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成功することで自信がつくのではなく、自信があることで成功する。 6/7冊 エリック・バーカー 橘玲監訳 読書メモ 

成功は自信から導かれる
 成功する人は最初から自信を持っている。自己評価の高さが成功につながる。

 一流の企業家に自信不足の人はいない。チャンピオンの資質 健全な自負心

カスパロフ(チェスの名人)がディープブルー(コンピューター)に負けた理由
カスパロフ
1戦目勝ち
2戦目負け
3戦目引き分け
4戦目引き分け
5戦目引き分け
6戦目負け
「1勝2敗で負け」
 2戦目でコンピューターはあり得ない手を打った。カスパロフはその意図を読めなかった。熟考を重ねたが理由が分からずに弱気になった。
 
 攻撃的なチェスから守りの戦術に変わった。それが引き分けの連続となり、ついに負けへとつながった。カスパロフはコンピュータのエラーによる誤手を理解できず、エラーを揺るがぬ自信と誤解してしまった。自信を失ったことが敗戦につながった。


ナルシストは自信に溢れていて有能な印象を与える
 自信過剰な人は最初に発言する。それが、リーダーとみなされる。自信不足のリーダーは生産性を下げている。成功者は良い意味で妄想状態。過去の肯定的解釈は、未来の楽観主義を生む。

 ポジティブな自己バイアスは、苦痛への耐性強化となり競争的な仕事の意欲と業績につなげる。不確実性や曖昧さを恐れず、リスクに挑戦する。
 
 容姿の良い人は性別を問わず、高収入だというデータがある。それは人気があるからではなく、自信があるから。自信を持てば持つほど、利益がもたらされる。


自信があるフリの効果
 第二次世界大戦の逸話 アメリカ第二三本部付特殊部隊(ゴースト・アーミー部隊)がもたらした勝利。たった1000人の部隊で3万人規模の部隊と偽装した。フランスにナチスが侵攻し、米軍が逆転の時を狙っていた。
 
 ナチスのスパイとして情報を流している酒場で、米兵がわざとワインを盗んだ。次にその米兵が来た時にはナチスに通報するよう仕向けた。
 
 別の米兵が来店し部隊の唄を歌った。また別の米兵が違う部隊の唄を口ずさんだ。ジープで移動するときは、階級の星をいつも書き換えた。少将に将軍の制服を着せた。たった数人で数十部隊がいるかのように振るまった。全部デタラメだったが、ナチスは誤情報に引き寄せられて部隊を集結させた。その隙に本物の米軍部隊が、ナチスの手薄になった街を奪還した。

人は誰しも自分を錯覚している
 リーダーとしての振る舞いは効果がある。第一印象が重要。しかし、見抜かれると信用は戻らない。見かけを装うことの効果はあるが、自分さえも装うことに脳が騙される。妄想や放漫さに繋がってしまう。
 
 自信過剰はある程度の熟達者にありがちで、集団の中で大きな責任を負っていたりする。本人の実力が足りないため、避けるべきことも避けられなくなり大失敗している。

ダニング・クルーガー効果
 
最も自信家の人々を集めたら、最も有能な人と最も無能な人が入り混じった集団となる。初心者ほど、仕事の困難さを評価する尺度を持たないため、自信満々でいられる現象のこと。


権力を持つことで、気をつけなければいけないこと
 自分に力があるという認識が、人間性に悪影響を及ぼす。これらの研究について調べてみると驚異的な論文数がヒットする。
 
 現実を受け入れない。妄想に走る。放漫になる。誰も異論を唱えなくなる。学ぼうとしない。ナルシシズム。

 例)戦争に勝つために、非人道的な命令を下す。権力者は利己主義、現実が見えなくなる、嘘を正当化する。支配的な言動が部下のチームワークを低下させる。

ウルバッハビーテ病 
 
恐怖を感じない遺伝性疾患 恐怖を感じる中枢(扁桃体)に異常がある。 誰にでも近づいていける。危険の察知ができない。PTSDにならない。いくら殴られても怖がらない。

自信がない方が人生はうまくいく
 自信がないことのメリットは多数ある。自信がないから勉強する。各方面にアンテナを高くする傾向がある。他人の助言に素直になる。批評眼を持って自身をみると落ち込ちがち。しかし、成長の源となる。否定的なフィードバックを求めることで、自身が成長する。


楽観主義と悲観主義の両方が重要
 楽観主義と自信が味方を増やす。悲観主義が自身を成長させる。そのようなリーダーとしてエイブラハム・リンカーン米国大統領がいる。

 「諸君よ、もしあなたがだれかを味方につけたいなら、まずあなたが彼に誠実な友であることを納得させよ。敵対者には、友人になることによって、私は敵を滅ぼす。」
 
 彼のネットワークづくりは友人づくりであった。自責の念を抱くタイプは、好ましいリーダーとして周囲から認められる。


自信に関する議論がまとまらないのは、自尊心のレンズを通して見るから
 
自信ではなく、セルフ・コンパッションが大切。

セルフ・コンパッションとは
・自分自身への赦し
・自分自身への思いやり
・自分自身の弱さを認める
・自分自身の不完全さを認める

自分を信じることは素晴らしいが、自分を許せることはもっと素晴らしい。
 
自尊心は無くてもあっても問題。自然なレベルの自尊心が望まれる。自信を高めるには、その道に熟達すること。インチキはしないこと。

「残酷すぎる成功法則」―9割まちがえる「その常識」を科学する―
エリック・バーカー 橘玲監訳 読書メモ