叔父と夏の終わりのハーモニー
以前に、モデルであり占い師であった叔父のことを少し書きましたが
(私の鼻を引っ張っていた叔父です笑)
その叔父は、2021年4月にコロナに罹患し入院していた病院で亡くなりました。
叔父は、父の妹の旦那さんで、奥さん(父の妹)を先に癌で看取っていました。とてもとても仲の良い夫婦で、子どもがいなかったことからも私のことを子どものように可愛がってくれていました。
コロナで入院したときに私の携帯に電話がかかってきて、「妻のところに行きたい。治療はしない。様々なことを希恵ちゃんだけに託したい」と話し、その日から毎日、気に入っていた服や靴の始末などについて、事細かに連絡がりありました。
医師や私が治療をすすめても頑として拒み、オンラインでの面会も、私の顔を見ると「妻を思い出すから」と言って顔を合わせて話をすることもできませんでした。
私にできることは叔父の意志に報いることだと思い、ひとりで病院と叔父の家を往復していましたが、医師から最期を告げる電話があったときは、こんなに大事なことを私一人で済ませてしまって良いのか。という思いと、ひとりで抱えることの不安とで悩みました。
そんな私に医師は、「叔父さんの願いであり、これまで向き合ってこられたあなたが見送られることで良いと思います。私たちが一緒にお見送りします。あなたは一人ではありません。もし、どなたかを呼ばれるのでしたら、いつまででも待ちます」と言ってくださいました。
私は、その言葉に心が定まり、一人で叔父の病室に入りました。
そこで流れていた曲が「夏の終わりのハーモニー」
叔父は、後年カラオケを好んでいました。
叔母が亡くなった後も一人でカラオケスナックに通っていたようです。
叔父から「夏の終わりのハーモニーをマスターしたいんだよね」と聞いた
ことを思い出しました。一番好きな曲だと。
その曲が病室で静かに流れていたのです。
看護師さんがおっしゃいました。
「叔父さんから夏の終わりのハーモニーが好きだと聞いて、私も偶然大好きでCDを持っていたので、病室に持参して毎日かけていました」と。
そんなことまでしていただけるなんて。その温かい心遣いに感激しました。
その日から、私にとって「夏の終わりのハーモニー」は、聴くと思わず涙が溢れる、特別な曲となりました。