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崖っぷちOLの本棚紹介「ガール」(奥田英朗)

祖師ヶ谷大蔵のブックショップトラベラーにて
ひっそりと、売れない棚主をやっております。
主に働いている女性向けに、小説中心で置いてます。

紹介のトップバッターは、棚でも面出ししてますこちら~

「私、会社勤め女性です」に当てはまる全員に激おすすめ!「ガール」(奥田英朗)

本ってあんまり読めないんだよね~という人でも大丈夫。
小説入門としてもどうぞという感じ。

短編集で、どれも会社で働く30代女性(たぶん)が主人公。
独身だけじゃなくDINKS・シングルマザーの主人公も出てくるから、幅広い人にとって親近感がわくと思うんだな~。

収録されているのは、

  • まあまあ早めに管理職に抜擢されて、年下の女上司が気に入らない様子の男性部下に悩まされる女性の話や、

  • 若作りと言われたっていつまでも好きな服を着たいと思いつつ、周りの視線が気にならないでもない女性の話や、

  • 子育てを言い訳にしたくないシングルマザーの女性の話

などなど。
きっと、どれか一つくらいは、主人公に感情移入できるものがあるのではないだろうか。

これは「女性応援小説」ではない

この本では、「そんなやつ今時いねぇだろ」というレベルの男尊女卑思想の男というのは、出てこないんだよね。
出てこないのに、なのに、女性が会社で男と肩を並べようとすると
なんか余計なめんどくささがついてくるんだなというところに、
違和感を持ってほしいな、と思っている。読んだ方にあられましては。

たしかに、この本の女性たちは、自分の頑張りで
女性ならではの困難を乗り越えていくようなストーリーになっているですよ。
でも、それって、男性が構築してきた今の社会の在り方を変えることなく「男性についてこれる女性になること」が、
ゴールであり成功であるという
そういう価値観がベースにある描写になっていると思われ。

「さぁ、(女だからってナメられないように)これからも頑張っていこう」
って、
この小説の主人公たちを成功ケースとすることは、本当に女性の力を引き出していることになるのかな?

本当は、語られずとも前提となっている価値観、
の、その先に進まなければいけないんじゃないんでしょうか。
という示唆を受け取れる小説として私は読みました!

「分かるぅ~」で終わらせていいのか。

会社でのお仕事を頑張っている女性におすすめの一冊です!


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