今個人的に話題のアノ人。

投票3日目の今日は、何を話そうかと考えたのですが。

今日一日共に行動した彼について書こうかと閃きました。

まぁご存知の方は多くないだろうが、「マネージャーあちこ」という人物について、語らせてください。
彼への記憶に嘘半分、本気半分を交えながら書きます(笑)
いち読者からみれば何故彼を書くのかとツッコミがありそうですが、わたしの意思で残しておきたいと思うので。

実際、彼とは長い付き合いになりそうだと勝手に思っています。彼がどう思っているか定かではないですが。

彼との最初の出会いは、事務所所属後のメーカー面接でした。
彼はスーツに身を包んで、合間でスマホを片手に何やら、せわしそうな様子で。
意外にも身長は190cmいや181cmあるので当たり前だが163cmの私は彼を見上げる形になりますね。あ、190cmとわざわざ書いたのは彼調べだと彼の身長は190cmだということです。181cmなのを認めたくない意図は全然汲み取れないですが(笑)

初対面での彼の第一印象は、申し訳ない気持ちではあるが正直に言いますが、全くもって最悪でした。
スーパーに並んでる商品で例えれば、鮮魚コーナーに置かれた、鮮度の落ちてまなこが赤く滲んだ魚のようでした。
正気をまるで感じられない、生きた心地のしない目で私の目と会話するから余計に、です。
きっとこの人の中で、人生詰んだ、とでも結論づけてそうな、そんな雰囲気を醸し出して。
彼が私に対してなにかとポジティブな発言するたびに、そんな目と目の表情が相まって嘘臭さが鳥肌たたせてました。

ですが、この頃から思っていたことが実はもう一つあるのでそれはまた後程話すことにして。

デビューを夢見た私は、メーカー面接しに来たわけですが、顔には厚化粧していても、見え隠れする緊張はどうも心の鞄に上手くしまいこめないものです。
全世界に自分を曝け出すことがいかに勇気のいることだろう。
当時の私はそんなことを考える余裕なんてあるわけがないので、心臓の鼓動が速くなっていることに気づいても見て見ぬ振りしていました。
緊張してる?と問いかけられても、開き直るつもりで臨んでいました。
そんな私の小刻みに揺れ動く緊張を察知したのか、相変わらず目は死んでいましたが、それとは裏腹に「大丈夫、自信持ってください」と語るその彼の目にはどこか安堵していたのかもしれません。

メーカー面接をして、とてもとてもありがたいことにその日にデビューが決まりました。
いよいよでした。一歩を踏み出す準備までは、時間までは、そう長くかからなかったのです。

メーカー面接から少し日を跨いで、デビュー作の撮影当日。
彼の運転する車でスタジオまで届けてもらいました。
私自身、運転したことがないし、父の運転ですらよく車酔いで悩まされていたので、人一倍、人の運転には敏感なのですが、彼の運転はそんな悩みすら頭をよぎることもなかったです。

スタジオに着いてから、初対面な人が行き交うのを見て、さらに高ぶる緊張で、呼吸することが精一杯でした。
ですが、不思議なもので、人は食べ物を前にしたら本能のまま、意のまま、ですね。
現場ではいわゆる「つなぎ」と呼ばれる差し入れがあり、あまりにも多くの食べ物たちが並べられていて、小腹が空いたら好きな時に食べられる、なんともまぁ安易にデブへの一歩を踏み出せる素敵なシステムがありまして。

そこに並べられたおにぎり達を見ていたら、すかさず私の横から指さしながら、
「ここにあるおにぎりは全部手作りなんですよ〜」
と彼があまりにも真面目な表情とトーンで言うから
「え、すごい!本当ですか?」と真面目に言ったら、「そんなわけないでしょ、ここ(頭)大丈夫?」と、どうせ死んだ魚のような目をしてるくせに、私を小馬鹿にして頭にくるほど大笑いするもんだから、我を忘れてムキになってしまいました(笑)

今思えば、この言葉のキャッチボールが、どうしようもない緊張に対して、意外と特効薬だったりするものです。

後々聞くと、めるちゃんが緊張しているのは言わずもがな伝わってきたので、僕なりの配慮であんな嘘をついたんです、と。

つい先日も彼とこの話を語らったばかりで。

彼らしい配慮だったのだと思います。
あまりに喜ばしいことを言うと、彼が図に乗りそうなのでここまでにしようか、という冗談はさておき、続けましょう。

長い一日の撮影を終え、彼が車でまたスタジオまで迎えに来ると、何十年来の友と再会したかのような興奮ぶりで、車に飛び乗り、その日あった撮影について、熱く語りました。
興奮を抑えようにも、無理なのです。
撮影前までの抑えられない緊張は、いつしか興奮に打って変わって、私の身体が覚えてしまいました。
「このお仕事の楽しさを見出せた気がする」
そう言った私を横目に運転する彼の表情は、目を細めたが故にできた笑い皺が嬉しそうにも誇らしそうにも見えました。

ようやく彼について、確信しました。
人は見た目によらない、というのはまさにこのことか、と。

実は最悪な第一印象のその裏側で、彼の、ある物事一つ一つに対する熱量ある話し方には、どうも私は無意識に惹かれていたらしく。
何度も言いますが、いつ見ても彼の目は死んでるが、抱く熱量だけは誤魔化せませんでした。
そんな彼とはお仕事に対する熱量が、天秤で釣り合う関係性なのかもしれない、と。

私は彼と向き合いながらお仕事をすることを決めました。
彼の中で貫き通すお仕事に対しての信念も、私の中で燃え上がるお仕事に対しての野望も、全て抱いて、彼を絶対に眺めのいいあの場所まで連れて行くと決めたのです。

だから、長々と綴ったこのストーリーを終わりにしたいのはやまやまだが、まだ終われません。

二人で、同じ場所で同じ景色を、レンズ越しではなく肉眼で見るまでは。

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