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『夢の跡』 OAU 【好きな音楽】
心地よくうつらうつらとしてきた時や、
目覚まし時計で無理に起こされるのでなく、ゆっくりと眠りから覚めた時、
頭の中で音楽が鳴っていることがある。
なんとなく、今日一日のテンションを表しているようで、
そんな日は調子がいいなと感じる。
・「夢の跡」 OAU
電子音楽は、時にその人工物感で、聴くことに疲れてしまうことがある。
気分が沈んでいるから、元気な音楽を聴こうにしても、
極端なアップテンションは、無理やり押しつけられているようで、
気分との振り幅についていけない。
ゆっくりと気分を変えていきたいときや、落ち着きたい時、
アコースティックな音楽は、自然な響きで、優しく耳に入ってくる。
やはり、人は潜在意識で自然なものを求めて、安心するのだろうか。
柔らかく囁くように始まり、包み込むようにボーカルが入る。
儚げであるようで、昔を懐かしむようで、
綺麗な砂浜から海を眺めている感覚に似ている。
だから、このMVは、曲の印象がそのまま型取られているように感じる。
うつむく顔 遠ざかり 君がいる
いつの間にか 消えていく 影のよう
その時 まだ君の名を 知らなくて
鏡の中 手を振った 影を待つ
遠くで ほら泣き出した 声響く
振り返れば 笑っている 傍にいる
当てなく いつ旅立って行くのだろう
思いのまま さよならをするのだろう
世界にただ微笑んで 何処へ行く
世界にただ束の間の 夢の跡
夢の中で会えた人。
泣いている声も、笑っている表情も、愛おしくて、
心のどこかでその人を求めていたのだろう。
やっとその人に会えたと思えたのに夢は瞬く間に終わってしまう。
夢は目覚めた時にはもうそのほとんどを覚えていないと言われる。
ただ、会いたい人に会えた夢から目覚めたその瞬間は、
夢から覚めてしまった喪失感が、その夢を一時忘れられないものにする。
同じように、良い夢が見れたと温かい気持ちが、1日を彩ることもある。
良い夢を見た後は、またそんな夢が見られるように、
夢の跡を追い求めてしまう。
・終わりに
寝れば明日には忘れられる。そう思う時もある。
夢を見たら思い出した。そんな時もある。
寝ているときに僕たちの頭の中で何が起こっているかはわからないが、
無意識の中で、色んなことが巻き起こっているはずだ。
起きた時、なぜか頭に流れてくる曲は、
そんな寝ている時の無意識の頭の中で、
もしかしたら、起きた時にはもう忘れてしまっている夢の映像も加味しながら、
今日の一曲を選曲しているのかもしれない。
OAUが出るフジロックの配信を楽しみにしながら。
Fujigo