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どうすることもできない不条理

何のために戦い続けているのか?何のために傷つけ合うのか?火薬の匂いが漂う真っ暗な闇の中で、二人は出会った。かつては同じ国で生まれ育った、古い友人同士だった。

誰のために掘り続けているのか?誰のために生き埋めにならなければならないのか?ガスが漂う穴の中で、明かりは命取りになる。爆発の勢いで飛ばされ横たわる仲間は、一軒先にあるとなり長屋の若者だった。

いつも生死と隣り合わせにある最前線の男たちの物語が二つ、頭に浮かびました。一つ目は戦場の最前線、二つ目は炭鉱の掘削場の最前線。

どうすることもできない不条理に、時として出くわしてしまうこともあります。その時に自分ならどうするだろうか?そんなことを思っていた時に、「ヴェロア」という名前が浮かんできました。男性とも女性とも言い難い名前です。ベルベット(ビロード)のような表面に細かい毛が生えている布生地にも「ヴェロア」という同じ名称があります。
 
戦争に敗れた日本国民は、進駐したアメリカ兵隊を初めて見て圧倒されます。体力的に到底敵わないことを目の当たりにしたのです。食べているものが違うのか?日々の暮らし方や、考え方そのものが違うのか?一体どうすれば、大きな肉体が手に入るのか?

子どもたちは無邪気です。真っ先に群がったのは、銀紙に包まれた板状の食べ物、甘い魔法のお菓子「チョコレート」でした。日本中の子供たちがが魅了されました。その子供たちは、今80歳を超えています。

戦後、日本が歩んできた道は、持ち前の勤勉さと器用さで、世界が驚くほど急発展してきました。経済成長が全国民の生活を中流家庭まで押し上げたのです。インフラが整備され、郊外の団地に住居を構え、冷蔵庫、洗濯機、マイカーを手に入れた日本人。しかし、大家族から核家族へと移行する中で、わたしたちが失ってしまったものがあります。それは、人生の先輩である父母や祖父母から学ぶ、人としての『経験値』です。私たちは一生のうち、経験できることには限界があります。大家族の中で育ってきた子どもたちは、自分の経験以上のものを、まわりから学び取ることができたのです。戦勝国のアメリカが日本に対して最も恐れたことは、大家族が一致団結して、また立ち向かってくるのではないかという『人日本人の精神力』です。

今、日本には「無関心」という目に見えない大きな力が動いている気がしてなりません。選挙権を満18歳以上、成人年齢も18歳に引き下げられました。未成熟な大人が多い中、さらに拍車をかけることになるのではないかと懸念されます。まさに家族から学び取る機会を失っています。

過剰な軍備、騙され続けたエネルギー政策、ガソリン税に上乗せする消費税。大企業に優遇措置を施し、企業が潤えば給料が上がるなどという、絵空事はもう通用しません。給料は上げなくても良いから、最低限の生活を国民に保証してほしいです。これまで私たちを豊かにしてき、資本主義と民主主義が、本来の機能を失っています。誤った国の考え方に振り回されるのは、いつの時代も一般市民の私たちです。

これは、「どうすることもできない不条理」のか?


Velours(ヴェロア)

作詞・作曲・編曲:サトシコガ
演奏:WISH SIDE
Vocal / Guitar / Satoshi Koga
Guitar / Yoshiya Nagazima
Chorus / Yukari Sato

ヴェロア 茜色の空
急に抱きしめたくて
ヴェロア 震えた唇
高まる吐息で激しくふさぐ
ヴェロア 鼓動の乱れも
二人のリズムに変わる

ヴェロア 不意に奪われた
視界に星が輝く
ヴェロア 汗ばむ背中に
爪を立てながら哀しく笑う
ヴェロア 鼓膜の中で
囁く何かが落ちた


繰り返すあやまち
世界に愛はある? NO!wo wo
静かに夜が明け
二人は傷つけ合う  


ヴェロア 瞳の色さえ
今は同じに見える
ヴェロア 遠くで鳴り響く
夜空に散らばる仲間の合図
ヴェロア このままここで
君を確かめたくて


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