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帯広へ。①
2024年10月20日(日)のこと。
前日からずっと雨が降り続いていて、夜寝かしつける時間帯からは急にあられになった。初雪。パチパチ強い音と嵐みたいな風で。明日晴れるってどの天気予報でも言ってたのに…大丈夫かなこれ。。
明日の心配。明日の楽しみ。明日旅に出るから。一人で。朝から。夜まで。列車で。どこに?帯広に。何しに?それはずっと行きたいと思っていたところへ。
数日前に、思い切って、結構な勇気を出して相談してみた。夫に。
多分いや、それは無理じゃない?とかまた今度時間がある時にみんなで行こうよって、やんわり言われるかなあと思ってはいたけど、言ってみた、交渉してみた。
『今週の日曜日に、一人で帯広に行きたいなと思っているんだけど・・・
朝から夜までかかっちゃうんだけどね・・』
『いいけど、なんで?』
・・・・ここで何て交渉するかが全てな気がして、緊張した。送った返事は、もうストレートに素直に伝えた。そしてそれは、今の時期、この日にちではないといけなくて、今じゃないと意味がないからなんだと、みんなとではなく、どうしても一人で行きたいんだと。
冷たいなって、俺たちは余計なのかと、そう思われても仕方がない。
もちろん、そんなことは全くなくて。
列車に一人で乗りたい…
これに対して3回くらい、みんなで行こうよとか帯広であれ食べたいなーとか、やんわり、また今度にしたら?的なことが返ってきた。
でもその度素直に言った。冷たくないように。
一人で行きたいんです…
それは向かうその場所への気持ちと、帰りに持ち帰ってきた自分の気持ちはきっと、黙っていたい。ずっと言葉として発せずに噛み締めていたい。そういう感情になるだろうから。一人で目一杯いろんな感情を、見てきたものを心の中にじっくりゆっくり静かに収めておきたいと、その場所で、自分の頭の中に流れてくる溢れてくる言葉を聞き逃したくないから。
そういうのは短く言うと、
"浸りたい"
ってこと。です。ただそれだけなのです。ごめんなさい。。
楓にはうまく伝えます。僕も行きたーいって悲しまないように、行かないでーとかメソメソしないように。そのかわり、とびっきり元気で優しくなって帰ってくることをお約束しますので。
微妙な空気感を感じつつも、でも最終的にはOKしてくれた。夫への交渉はうまく行った。ありがとう。ごめん。本当に。ありがとう。そしてすぐに列車のチケットを予約した。
そこから数日後
出発前夜はさっき書いたようにひどい天気だった。すごい風。雨になったりあられになったり繰り返して止まない。明日の服装を急遽冬対応に変更。足元がどんな状況になっても大丈夫なようにブーツ、いや、冬靴着用準備。しかしこれ、明日朝起きたらまさか雪が積もってるとかないよね?????なんかいきなりJR運休とかないよね?明日晴れるんだよね????晴れてくれないと意味がないんだよ。カメラも濡れるし、都合が悪いことがいっぱい。そういうこと考えて寝たら、
また無駄に早く起きてしまった。
うまく寝れなかった。ここ数年、旅の前日は眠れない。眠くないしもう起きちゃおうか。そう思いながらモゾモゾ布団にいた。朝6時。もういいでしょう起きても。こっそり起きて用意をする。
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外はまだあられが降ってた。
もう積もっちゃってるよ。根雪になることはまずないからいいけど…洗濯はしない。朝ごはんもパンのみ。後は頼んだぞ。
用意をして7時45分頃、そろそろ出発。JRの運行状況を見ても特に遅延、欠航はない。よし。
この日の気温。最高が10℃、最低が2℃。今は朝だから最低の方に近いだろうな。帯広も同じくらい。
10月20日でこの気温かぁ。やっぱり雪虫の知らせはなんだかんだでいつも正しい気がする。
ママはお友達と外に遊びに行ってくね、帰ってくるのは夜だよ。と昨日伝えた。
普段だと僕も行くとか、僕も行きたいとか、お菓子がないから買いにかないといけないから僕も行くとか、あれやこれやで理由をつけて一緒に出かけようとするけれど、なぜか今回はそういうことは一言も言わなかったし、ネチネチもしてこなかった。
とても明るく、楽しんできてね!行ってらっしゃい!お土産よろしくー!とかノリノリで見送ってもらった。
むしろ夫の方が(帰りのJR止まって帰ってこれないとかないよね?)とか心配してた。大丈夫大丈夫!(だとしても誰も死なないから大丈夫頼んだよ!笑)父と子が丸一日一緒に遊ぶ、過ごす。我が家ではよく考えたら今回が初かもしれない。仲はいい2人。好きにやっちゃっていいからねー!いってきまーす!!
ガチャン。
出発。
気持ちよく出発。ドアを開けたらさっきまで降ってたあられは止んでいた。青空も見えてる。よしよし。でも外は寒い。ここ最近のレベルではない寒さ。路肩にはあられ。雪。
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風でめちゃくちゃになった様子。
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朝の太陽が少し見えてきた。
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進んだ紅葉。
冒険しに行く速めの足取り。
札幌駅へ。
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いい感じ。
が。
この後、早速うまく行かなくなる。これはまずい、になる。やっぱり1人だと運気下がるのかしら。昔から、なぜに今そうなる?というよくわからない残念な事態になることがよくある。それは1人の時によく起こる。
幸運の小さい女神(男神?)を今日は置いてきたからかもしれない。。。
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札幌駅に到着。
予定より少し早めに到着できた。
午前8時20分頃。
切符を受け取る。
今回の写真はiPhone(ピントがばっちりなのがiPhone。)と、前回、金木犀を撮った時におともしてもらった古いケータイandroid。
マニュアルにしてピントを87%くらいに。↓気持ちマイルドな
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改札前。
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今日は一人でずーっとぼーっと景色を眺めるだけの時間にすると決めているから駅弁は買わない。早速改札を通る。と大体同時ぐらいだったのか、少し前からアナウンスされていたのかもしれないけれど、、、
『隣の駅で信号機故障が発生してその点検の為に一部の列車に遅れ、運休が発生しております』
的なものが聞こえた。ああ、そっちの駅は関係ないから、私の列車は大丈夫だろう。と思ったんだけれど。
いつまでも自分の列車が電光掲示板に表示されない。それどころか、特急が一本も案内されない。表示されない。真っ黒。シーン。
まさかこれは、遅れてるね、特急おおぞら君。。。まずい、まずいよそれは。いつ来る?来れる?あの、私今日は帯広に日帰りするんですけどね、
ほぼ9時に出発して11時半頃着いて、そしてその後15時31分の列車で札幌に帰らないといけないのだが…
あんまり遅延すると今度は滞在時間が減って見れなくなってしまうんですが、どうしましょ????いつ来ます??まだ??私行けます?滞在できます?????
帰りの列車の時間を逆算して考えたら、最大待っても2時間まで、11時までに出発できないなら、、、、
今回は諦めてどこか気持ちがいいところとか、バスに乗って定山渓に温泉入りに行けばいい??帯広に行けたはずなのに行けなかったという悲しい結果を一体何で埋め合わせればいいか、一つも見つからない。待つしかない、とりあえず、時間の限界まで。11時まで。。。
……周辺をうろうろしてみる。
居場所が全く見つからない。
平常心ではいられない。やっぱり家族で泊まりがけでゆっくり行くべきだったのかな、みんなを置いてこなければよかったかな、そして行ったとしてもちゃんと目的地に行けるかな?行けなかったらどうしよう?
とか、とか、とか、
とりあえず頭の中は後悔と不安だらけ。上のホームからは雪が降ってたレベルの冷たい外気が流れて吹き付けて寒い。指先が赤い、鼻も冷たい。真っ黒な電光掲示板。
同じく特急を待つ人たちの不穏な空気。少し速くなっている脈拍。
どうしよ。
ここでふと、思い出す。
「後悔と不安」ではなくて、「今を見ること」。
今に集中すること。
今に集中する。今を楽しむ。今できること。今、楽しめることは?
食べることか。
それしかない。笑
それしかないよ改札入っちゃってるし。ここにきて3回めのKIOSK。さっきお土産として買ったそれを、今楽しむ為にさらに2枚買った。それを真っ黒な電光掲示板を視界に入れながら食べよう。よし、君で楽しませてもらおう。
「鉄シール」。
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ウエハースと鉄道の車両のシールが入っている。何が出るかな。キハ40とか、デクモとか、出ないかな?ワクワク。何がでるかな?
一枚目。
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ん?んーと、わかんないな。マニアックでいいですね。私の勉強不足。300Xさん。なるほど。新幹線試験電車。おお〜
2枚め。
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ん?名前は知ってるぞ。ファステックさん。新幹線高速試験電車。とれたんずの歌に出てくる。(とれたんずはJR東日本の新幹線をモチーフにしたキャラクター)
ふふふ。
きっとお土産で渡したら喜んでもらえるだろうな。キラだよシール。
ウエハースも食べる。
列車を待ちながら壁際で鉄シールのウエハースを立ち食い……
袋のままうまく食べる。ベビーフードくらいシンプルな優しすぎるミルクウエハースだった。チョコ系がよかったなぁ。一瞬の楽しさ。気分の切り替え。これでだいぶ気が紛れてきた。これからも今に集中することを忘れずにいたい。そして、トイレにも行っておこうか。
手を洗っている時にアナウンスが流れた。特急北斗がようやく準備が整って案内を始めたみたいだ。ということは、、私の列車、おおぞら3号もそろそろかな?!
そこから5分後くらいに、ようやく呼ばれた。
「釧路行きの特急おおぞら3号は8番線です。」
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待ってました待ってました。
喜びの足取り。ホームへ。
時刻は10時05分。
今行けば12時半過ぎには着ける。
大丈夫だ。
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乗車。念願の乗車。
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寒かった…全身冷えてしまった。
マフラーしていって助かった。
指先が赤いよ。
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いよいよ出発。前も後ろも横も、
座っていない。
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時刻は午前10時9分。乗車。予定より約1時間遅れ。ここから到着まで2時間半。12時半到着予定なら滞在時間あるね、1時間のロスは大きいけど大丈夫大丈夫、よかったー。
帯広までは約220キロ。
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この先は途中の南千歳駅から分岐して、石勝線に入る。
札幌から帯広までの車窓、眺めるのは12年ぶりかな。釧路の出張以来か。天気もすっかり晴れて、紅葉もきれいかな。静かな車内。少し後ろで穏やかに楽しそうに会話する男性2人。心地いい。手首足首が冷え切っているから、擦ってあっためる。車内はあったかいから、そのうちあったまるでしょう。。
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窓ガラスがねぇ、ちょっっっと汚れがすごくてね……笑
目のピントを奥の景色に合わせてこの黒い柄を見ないようにする。
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紅葉が丁度いいところも。
少し終わったところも。
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千歳線の南千歳駅から分岐して
石勝線の追分駅。
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特急北斗しかほとんど乗ったことがないから、さすがのこのパノラマには驚く。
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牛さん。
やっぱり海沿いの景色とは違う。気候も違うからかな。
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この沿線はほとんどが山でトンネルも多かったな。見える景色が貴重だった。
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途中、曇り。
占冠。しむかっぷ。アイヌ語で
「とても静かで平和な上流の場所」
すてき。夏にキャンプに行った日高もここから近い。あれからもうこんな色になった。早いなぁ。
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時々、青空。
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トマム。海外の観光客の方も多い。立派なホテルがある。乗ってくる人はいなかったな。
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12時30分。新得駅。新得町といえば蕎麦。そこに立ち食い蕎麦やさんがある。ここで降りたらぜひ食べたいな。
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撮れなかったけど、スピッツが朝ドラの主題歌を担当した「なつぞら」関連のパネルがあった。
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この駅の時点で12時30分。あれ。
この駅より少し前あたりから、10分くらいづつ発車を待たされることが数回あった。遅延の影響で、すれ違う列車との調整のために。この分がプラスされてさらに到着が遅くなっていく。。。不安。。
帯広まであとわずかなのに、なかなか着かない。
もうこれ以上この車両には誰も近づきませんように。鹿とかきつねとかなんか色々。笑
今に集中……この風景を味わうんだ自分。。
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12時52分。御影駅。もう1時だなぁ……
通常、特急は止まらない駅。トタンの跨線橋。初めて見たなぁ。
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やっと帯広に入ったぁ。安堵。
街だ。
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やっと帯広駅。長かった。
本来であればこの長い乗車も喜べるのに。やっぱり日帰りには無理があったんだなぁ。それを学ぶためのこういう事態だったのかもしれない。
でも、とりあえず、到着。
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ありがとう、ご苦労様、おおぞら。
釧路までお気をつけて。
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時間かかったなーー
13時20分!!!!時間があるのか、ないのか、絶妙な時間!!
急がなくては…
帯広についてからのことは、次の記事に続きを書きます。
今回は私の旅日記というよりは、壮大な長い独り言、という仕上がりになりそうです。。ちょっと雑なところが目立ちますがお許し下さい。
それと…
私はここへ行ってきましたとは書きますが、思ったことや頭の中をメインに書いていますので、参考になる旅情報は特にありません。笑
(時間がない旅でしたので…)
でも、いい出会いはありました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
続きます。