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第5章 雪子の決意
6 25年前の出来事 多佳子の日記
日付は25年前のものだった。
最初は何でもない日常のことが書かれているだけで、これといって事件に繋がると思われることは書いていない。
内容も稚拙なもの。
そろそろ日記の内容に退屈し始めてきた頃、ようやく利蔵の名前が日記に現れ雪子はこくりと喉を鳴らした。
隣に立つ高木も緊張している気配が感じられた。
ここから先はどんな細かいことも見逃さないと、雪子は目を凝らし日記を読む。
「ハンカチ? まさか、これのこと?」
雪子は手にした白いハンカチに視線を落とした。
さらに、日記を読み進めていく。
日記を読む雪子の手が震えていた。
読み進めていくうちに、多佳子の人物像が見えてきたような気がする。
思い込みの激しい女性だ。
利蔵家先代の当主が多佳子にしつこくつきまとわれていたというのも事実であった。
そして、日記の日付は少し間が飛んでいた。
「これ……」
雪子は高木を見上げると、彼は眉根を寄せ頷いた。
「ああ、新聞の記事に書かれていたとおりだったな」
「ええ」
三人の男たちは多佳子に乱暴した。それを命じたのは先代の利蔵家当主だった。
背筋が震えた。
ゆるさないと、何度も乱雑に書き殴った文字が、日記帳いっぱいに埋め尽くされている。
第45話に続く ー
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