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timelesz projectがくれた「出会い直し」の機会
「タイプロ見てる?」「見た方がいいよ」
大学の同級生とも、就活塾で一緒だった友人とも、眉サロンの担当のお姉さまともこんな会話になり。
こんなにも違うコミュニティで話題になるコンテンツはなかなかないなと、そのすごさを日々実感している。
そう、「timelesz project」。通称、タイプロ。Sexy Zoneとしての活動に幕を閉じた後、佐藤勝利・菊池風磨・松島聡の3人で活動し始めた「timelesz」。その新メンバーオーディションを行うという前代未聞のプロジェクトが、昨年からNetflixで配信されている。
以前にもこの企画に対する所感を書いたが
あれから4ヶ月ちょっと、私はますますこのプロジェクトに心奪われ完全にハマっている。
最近リポストやいいねばかりしているXでも、なぜかタイプロのことになると饒舌になっている自分がいて、驚く。
なぜこんなにもハマっているのか……このプロジェクトは人によっていろんな見方があると思うけれど、私の場合は思いがけず「出会い直させてもらっている」感覚があることに気づいた。
事務所との出会い直し
私は長年、timeleszが所属するSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)のアイドルたちを応援してきた。timeleszのファンを指すsecondzでは、ない。それでも20年以上は、事務所の歴史を見てきて。
ここ数年で、事務所も所属アイドルたちも芸能界そのものも状況が変わってしまい……一人のファンとしてなんとか変化を受け入れ、理解し、適応しようとしてきた。
それでも、事務所が積み重ねてきた伝統を否定したくない気持ちは強いし、どれだけ新しいものの良さを理解したつもりでも事務所の歴史は、自分が歩んできた人生そのものだから。
どこかで折り合いをつけて、過去を取り入れつつも未来に向かっていく……そんな事務所であってほしいし、アイドルたちでいてほしくて。
その葛藤が、このタイプロにはギュッと詰め込まれていると思う。
このオーディション自体、事務所としては初の試み。ジュニアではなく「一般人をメインにしたオーディション」という形を取ること自体、納得がいかない人もいるはずだ。
そんな中で、オーディションの過程においてこれまでの歴史を作り上げてきた先輩たちにお伺いを立て、アドバイスをもらい、「過去を大切にした上で未来を作ろうとする」姿勢が事務所を応援してきた人間にはグッとくる。
この事務所にはどんな魅力があって、これからどうなっていくべきなのか?ファンとしても考えさせられるありがたい機会で、ここにきて事務所と出会い直せたことに感謝を伝えたい。
寺西拓人との出会い直し
現時点で、候補生は8名。最終審査に進むことが決定しており、その様子が今月配信されていく予定だ。
今までの候補生で何人か「いいな」と思う人はいたし、落選してしまって落ち込みもしたけれど……ファンと言えるほど圧倒的に推している一人がいるわけではない。
それでも強いて一人あげるなら、寺西拓人(テラ)を選ぶと思う。コンサートがあったとして誰のウチワを振るか?と聞かれれば、今は間違いなく彼だ。
彼はSTARTO ENTERTAINMENTに所属しており、かつてはジュニアとして活動していた。今は俳優部として、グループには所属せず数々の舞台に引っ張りだこの存在。
彼のことは、これまでいくつかの舞台で見てきた。その実力に圧倒されつつも、推しているグループのあのメンバーと仲がいい、とか、あのメンバーのシンメ(シンメトリー。反対側で踊る人)だとか、いつも私にとっては中心ではない存在だった。
そんな、それなりの期間にわたって見てきたテラとまさかこんな形で会うことになるなんて。
しかも、どうやら彼はタイプロ界隈で驚くほど人気が爆発しているらしい。私も今まで気づかなかった彼の良さに魅了され、夢中になっている一人だ。
家にある昔の雑誌にはあたりまえのようにテラが載っていて、今まで見向きもしなかったのに……今はいつにない輝きを放っている。
こんな出会い直しの機会をくれたタイプロには心から感謝したいし、こんな経験は今まで一度もしたことがない。人生、何が起きるかわからなくておもしろいなあ、とちょっと大袈裟だけど思う。もちろん、長年の寺西くんファンのみなさまには頭が下がる思いだ。
timeleszメンバーとの出会い直し
前回の記事で、「初めて選ばれる側ではなく選ぶ側になったtimeleszの物語」を追うところにも楽しみを見いだしたい……ということを書いた。
メンバーそれぞれが候補生のパフォーマンスをプロデュースする審査で、まさにそれを見ることができたのが、嬉しかった。
一番驚いたのは、佐藤勝利のプロデュース力。これは本人にもファンの方にも本当に失礼な話だが、数年前の佐藤勝利ソロコンサートの映像を見たときに、彼は何がやりたい人なのだろう?と私にはわからなくて。
中島健人や菊池風磨のソロコンサートはコンセプトがしっかりしていて、セットリストにも意思を感じた。でも勝利は本当にやりたいことができているのだろうか?と失礼ながら心配してしまったのだ。
そんな彼が、伝統を重んじつつ作り上げた楽曲は見事だった。文句のつけどころがないくらいに顔面が良くて、エリート街道を突き進んできた……そんなイメージの強い彼だが、タイプロでは彼ならではの熱い思いや意思が伝わってくる。タイプロの存在がなければ、私は彼とこんな風に出会い直すことはなかっただろう。
風磨は、かつてのどこかかっこつけているイメージは払拭されて泥臭さが見える場面が多いし、聡ちゃん(松島聡)はタイプロを通して興味のレベルが一番上がった。表面的なかわいさだけでなく、候補生への共感力の高さに魅力を感じる。
あくまで「私が」という話だが、こんな風に3人と出会い直せたことが素直に嬉しい。
自分との出会い直し
毎回タイプロを見た後は、不思議と自分も「やってやろう」と熱い気持ちになっていることに気づく。自分を重ね合わせるなんておこがましいのだが、どこか自分が辿ってきた道を思い出す瞬間があるから……見ていて辛いし、でも希望を持つことができるのだと思う。
オーディションの様子が、会社の採用面接と重なる……とSNSで投稿している人がいたが、少しわかる気がした。100%ではないが、確かに重なる部分がある。
私は就職活動で、エントリーシートを出した数だけで言えば70社ほどにアプローチをして、ことごとく落とされた。こんなに働きたいと言っているのに、なぜか働かせてくれない。だめな理由もわからない。グループワークでよし!うまく仕切れた!!!!と思ったら、翌日見事に落とされたりして。だんだん人格を否定されているような気にさえ、なってくる。
結局、グループワークの出来が最悪だったはずの今の会社でなぜか採用された私。いいとか悪いとかではなく、全ては相性だったのだ……と今になってようやくわかってきた。
タイプロだってそうなんだ!と言いきるのは少し乱暴で、既存のアイドルグループへの加入と会社員の採用の話はもちろん違う。
でも、会社もタイプロも、受かって入れたからといってそれが正解とも限らないわけで。成功や幸せが約束されているわけでもない。
だからこそ、自分の決めた道なら、それを成功や幸せに結びつけられるようにただひたすら実直にがんばるしかない。
そんな風に、タイプロを見ては自分の人生も鼓舞している。
タイプロは、一部のファンだけでなく幅広い人が見られるコンテンツだからこそ、語り合えば楽しく、盛り上がるものだと思う。
でも、語り合う上で互いの前提に配慮することが大事な気もしていて。例えば私が今日語った内容は、「長年、事務所のアイドルを応援してきた」「secondzではない」「会社員の」人間の立場で語ったことだ。
でも、今回の配信はsecondzから、STARTO ENTERTAINMENTのアイドルなんて興味を持ってこなかったという人まで、さまざまいる。人生をかけたプロジェクトとして伴走している人もいれば、興味深いコンテンツとして楽しんでいる人もいる。
これだけ様々な人たちがいるのだから、その間でプロジェクトや配信内容に関して意見が割れるのは、当然のことだ。
ついにこの先「メンバーが決まる」というフェーズが待っているわけだが、みんながその結果に納得することなんて、きっとない。
直近の配信内容に関しては私も驚いたことや見ていて辛かったことがたくさんあったし、SNSでは選考結果への不満やtimeleszメンバーへの不満など、いろいろなネガティブな意見を目にした。
それでも、そんなことは全て想定の上でやると決めて、前に進んでいるのだから。やはりtimeleszメンバー含め、このプロジェクトにかかわる方々の覚悟は計り知れないものだと思う。
その覚悟に敬意を表して、このプロジェクトの一視聴者として、最後まで全力で見守りたい。
そして自分ならではの視点で、その感想を言語化することにしっかり勇気を持っていたい。