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男性なら小さいころ、程度に違いはあるが経験ありでしょう。

ジャンパーなどを着ていて、下に着ていた服や下着がファスナーに挟まれたことがある人は少なくないと思います。
皮膚がファスナーに挟まれることはあるのでしょうか?
あります。男性なら小さいころにトイレで経験ずみ。
ファスナーの開閉時に陰茎が挟まれることがあり、思春期の陰茎外傷の中で
ファスナーによる外傷は珍しくありません。
2~12歳の男児において、4,000人に1人の割合でこの外傷が生じています。
年齢を重ねると頻度が下がりますが、これは年齢を重ねると包皮が亀頭を覆う頻度が下がるためです。
勢いよくファスナーを上げ下げすることがなくなることも影響していると思います。ファスナー外傷は救急外来で男児が受診することがある疾患です。
ファスナーの呼称はさまざまで、日本では「チャック」、むかしは、社会の窓など呼んだりしましたが、今は死語らしいです。
 
アメリカでは「ジッパー」、一般的な名称としては「ファスナー」とされています。
これらはすべて同じ物を指す言葉ですが、今回は「ファスナー」とします。
 
ズボンをはき、ファスナーを上げたところ、下着と一緒に包皮を挟んで
取れなくなった。
男性であれば挟まれた際の激痛を想像できるでしょう。
処置にあたってはとてつもない痛みと恐怖が予想されます。
不用意にファスナーを動かせば痛みが生じますので、まず挟んでいる部位に局所麻酔を実施します。
陰茎ブロックも適応なのですが、手技に慣れが必要であることと、ファスナーが挟んでいる範囲が狭いことから、局所麻酔が適しています。
どのようにしてファスナーから解放できるのでしょうか。
まず、ファスナーの構造を理解することが大切です。
スライダーの中はダイヤモンド部分で上下が繋がっていて、内部はY字形のトンネルになっています。
ここを通ると務歯の隙間が押し広げられ、務歯同士がかみ合ったり離れたりします。陰茎がスライダーと歯の間に挟まれた場合、構造上、このダイヤモンド部分をニッパーなどで切断すれば上下に分離します。
切断が困難な場合は、石けんなどを使用して滑りをよくしたり、マイナスドライバーを歯の間に差し込んでねじって広げたりする方法を試みたりします。局所麻酔後、ニッパーを用いてスライダーを切断し、除去。
挟まれた部位は浅い挫創程度であったので、洗浄して軟膏を塗布したガーゼで覆う。
なかなか診る機会がないファスナー外傷ですが、男児の親御さん覚えていたらいいでしょうね。