらえますか。
(担当編集)たとえば、転んで泣いている小さい子がいたら、自分だったらわっと駆けよって「大丈夫?よしよし」と声をかけて、抱き寄せて傷をフーフーしちゃうと思います。とりあえず。形式的にでも。でもタムくんだったら、とりあえずの声かけや安易なご機嫌取りはしないと思う。ゆっくりとその子を見て、その子が立ち上がったら水道のところに連れていき、傷を洗ってあげ、清潔なハンカチをサッと出してふかせて、落ち着くまで静かに見守っている。そういうイメージです。
ーなるほど…?
(担当編集)何が言いたいかというと、冷静で、形式的なことや、心にもない発言や行動はしない方だと思いました。決して冷たいということはなくて、あたたかいのですが、なんていうのでしょう、例えばこちらに合わせることや、近寄ってくることはないけれど、違う方法でしっかり助けてくれました。原稿をお願いするときも、とりあえずのお返事とかはなくて、原稿が来るときは来る。こちらがそれとなくつっついても、できないときはできない。無理しない。じっと待っていると、やがてこちらの予想を越えたいいものが送られてくる。
ー王子様というのは、分かったような、分からないような・・・。さすがタムくんがきっかけで生命保険に入っただけあって、ワープするような考え方ですね。
(担当編集)10年後解約しちゃいましたけどね。
担当編集さんが好きなタムくんの「ひとこと」