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見えない化された社会課題〜障がい者の性〜

世の中には、数値化・見える化されて認知されている課題もあれば、まるで水面の下にある氷山の山裾のように、言われたら気づくけど、その大きさすら明らかじゃなく、触れなければ知られることも目を向けられる事もない「見えない」課題があります。


その見えない課題は、「見えない」から「知られない」、知られないからまるで存在しないかのように扱われます。正確には扱われてすらいないんだけど。


でも、当事者はもちろんのこと、気付いてる人は気付いてるんです。
ただ、誰も目を向けていない、向けようとしないその課題に声を出して手をかけるのってすごく勇気が要る。
もしかしたら声に出す事で変な目で見られるんじゃないか、手をかけるにしても自分だけでどうにか出来るのか…。


そこに明確に意思や答えを持つことが出来なくて、気付いてるけどそこに立ち尽くすしかない事もあります。出しかけた声を引っ込めてしまう事もあります。


そしてまた誰にも目を向けられず、見えないものになっていく。


そんな課題が社会の中にはまだまだ沢山あるんだと思います。


数値化も見える化もされず、でもそこには確実に生きづらさがあります。


ちょっとシリアスに言い過ぎたかも知れませんが、今取り組んでいる「障がい者の性」というテーマもまたその「見えない」生きづらさをはらんでいる社会課題なんだと思います。


障がいの有無を問わず、な気がしますが、確かに性にまつわるトラブルやリスクというのは存在します。



ただ、そのトラブルの根本的な原因は「障がいがあること」でしょうか?


僕が関わらせていただいた事があるケースでは、性にまつわる事に触れる機会がなく、異性とお近づきになる機会も得られず、それでも健全な1人の人として生まれた性的な関心のやり場がない中で、溜まりに溜まったその欲求を相談することも憚られて、どうしようもなくやってしまった行為が触法にあたる事だったため罰せられました。


やった事を家族や周囲に叱責されこそすれど、自分の性的関心についてはむしろどんどん打ち明けることもしにくくなり、何度も触法を重ねてしまいました。


さてこれって本当に「障がいがあること」が根本的な問題だったんでしょうか?




またあるケースでは、少し重度の身体の障がいを負われた方が性のサービスを受けてみたい、と熱望していました。
が家族が連れて行く、というのはちょっと本人も抵抗があったので福祉サービスを利用できないか、と問い合わせたところ、性風俗の利用のための福祉サービスの利用はできない、という返答でした。


ずっと本人は一回でいいから使ってみたいという思いを募らせ続けて、それがネックで他の通所サービスなどに行くことも拒否していたんです。


巡りに巡って結局インフォーマルなサポートがあったため無事に風俗サービスの利用をすることができたんですが、その後はすっかり前向きな気持ちになって通所サービスなども利用されるようになりました。


これは「障がいがあること」が問題なんでしょうか?



今「輝きのすてっぷ」というプロジェクトとしてクラウドファンディングに「一般社団法人 輝き製作所」の所長の小西理恵さんをスーパーバイザーに、ご一緒させていただき挑戦しています。


僕らは「障がい者の性」が問題なのではなく、むしろ障がいがある方が性に向き合うことをトラブルやリスクとして捉えて、それをタブーとして「なかったことのように」し続けてきたことによって生まれた不理解や偏見、支援手法の確立の遅れや相談することも憚られてしまう風土など、むしろ当事者を取り巻く環境の方が解決すべき問題なのではないか、と考えています。


その表れが、「障がいがある人にも性欲ってあったんだ」という言葉なのかもしれません。



障がいがある方の性についての支援の確立やインフラの整備など、しなければいけなさそうなことは山ほどあるんですが、まず僕ら支援者がしなければならないことはなんなのか、ということを考えたとき、
それはまず「障がいがあったって、同じ人として性への関心は芽生えるしあるんだよ」という当たり前のことを知ってもらうこと。
そして今まで声を上げることができず、「見えない」ものになっている今の「リアル」を知ること。
その上で困ったらいつでも相談することができる環境を生み出すこと。

それが最初の一歩なんじゃないかという結論に至りました。



最初にも言いましたが、きっとまだこれは「見えていない」社会課題です。ほとんどの方にはピンとこない話かもしれません。
ちょっとセンシティブな話題なので、肯定的には受け止められづらいテーマかも知れません。
そしてソーシャルアクションとしてはちょっと派手さには欠けます。


だけど、今まで「なかったこと」のようにされてきたこのテーマを「見えるもの」にしていくことが今一番クリティカルにやらなければならないことだと僕らは信じて挑戦しています。


「障がいがあったってそりゃ性欲くらいあるよね」が当たり前になることだけでも大きな前進なんです。


これは僕が自分で掲げている、「福祉の枠組みを外す」ことでもあり「選択肢を増やす」ことでもあると考えています。


もしよかったら是非応援ください。

※クラウドファンディングページを是非ご覧下さい。



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