索道メンテナンスの仕事とは【2】リフトのワイヤーの繋ぎ方
スキー場のリフト・ゴンドラが一方向に回転していて切れ目なく動いているのを見て不思議に思った経験のある方に向けて書いてます。
最初から輪になっているワイヤーがあるのか?
1本だとしたらどうやって繋ぐ?
そういう部分に疑問を持つ方とは気が合いそうです。
文章が長くて読むのが面倒なら画像だけでも見てって下さい。
あくまで私の主観で書いてますので、名称や呼び名などが正式なものとは違う場合などもあるかも知れませんがご容赦ください。
工事の詳細を公表する事に抵抗があるのも事実ですが、広く知っていただく意味も考慮して公開してますので何卒よろしくお願いいたします。
営業中のスキー場から連絡があり
「ワイヤー伸びちゃって3月末までもたない、切り詰め工事宜しく」と電話を貰いまして雪上で工事を実施しました。
その時の画像をお見せしながら索道について理解を深めていただきつつ、乗車する際についつい上を見てしまうスキーヤー、スノーボーダーを育成したいと思います。
乗車の際にはご注意下さいね。
まず「ワイヤー伸びちゃってもたない」について解説します。何がいけないかと言いますとリフトにはワイヤーの張力を維持する為の仕組みがあります。
多くの場合は油圧緊張シリンダーによって常に一定の張力を維持しています。
ペアリフトですとそのシリンダーが3.6m、クワッドリフトで5mほどの長さです。
そのストローク範囲内でモーターなどが収められている原動室と原動滑車を後ろに引いたり前に出したりして乗客が多少に関わらず一定の張力(テンション)をかけ続けています。
下の画像でいうと青い箱(原動室)と原動滑車を銀色のシリンダーが引く構造になっています。
この画像ではオフシーズンなので油圧を抜いて一番前に原動室を出してワイヤーを緩めています。
「伸びちゃってもたなくなる」とは下の画像のように引き代が無くなる事を言います。
こうなるとワイヤーの張力を調整できなくなり危険なので運転できません。
対処として必要になるのが「切って詰める作業」でこれを「切り詰め(工事)」と呼んでます。
さて駆け足で説明していきます。
切り詰めと簡単に言いますが、総延長1900mのワイヤーを切るのは重作業です。
まずは作業しやすい場所へワイヤーを降ろします。
ワイヤーを降ろしたら長い分を切って再度編み込む為の余裕を作らなくてはいけません。
クランプという器具をワイヤーに噛ませ滑車を接続しこの滑車同士を近づける事でたわませて余裕を作ります。
先にネタバレしますがワイヤーは「ロングスプライス」という手法を使用し先端同士を互いに編む事で1本の輪にしてます。
この編み込みに関しては荷重によってほどけないように計算式によりお互いの編み込みの長さを厳格に決めています。
作業の始めはもともと編み込まれている場所を探す所から始まります。
リフトのワイヤーをじっくり見ていると少しだけ膨らんでいる箇所があったり、ペンキなどでマーキングしてある部分が見つかりますが、そこがスプライス位置になります。
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