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Zoteroの欠点、あとすこしなところ ~完璧ではないけれど、惜しいポイント~


はじめに
Zoteroは無料で使える文献管理ツールとして多くの研究者や学生に愛用されています。その直感的な操作性や拡張性、そして文献管理や引用作業の効率化が評価されている一方で、「あと少しこうだったら…」と感じる欠点や課題もいくつかあります。この記事では、Zoteroの弱点や不便な点をピックアップし、その対処法や代替案についても解説します。



1. クラウドストレージ容量の制限

Zoteroの基本プランではストレージが無料だが少ない
Zoteroのクラウド同期機能は便利ですが、無料プランでは保存容量がわずか300MBまでしか利用できません。文献情報だけでなく、PDFを含む大量のファイルを保存していると、すぐに容量を超えてしまいます。

有料プランのコスト
ストレージ容量を増やすには、有料プランを契約する必要があります。例えば、2GBプランは年間$20、6GBプランは$60、無制限プランは$120と、それなりのコストがかかります。

解決策

  • ZotFileプラグインを活用
    ZotFileを使えば、PDFファイルをDropboxやGoogle Driveといった外部ストレージに保存しつつ、Zoteroの文献情報とリンクさせることができます。これにより、Zoteroのクラウド容量を気にせずに運用できます。

  • PDFを必要最低限にする
    本当に必要な文献だけPDFを保存し、他はリンクのみを管理することで、容量節約が可能です。


2. インターフェイスが少し古い

Zoteroの見た目はシンプルだが、やや時代遅れ感がある
Zoteroのデスクトップアプリは機能的で軽量ですが、デザインがやや古風で、特に初めて触れるユーザーにとっては取っつきにくい部分があります。

具体的な課題

  • フォルダやタグの管理が階層的でないため、大量の文献を扱うと視認性が悪くなる。

  • カラーカスタマイズやダークモードの対応が限られている(現状、ダークモードはZotero 7以降で対応)。

解決策

  • カスタムビューを活用
    Zoteroでは、カラム(著者、年、タイトルなど)の並べ替えやフィルタ機能を活用することで、視認性を改善できます。

  • サードパーティツールの利用
    文献管理をビジュアルで整理したい場合、Zoteroと連携可能な「Obsidian」や「Notion」などを併用すると、よりモダンなデザインで管理できます。


3. WordやGoogle Docsとの連携が時々不安定

プラグインのバグや遅延が発生する場合がある
ZoteroはWordやGoogle Docsとの連携が魅力の一つですが、プラグインが不安定になることもあります。特に、長文の文書や多くの文献を扱っていると、動作が遅くなったり、プラグインが突然機能しなくなることがあります。

具体的な課題

  • WordでZoteroタブが表示されなくなることがある。

  • 引用スタイルの切り替え時に文書全体が固まることがある。

解決策

  • 定期的なプラグインの更新
    Zoteroのプラグインは、頻繁にアップデートされるため、最新バージョンを保つことで不具合を軽減できます。

  • ドキュメント分割
    長文の場合、文書を章ごとに分割して作業し、最後に統合する方法が推奨されます。

  • トラブル時の再接続
    プラグインが動作しない場合、一度WordやGoogle Docsを再起動し、それでも解決しない場合はZoteroの再インストールを試してみてください。


4. 本気で論文投稿を目指すときの引用スタイルの調整が大変

ジャーナルごとの細かいフォーマットに対応するのが手間
Zoteroは数千種類の引用スタイルに対応していますが、投稿するジャーナルの細かいスタイル規定に合わせるためには、追加の作業が必要になることがあります。特に、カスタムスタイルの編集が必要な場合は、スタイルシート(.cslファイル)を直接編集する必要があり、ハードルが高いと感じるユーザーもいます。

具体的な課題

  • 学術ジャーナルの特殊なフォーマットに完全一致させるのが難しい。

  • 投稿先を変えるたびにスタイル変更が必要で、修正作業が増える。

解決策

  • Zotero Style Repositoryを活用
    Zotero公式サイトのスタイルリポジトリでは、多くのカスタムスタイルが公開されています。ジャーナル名で検索すると、対応するスタイルが見つかる場合があります。

  • Visual CSL Editorを使用
    Zoteroの提供する「Visual CSL Editor」は、ブラウザ上でスタイルを視覚的に編集できるツールです。これを活用することで、プログラミングの知識がなくてもある程度のカスタマイズが可能です。


5. モバイルアプリがまだまだ発展途上

Zoteroの公式モバイルアプリは登場したばかり
2022年にリリースされた公式モバイルアプリは便利ですが、まだ機能が限定的で、デスクトップ版と同じレベルの作業ができない点が課題です。

具体的な課題

  • PDF注釈機能や文献管理機能がデスクトップ版より制限されている。

  • 他のアプリ(Google DocsやWord)との連携がモバイル版では難しい。

解決策

  • モバイル版は閲覧専用と割り切る
    移動中や外出先では文献を確認する程度に留め、本格的な管理や編集はデスクトップ版で行うのが現実的です。

  • サードパーティアプリを活用
    文献管理をモバイルで完結させたい場合、「Papers」や「ReadCube」など、Zoteroと連携可能な代替アプリを併用するのも一つの方法です。


まとめ:Zoteroの欠点を理解し、より効率的に使おう

Zoteroは文献管理ツールとして非常に優れていますが、ストレージ制限やインターフェイス、引用スタイルの調整といった課題もあります。本気で論文投稿を目指す場合は、スタイル規定への対応に時間がかかることもあるため、事前に準備や対策を講じる必要があります。

Zoteroの「あと一歩」なところを理解しつつ、対策を講じれば、その便利さを最大限に活用できます。欠点も含めてうまく付き合い、研究や執筆の効率化を目指しましょう!

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