空の都の神々は N・K・ジェミシン ハヤカワ文庫
三柱とされる神が戦い、ひとつの柱の神が殺され、ひとつの柱の神が勝ち、ひとつの柱の神が封印され奴隷となった世界。その世界を統べる一族の長に呼び出され、その後継者候補の一人となった少女がいた。彼女は長の孫娘。母親殺害の復讐をするためとの想いを秘めて、神の都を訪れる・・・
600ページ近い大作だが、スカイと呼ばれる宮殿内で物語りは進む。そのため、風景描写はなく、人間関係とどろどろとした確執の語りで物語は進行する。魅力的な設定と、主人公の母親の殺害犯人探し、神々の復活をかけた戦略が最後の長の継承イベントに向け収束していく。物語は主人公の一人称で進むが、どきどき視点のズレがある。それは、綺麗でかつさりげなく纏め上げるための伏線の役目もあることが読み終えるとわかる。
神を使役できる奴隷として、武器として使用するという発想が見事といえる。その世界観をベースに世界構築されたストーリーは堪能するに値する。
単純な従来ファンタジーではない異色の作品。ファンタジー好きなら押さえておいて損はないと思う。
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この話は、三部作であり、米国ではすでに刊行済。ただ「早川あるある」で、最終巻は未訳・・・ はやくAmazonでの翻訳システムが立ち上がらないかと思う日々。まあ、10年以内にはどうにかなるだろうと思ったりする。