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家族への告知【息子編】
家族への告知は、精密検査が終わり治療計画が立ってからにしようと思っていた
現時点では
HER2陽性浸潤性乳がん
これしかわかってないから
リンパ節はどうか
(実際はセンチネル生検しないとわからない)
転移はないか
化学療法何クールで手術になるか
術式はどうなるか
化学療法に使われる薬剤は何か
なにひとつわからない
わからない事だらけで伝えたところで…
という思いと、わからない不安な時期を共有する必要はないと考えていたので、ある程度、治療の全体像が見えてからにしようと思ってた
だけど私自身、乳がんとわかってから急性のストレス障害に陥っていたよう
脱するまで2週間はかかった
きっと子供達も強いショックを受けるだろう
アレコレ詳しいことがわかって
「そんな訳で近日中に治療が始まります。まず手始めにCVポート留置の手術受けるんで入院します」
てのも聞かされた方は「なんで言ってくれなかったのか」となるだろうし、彼らにも私の病気を受け止める時間が必要であろう
そう思えるようになったので、当初考えていた告知のタイミングを前倒しにした
👩お母さん、がんが見つかりました
HER2陽性浸潤性乳がんという病気です
まだ詳しいことはわかってないけど、抗がん剤治療と手術は確定
現時点で治療期間は1年と言われているけど前後するかもしれないです
髪の毛もオッパイも無くなるし、抗がん剤の副作用でどれぐらい弱るかわからない
術式によっては重いものを持てなくなったり、抗がん剤で消化管症状も出るかもしれないし手足が痺れればバイクも車の運転もできなくなるかもしれない
骨髄抑制が起きれば感染症が命取りになるから引きこもる日もあるかもしれない
味覚障害が起きれば料理の味付けもどうなる事か…それ以前に今できていることができない日々が多くなると思う
だから、それぞれに課題を与えます
まず、お兄(長男)
お母さんが病気で弱ったのを理由に夢を諦めることはしないように
そばにいてくれると嬉しいし頼りになるけど、お母さんのせいでブレーキがかかるのは違う
夢が実現できるよう頑張って欲しい
弟(次男)は、いつまでもお父さん頼りではなく自立して欲しい
自分を律して大人として、社会人としてお母さんが安心して過ごせるようになって欲しい
お父さん、あなた自覚ないかもしれないけど、車の運転が年々荒くなっています
急発進、急加速、あおり運転のようになってる自覚ある?凄く怖いので安全運転を心がけてください
以上、解散!
元夫の反応はこちら
次男は終始、強張った顔で固まってしまい何も言葉を発しないまま元夫と共に自室へ戻った
長男はリビングに残り、途中まで一緒に見ていた「脱出おひとり島S4」の続きを見た
互いに20分ぐらいは上の空だったように思う
おひとり島も1話だけ見てNetflixも消した
長男は不安そうな顔で自分にできることがあったら言って欲しいと言葉を振り絞り泣いていた
一緒に泣くことはなく、衝撃を与えてしまった申し訳なさを感じた
「お母さんが弱る前に焼き肉食べに行きたい!たぶん食べられなくなる気がするから治療前に行こうよ」
と言った
長男とは、その後も言葉を交わしたが、何を喋ったのか覚えていない
ほんの一昨日の出来事なのに…
眠剤も効いてきたので、もう寝るねと寝室へ行こうとすると長男も付いてきて
「お母さん、絶対治るから」
と私をハグしながら泣いていた
シクシク泣く22歳の私の赤ちゃんの背中をトントンしながら
うん、そうだね
心配させてごめんね
ハグの感覚も変わるかもよ!
小さくなっても悲しまないでね
と冗談めかして言ったつもりが全く冗談になってなかった
こんな優しい息子に恵まれて、あたしゃ幸せもんだよ
翌日には検索魔と化した長男から質問攻めになるとは思わず倒れ込むように寝た
こうして我が家の告知は終えた
がんサバイバーの家族もまたサバイバーである
ここにサバイバーファミリーが生まれた日となった