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肺がん検診における胸部X線検査。
現在、肺がん検診の方法で肺がんの死亡率を減少させることができると科学的に認められ、肺がん検診(対策型検診「住民検診」)として推奨できる方法は胸部X線検査と喀痰細胞診(喫煙者のみ)を組み合わせた方法だけであります。低線量の胸部CT検査を用いた住民検診をとある県で約3000人を対象にした住民検診を行ったのですが、かなり早期に肺癌を診断して治療できるのですが、時間と労力とコストがかかり現実的ではないようです。
現にCT検診は、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、住民検診として実施することは勧められていません。
しかし診療を行っていると胸部X線を受けて肺がんが心配ないと考えている方たちが多くいると感じます。胸部レントゲンだけでは、肺癌の診断が困難と思われる画像として次のようなケースがあります。喫煙歴はありますが、現在は禁煙され呼吸器症状はなく、糖尿病のが主な治療の主体のようです。胸部X線は画像(上)。腫瘍マーカーは、CEA50.0ng/ml(正常5.0以下)、SCC抗原13.9ng/ml(正常1.5以下)、胸部X線からは、左中肺野に肋骨と重なった不鮮明な円形陰影を認め、胸部CTでspiculation, pleural indentationを伴った単発性の腫瘤陰影を認めるのがわかります。画像からは肺腺癌を疑う陰影であることがわかり、このように胸部X線単独では診断が難しく、他の検査を組み合わせた診断が必要となる場合が多く進行してから見つかる場合が少ないようです。紫曜。