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テクノ・リバタリアン 【要約】 世界を変える唯一の思想 橘 玲 読書メモ(下)
エントロピーの法則
秩序あるものは無秩序に向かう
死の不可避性も象徴する。
ホモサピエンスは10万年前から死者の埋葬を行っていた。
人類の歴史や個人の人生の根底にあるもの。
死すべき運命への恐怖。
永遠の生への憧れ。
宗教がある理由は、死の恐怖。
生きるとは日常生活から死の恐怖を消し去ること。
日常生活が安全なこと。日常生活が、道徳的世界に守られていているという安心感。
リバタリアンによる不死への挑戦
死という理不尽な運命に対抗する手段は宗教しか無かった。
テクノロジーで解決できる時代が来れば宗教の意味は無くなる。
トランスレリジョン 超宗教
身体のサイボーグ化
全脳エミュレーション(脳のデータをコンピュータにアップロード)
トランスジェンダー (性を不認知)
トランスヒューマニスト(死すべき肉体の不認知)
アルコー生命延長財団(アリゾナ州)
肉体とテクノロジーのシンギュラリティが来るはずと、信じている。既に冷凍保存された保存死体
全身66人 3000万円
頭部のみ116人 1000万円
(2021年時点)
ペット80頭
総督府功利主義
統治者のための功利主義 個人の判断はなく総督府のルールに従う
人々は何も考えなくても幸せに暮らすことができる。
高度な監視社会になれば可能
コンピュータの技術で監視可能な社会が到来しつつある。
現代になってDVや虐待が社会問題化になってきたのはなぜ?
統治機構が家父長制ではなく国家による直接統治に移行してきたから。
テクノロジーの進歩により社会による個人統治が可能になってきた。
過去の統治は「家父長制」という統治機構だったため、家長が家族単位で指導し、警察(国家)は家族問題に介入しないという原則。民事不介入の原則
人格とは過去から未来にかけて「わたし」の同一性が保たれること。アイデンティティ。
アイデンティティは時間軸を理解し、将来の望みを叶えるために、目の前の欲望を我慢するなど。
異時点間の欲求の非整合性
それがなくなれば、人格は必要ない。
刹那的に生きるようになる。
行動経済学
経済合理的な個人「エコン」ではなく、限定合理的な「ヒューマン」である。
ナッジは気付かれないように誘導する。自由が、損なわれた気がしない。
フランシス・ゴルトン
気圧の発見
天気が変わることの法則性を見つけた。気圧と天気には関連がある。
正規分布の発見
統計学の正規分布と偏差
平均回帰
極端な変異は世代を経るごとに、平均へと回帰する。
ダーウィンの進化の法則(進化学)
進化は目的がない。自然環境の変化により生き残るか否か。
プラトンは民衆を飼い慣らすべきと考えていた。
よって、人を育種する、選抜することで優れた人を残すべきという優生学が生まれた。
優生学・・人為選択によるよりよい人を作り出す。人間の育種。
リベラル 社会的上位層だけにして社会主義のユートピア
後に、人種差別や奴隷制を生む考えとなった。
当時のリベラリストが賛同
つまり、よい意図が良い未来へとは繋がらない・・・地獄への道は善意によって敷き詰められている。
依存性
脳内物質のドーパミンによる。
脳の報酬系からドーパミンは産生される。
ドーパミンは快楽物質ではなく、快楽を期待させる物質。
ドーパミンニューロン(神経系)は学習する。
報酬が出た時ではなく、報酬が出る直前に脳から多くのドーパミンが放出される。
動物実験の例)
緑ランプ点灯 蜜が出る。
赤ランプ点灯 蜜が出ない。
これを学習させる。
最初は蜜を舐めて、ドーパミンが出た。
やがて緑ランプだけで、ドーパミンが出るようになった。
次に緑ランプで蜜が出ない。次に赤ランプで蜜が出た。
報酬系が高く発火した。
次に緑ランプの直後に蜜を出さず、2秒後に50%の確率で蜜を出した。
報酬系が非常に高く発火した。
依存のメカニズム
ランダム性があり不確実な出来事に夢中になっていくこと。
ギャンブルではルーレットの回っている1.8秒にドーパミンが最も分泌される。(報酬がでる直前)
依存させることで得る利益。
YouTubeやネットフリックスは、ユーザーの希少な資源である時間を奪う競争をしている。
いかに自社のサービスに依存させるか。
知識社会とは賢い者がそうでない者から搾取する社会
ユーザーの認知的脆弱性が特殊詐欺のターゲットとなっている。
スタグネーション 景気の減退
インフレーション 物価上昇
スタグフレーション 同時に起こる
スタグネクオリティ 経済成長の減速と格差の拡大が同時に起こること。
共同体主義
コモンによる統治
私的所有の制限
総合的社会主義
土地の自由使用のために私的所有権を認めない。国家が土地を所有する。
そこで生み出した富は分配する。
テクノリバタリアンの理想を拒むものは、社会ではなく、自身の認知的な脆弱性。
功利的な利他主義
大勢の民衆が苦労して少しずつ寄付金を出すよりも、大富豪がポンと寄付金を出した方が、結果的に多くの人が救われる。
ベーシックインカムには合理性がある。
ボランティアはコスパが悪い。
フラクタル
小さな類似の形状の総和
自己相似性
雪の結晶の形にある繰り返し構造
カリフラワーの構造 しかし、類似の形状は極端な分布になりがち。
株価の波は繰り返しであるが、時に暴落もある。
コンストラクタル マンデルブロ
世界はフラクタルで、できている。
フラクタルとはショートベッドとロングテール
コンストラクタルの法則
「有限の流動系が時間の流れの中で存在するためには、
その流動系の形状は、その流動抵抗を低減するように進化しなくてはならない。」
例)
飛行機 河川の形状 肺胞 機械 社会構造
すべてが時間がかからないように進化していくという法則
自由な領域と流れがあるなら、生物も機械もより速くより滑らかに動くように進化する。
物理法則なので、今後の進化を予測できる。
大河が分岐して海に注ぐように、自由はフラクタルを産み、それが階層となる。階層がある方が効率的だから。
べき分布の階層性。
時間的価値があるため、より速く、より階層的に進化する。
テレビがインターネットに駆逐されつつあることも同様。
コンストラクタルの予測する未来
巨大な中央集権的組織と個人へ二極化した社会になっていく。
最も情報が早く流れるから。