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好きな場所、好きな音楽、好きなもの。

中秋の名月の少し前、
急に思い立って出掛けることにした。
今回は逃亡ではない。
気持ち的に。
前から行ってみたいところがあって
ずっと思い描いてきた。
今日ならそこに行ってもいい
気がした。
そしてずっと頭の中に流れていた
グレープフルーツという曲に
随分と引っ張られる感じで
そこへ向かった気もする。

フィルムカメラの中に25枚くらい
まだ残っていたから
一緒に小さな旅に出た。

今回どうしてもバスに乗りたかった。
旭川でバスに乗った時の
あの優しい感じをもう一回
味わいたかったのと
バスの窓から見る景色と
音楽を重ねたかった。

頭の中でこういうことをしたくなる
人は誰もいないのかもしれない
例えると
その曲のMVを頭の中で
作っているようなイメージ
だから見ている、見えている世界と
手触りが近い曲が聞きたくなる
全然うまく言えてないな。


季節はもう明らかに秋で
切なくて優しい秋で
それを曲と一緒に重ねて
感じたかった。



地下鉄で真駒内駅(まこまない)へ。

運良く誰もいなかった

地下鉄だけどここは地上を走る。
南平岸駅から地上に出て3駅
真駒内で終点。
そこで降りる。

1番、2番ホームと書いてある
看板だけが
なんだか古い


改札を出る
午前の外の光が柔らかい
床や壁、自動ドアの感じが、
ちょっとだけ古くて
なんか小学生の頃を思い出した
小学生だけで地下鉄に乗って
各場所に置いてあるスタンプを
集めてまわる土曜日のイベント
サタデーデーリング
なるものがあってそれが結構
楽しかったなぁとか思い出してみたり。

すごく清潔できれいだけど
何かが古い
色なのか素材なのかわからないけど
その少しだけ古い、が
安心できた
札幌の地下鉄は東豊線以外みんな
そうかもしれない。

真駒内駅周辺は緑が豊かなので
動物たちが多いみたい
シマエナガいるのか…


地下鉄沿線の1番端の駅。
山が近くて緑が多い
昔は札幌市内の
豊平から定山渓まで
定山渓鉄道が走っていた。
定山渓(じょうざんけい)は
もっとこの先の
山の間にある温泉地で
世界中から観光客が集まる場所。
この真駒内からも路線バスでも
行けるからいつかバスで行くのも
いいな。
その後昭和の頃、札幌オリンピックが開かれた地でもあって
選手村もあった。
その頃からの街なので
昭和の雰囲気が結構残っている。
今までも何回か来たことはあるし
見ているけど
その時は今ほど色んなものを
見ようとはしてないから
気が付かなかった。
すごく好きだな、ここ。

奥の4番のりばから乗る
乗車時間は7分
ほんと?
結構駅から距離があるけど…

バスに乗って写真を撮るのは違うのでは?と思いつつ
あのiPhoneの“live"っていう撮り方で
カシャっとならないやつで
ひっそり撮らせて頂いた

7分間なのですぐ着いちゃうの
惜しいなぁ
同じ札幌市内だけど
空気感全然違うのは
ここが山に近いエリアで
このずっと先には定山渓や中山峠が
あるから勝手にわくわくしちゃうのかもしれない

バスを降りたらお寺があった

夜この場所の空に月があって
お月見したらうさぎとか
飛び出してきてもおかしくないな
とかなんとかこんとか



目的地は目の前だったけど
帰りのバス時間を念の為見に行く

バス停は味わい深くて好きだな

隣の赤い屋根はその昔、
定山渓鉄道が走っていた頃の
石切山という駅。
うん、いいね。


国道を挟んで向かいが目的地。

前にも一度、
札幌軟石のアロマストーンを
買いに来たことがある
札幌軟石の雑貨が販売されている
「軟石や」さん。

その上、二階が「ニシクルカフェ」
というカフェになっていて
今回はそのカフェで
過ごしてみたくてやってきた。
目的地とはそこのこと。
そのニシクルカフェさんは
初めて。


札幌軟石。
札幌軟石が好き。

私も含めほとんどの人が詳細を
知らないと思うので読んでいく。

約4万年前、支笏(しこつ)火山の火砕流が冷えて固まった溶結凝灰岩が、札幌軟石です。
明治時代、開拓初期の建物は木造で断熱性が低く、寒さをしのぐために家の中で火を焚くことも多かった北海道では火災が深刻な問題でした。そこで耐火性の強い建材として札幌軟石に着目します。商家の蔵、店舗、公共建築、教会、倉庫など軟石建物が次々に建てられました。空隙率が高く保温性も優れていたので、野菜や果物の保管、酒・味噌・醤油の醸造庫としても最適でした。タマネギ倉庫、リンゴ倉庫、厚別区のサイロなど地域の特性を反映して多彩な使われ方をしました。

ようこそSAPPOROより

この前の記事にも出した
札幌軟石のサイロの一つがこれ

ここは豊平区
八紘学園。大好きな場所。
小さいけど2つサイロが見えます


大正7年(1918年)には豊平と定山渓を結ぶ定山渓鉄道が開業し、石山地区には石切山駅もできました。今、駅舎は石山振興会館となり、ぽすとかん(旧石山郵便局)とともに地域の拠点になっています。ぽすとかんのインテリアには札幌軟石のアートがあしらわれています。

同サイトから引用
さっきの赤い屋根の石切山駅のことですね
そして今回はそのぽすとかんに入っている
ニシクルカフェさんへ


ぽすとかん
一階が軟石やさん
二階がニシクルカフェさん


街に深い情感を添え、かけがえのない景観を形づくってきた札幌軟石。鉄筋コンクリートの時代になって軟石建物は減っていますが、平成27年(2015年)の調査では市内に約300棟以上が残っており、飲食店やギャラリーとしても活用されています。

今なお切り出しが行われ、カワイイ雑貨やインテリアへの用途も広がる札幌軟石は、地産地消の資源として進化を続けています。

同サイトから引用

時々、普通の住宅の敷地内に
とは言っても多分大地主さんとか
だと思うけれど
札幌軟石の蔵を見かけたりする。
わぁぁぁってなる。

軟石を切り出している会社がこちら。
こちらの会社だけなんですね。
軟石やさんで販売されているものは全てこちらで切り出されたものを
一つ一つ手作りされています。


この石山地区には、採掘跡がアート空間として整備された石山緑地や、藻南公園の札幌軟石ひろばとして野外展示された最古の採掘跡も見ることができます。

同サイトから引用
お店のすぐ近くに石山緑地がある


吸水性の良い札幌軟石で作った
アロマストーンは
もうめちゃくちゃにかわいい
ここ以外だと
観光地のお土産コーナーで奇跡的にひっそり置いてあることもあるので
もし見つけた時は即買いでいいと
思う。
自分用にも誰か用にもおすすめ。

今年の5月の写真
「かおるいえ」シリーズ。
左が軟石やさんで購入
右は一昨年、岩見沢の"そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター"
で出会って
そこからこの軟石やさんが
あることを知った


右のかおるいえ
屋根の色が何種類かあってそれは
札幌景観色を塗装している。
「かおるいえ札幌景観色レンガ」
という商品なのだそう。
これがかわいいかわいい。
他にもたくさんかわいいものがある。

前にここを訪れた時に
この軟石やの代表でいらっしゃる
小原恵さんと
お店で少しお話しさせて頂いた。
とてもとても優しく素敵な方で
こういう素敵なものを作る人は
心も優しいのだなぁ…と
嬉しく思ったその帰り際

「あっちょっと待ってください、もし良かったら、こちらも持っていきませんか?」と呼び止められたので
振り向くと、
この石山地区周辺や
南区のおすすめスポットなどなど
たくさん載った冊子をくれた。
色々説明も…

…私がこのエリアが好きだってこと
どうしてわかったんだろう…
キュン

そういうのに弱い私。
すぐ好きになっちゃう。

そんな思い出もありつつ。。


話を戻すと
そのアロマストーンの屋根の色が
札幌景観色だという話。

札幌景観色とは
札幌市が「色彩景観ガイドライン」として選定した70色のこと。
札幌市の気候風土や歴史文化を色名にしたもので、札幌の街並み整備のために策定された色。
風土イメージを想像できる札幌らしい
色のことだそう。
札幌の地名などを名前にしていたりしてとても素敵。

びっくり。
札幌の大きな建築物はこの景観色で
馴染むように考えられているとは。

きっとこの札幌の景観色なるものを
知っている人は相当変わった人
かもしれない。
自分を含め。笑

ちなみに、さっきの赤い屋根の
色の名前は
"ペチカ"

実際には見たことがない人が大勢いると思う。古いロシア民謡に歌われているが最近の家に造る人は少ない。北国特有の煉瓦を積み上げ、煙からの輻射熱で暖を取る器具である。ここでは全くのイメージとして捉え、暖かみのある質感と豊かさを感じさせる濃い赤茶色「えんじ」を示している。

札幌の景観色SAPPORO COLORより

どの色にするか悩みに悩んで
なんかピンときてペチカ色の子を
私は選んだ。
他にも種類がたくさん。
かわいいかわいい。

北海道マガジンKAIカイ 
 よりお借りしました


私にしては珍しく説明が多い。笑
そして貼り付けまくっているなぁ


さてさて。
そろそろ。
いよいよ。


ここだよ。
説明長くて忘れちゃったよね。


お店に入る。
ちょっとドキドキ。
雰囲気たっぷりの静かな
場所なので。

カフェはやっていますか??
と聞くと
はいどうぞ、階段上がって左から行けます。
と案内されたので
正面の木造の懐かしくて
品のある階段を上がります。

階段の途中に飾られている
インテリアとしても素晴らしい
この色と質感が好き
天然のグレージュ
そんな感じかな


私1人だけ。
ラッキー。
写真をぱしゃぱしゃするのは
あんまり良くないよなぁとは
思いつつ
いっぱい撮ってしまった…

二階はコの字型になっている

お好きな席へどうぞと言われ
うーん

やっぱり窓側に。

木の板の背表紙
彫られた"MENU"のぬくもり感よ


さっきの石切山駅


何を撮っても絵になる。
素晴らしい。

メニューを開く。
ここの人気は
雑穀米のバターチキンカレー
だそうなので
お昼ご飯としてそれを注文。
食後にホットコーヒーも。

まだ誰もいないからこういうことできちゃう


カレー様、到着。

いただきまーす!

おいしいです。
あんまり細かくいうとなんか
うさんくさくなるのが
いやなので簡単に言うと
チキンがほろほろ
独特なスパイスの味が
めちゃくちゃおいしい。笑

芸術的ミニトマトの薄切り


カレー様、ごちそうさま。
おいしかったです。
テーブルの上に置かれた
よく響く重たいベルを鳴らして
食後のコーヒーをお願いした。
コーヒーが来るまで少し離席。


本棚があった。
置かれたその本と目が合った。


ああ、これに今日は呼ばれたかな。
「石の辞典」
テーブルにお持ちする。

そしてコーヒー様も、到着。


コーヒー
おいしいです。
コーヒーには厳しい私。
(恵庭のキャロットさんという
コーヒーやさんの通販を頼んだ時に
コーヒーの色々マニュアル本みたいな
すんごいやつが一緒に届き勉強した)

おいしい判定。
何様か。笑

いたね、
ラブラドライト。
忘れられない石。



木の床
歩くたびに足音が響く
あの音が好き。
丁寧に歩かなくちゃ。

窓から見える木々も少し黄色に
なりつつあって
秋だな
何度も言ってるけど
やっぱりそうなんだなぁと思う。
いつのまにか日陰はひんやりして
夜も寒くなって
気持ちもすっかり静かになった。
どこか切ない。
心地よくあったかい。
その気持ちの後ろに
グレープフルーツが頭の中で
繰り返してる。


グレープフルーツが
(ベストアルバムで)
発売された当時
結婚を機に3月いっぱいで
仕事を辞めるつもりでいますと
近しい上司だけに伝えていた。

7年働いた。
辞めるまで残り4ヶ月程
釧路へ出張した、3泊4日。

帰りのJR。
田舎道なのか
海なのかわからないほど
真っ暗な窓の外。
時々何かの光や踏切の音が
通り過ぎていくだけの
ただの暗闇をぼーっと眺めながら
窓側の席で1人
グレープフルーツをずっとずっと
繰り返し
札幌に着くまで聞いて帰った。

イントロの三井さんのギターの音が
なんとなく踏切の音みたいに
聞こえてた。
外が暗すぎて車窓には
自分が映ってるのが気になりつつも
物思いに耽っていた
もうこの仕事で出張に行くことは
人生で二度とない。
楽しかったな、とか。


グレープフルーツを聞くと今でも
夜の静かな列車に乗っていた
その時間を思い出す。
そういう意味でも
大切な曲。

いつ聞いても、何度聞いても、
いくつになっても、刺さる。
好き。


おやおや。
話しすぎちゃったな…
いつも長くなっちゃうんだよな。

フィルムカメラでもたくさん撮った。
それはまた別でまとめるとして

さて、そろそろお時間。
お店を出なくては。
品のある古き良き空間。
ずーーーーっと
居られる。
もっと居たかったな。


バスの時間が近いけど
一階の軟石やさんの方も
少し覗きたい。


ずっとほしいなぁと
思っていた
札幌軟石を使ったイヤリング。

私はピアスの穴は開いていない。

ピアスに比べるとイヤリングは
とてもとても少ない。
その少ない中で、これ!というものに
出会えたらいいけれど
意外と難しかったり

そしてこのイヤリングは
決して安くはない。
気軽にさくっとは買えず
前に来た時は悩んで買えなかった。
でもずっと心に残っていたから

悩んだけど
買うことにした。
2回目出会えたなら、いいよねって
ことで。
シンプルなデザイン。
少しだけ、ほこりが被っていた。
回転は悪いだろうな…
知らない人が多いだろうし
イヤリングだとなおさら。
大丈夫、気にしないよ。
とても素敵だってことわかってる。
だから私が
あなたを連れて帰りますよ。


お店の方はみなさんとても
優しい方で、安心。
ここで冷たくされると
何もかも悲しくなるから。
ありがとうございました。
とっても良い時間を過ごせました。
またきます。



帰りのバス停。
すぐにバスは来た。
お散歩したかったなぁなど色々。
近いうちにまたこようかな。


終点、真駒内駅前。

秋の空だな………

結構な紅葉、はやいなぁ
落ち葉もいっぱい
陰も長くなってるし


フィルム写真があと数枚
残っていたから時間が許される
限りで
駅前を少しだけ歩きながら撮る

きれいだった
好きな雰囲気
きっと陽の光が良かったのかな

また地下鉄に乗って
まっすぐ自宅へ
とっても良いおでかけだった
ただもう少しだけ
時間がほしいなぁとは思うけど



買ったイヤリングの軟石の部分には
アロマオイルをつけることができる。
お気に入りの
富良野のファーム富田さんで
製造販売されている
ラベンダーのアロマオイル
「おかむらさき」をつけてみた。

ふいに香る。
自分しかわからない微かな香り。


このラベンダーの香りを知ってから
もうこれしか使えなくなった
ラベンダーの花の香りというよりも
ファーム富田のラベンダー畑の
香りがする
その場所を訪れた時に感じる
土、草、葉、緑、
そしてラベンダーの花、微かな青味
その全部が風に混じっている
大地の香りみたいな




このイヤリング
好きすぎて
大切すぎて
落としたくないから
身につけ辛い
なんなら一回横断歩道上で落ちた
たまたま気がついて拾えたから
よかったけど
それ以来怖くてつけられない
好きなのに
つけたいのに

明日、つけようかな。
時々耳を触ってちゃんといるか
確認しながら。

でも落としたらやだなぁとか
ショックだなぁとか
ぐるぐるしたまま
とりあえず今
アクセサリーケースにひっそり
入っている。
大丈夫
ちゃんとつけるよ。


おしまい。

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